肌で楽しむ布づくり  
「触覚」に焦点をおいた手紡ぎ・手織りの講習会

『糸の撚りを楽しむ』
糸を紡ぐという事は短い繊維に撚りをかけて長くつなげていくこと。撚りがなければ糸の存在はありません。そしてその強弱や右回り(Z撚り)・左回り(S撚り)が手触りに影響していることを指先で感じ取る楽しさが味わえます。
『素材の特徴を味わう』
このレッスンで使う素材は羊毛のみ。しかし、ウールは“ふわふわ”の感触だけではありません。羊の品種ごと、個体ごと、部位ごとに繊維の長さ・太さ・柔らかさ・コシ・ハリ等がさまざまです。その特徴をそのまま糸に残すようにしたり、時には紡ぎ方に変化を与え新しい感触を生みだしたりもします。
『凹凸をあらわす』
一枚の布は経糸と緯糸が交差することによって作られています。織物はその種類を変えることにより柄を描いたり、凹凸を出したりします。さらにここに手紡ぎ糸を適材適所に用いると、より陰影があらわれるのです。これは素材の特徴の再発見にもつながるばかりでなく、平織りだけでは語りつくせない、手紡ぎ糸の魅力が実感出来るのです。

上記のテーマを通して紡ぎ・羊毛素材、織組織についての知識と技術を習得しながら手でなくては作りえない面白さをみつけていくクラスです。

作り手は、手触り・肌触りという目には見えない感覚を視覚的にも満足のいく表現に転換させるときにさまざまな工夫をします。そこには素材との向き合い方、テーマのとらえ方、技術・知識の生かし方・・・などに作者それぞれの姿勢がみえてきてとても興味深いことです。
わたしはさらに、そのアプローチを通して作り手自身が自分の内面に耳を澄ませるようになることが大切だと考えます。これがオリジナリティーに溢れる布作りにつながり、このワークショップを開催する真の目的でもあるのです。