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木登りをしたら怒られた。

屋根の上に行こうとしたら怒られた。

鉄橋に足をかけたら怒られた。



ねぇパパ、怒らないで。
高い高いトコロに行きたいの。
あの星に手が届くくらい高いトコロに。






神様はね、何でも叶えてくれるんだって。
良い子にしてたら、願い事を叶えてくれるの。
教えてくれたのは、ママだった。
優しくってあったかい、大好きなママだった。



ワガママだったからいけないのかな。
泣き虫だったからいけないのかな。
隠れてお菓子を食べちゃったからいけなかったのかな。
おもちゃを片付けなかったからいけなかったのかな。



神様、ごめんなさい。
今までのこと、許してください。
良い子になります。世界中の誰よりも。
だから…お願いします。
たった一つ…たった一つだけ、願い事を叶えてください。



優しく頭を撫でて…いつものように。
優しく抱き締めて…いつものように。
優しく名前を呼んで…いつものように。

ママを返して下さい。



大切な人なの。
大好きな人なの。
取らないで。
持って行かないで。



いくら空を見つめても
いくら星に願っても
神様は何も答えてくれない。



「ママは綺麗な綺麗なお星様になったんだ。」
パパは言った。
「だから、いつも見ててくれるんだよ?」
パパは頭を撫でてくれながら言った。


   
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木登りをしたら怒られた。

屋根の上に行こうとしたら怒られた。

鉄橋に足をかけたら怒られた。



ねぇパパ、怒らないで。
高い高いトコロに行きたいの。
悪いコトしてるんじゃないよ。
ママを返してもらうの。



ねぇパパ、怒らないで。
また悪い子になっちゃう。
良い子になれなくなっちゃう。



良い子じゃなくてごめんなさい。
泣き虫でごめんなさい。
どうしたら良いかわからないの。

ごめんなさい。
ごめんなさい…。




ママ、帰って来て。



どうして?
神様は何も答えてくれない。


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3800HIT、青砥さや様より「泣ける話」でした。
…な、泣けますか?
こんなのでスイマセン。
オリジ風ではありますが、魔ロキのまゆらを意識して書きました。
ママが死んでしまった後ですね。
どうでしょう…。
泣けなかったらごめんなさい。

天神美香


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