生活を守ることが政治の原点 なんとしても大阪再生を!

  平成15年年頭にあたって    大阪府議会議員      

今年の冬は、長期予報では、暖冬となっていましたが、実際には予報と打って変わり、大変厳しい寒さとなりました。特に、お天気も厳しかったのですが、世相のほうは、天候よりももっともっと厳しい経済環境となりました。

  今期、府政の最大課題は、なんと言っても大阪経済の再生と大阪府財政の建て直しの問題でありました。バブル経済崩壊以後、低迷を続ける大阪経済は、産業の空洞化と東京一極集中の弊害を諸に受け、全国一景気が悪い状況が続いておりますが、大阪の企業の業績が悪くなると、大阪府の税収はこれに伴って、一遍に入らなくなり、府財政は更に悪化するという悪循環に陥ってしまっているのであります。これが、大阪の現在の姿でありますが、大阪を良くするためには、なんとしてもこの連鎖を断ち切り、大阪を元気なまちにしなければなりません。それは、単に産業の活性化を図るのだというような次元ではなく、福祉を進め、文化を振興し、人々の生活を守るということの原点であるからです。

  景気対策の根幹は本来国の仕事であり、府県のできることは限られていますが、府県として、何より大事な仕事は、産業基盤の整備を進めることや、企業立地の環境を整えたり、誘導したりして、地域の経済力を高めることであります。ところが、大阪では、現状はこれと相反し、企業が立地するどころか、むしろ、大阪の企業や工場が、外国や他府県にどんどん移って行ってしまっているのです。これでは、大阪が良くなるはずがありません。

  大阪を元気にするためには、まずなによりも、大阪で商売したり、工場をつくったりする企業を増やさなければなりません。それが大阪再生への第一歩なのであります。

  こうした思いから、私は、この3年間、企業水道常任委員会に所属し、所管のりんくうタウンや二色の浜事業の再生に取り組んできました。そしてこの間、全国に先駆けて経済特区の創設や企業進出の誘導策の創設を提唱してまいりましたが、このほど、ようやく、三洋電機の太陽電池製造工場やイオンモール、国華園などの大規模商業施設の建設が相次いで決定しました。この後、引き続いての商談も進んでいるようであり、久しぶりの朗報が聞かされたのであります。

  さて、これは、土地売却方式から定期借地方式にという、バブル時代の土地利用からデフレ時代の土地利用方式に大胆な発想の転換をしたことに大きな成果があったのだと思います。土地は所詮利用するものであり、利用し易い条件が整えられれば、利用者が生まれるのだということではないかと思います。りんくうタウンの再生は、未だ始まったばかりでありますが、今まで、負の遺産と言われてきた膨大な土地に企業が集積することになれば、すなわち、マイナスがプラスに転ずれば、大阪経済に言葉に尽くせぬ活力を与えることになるのではないでしょうか。

  一時が万事であります。大阪には、まだまだ、活力をもたらす資源が手つかずに眠っております。大阪市内を流れる河川の総面積は市域の1割を超していますが、これは世界にも珍しい、大阪の誇るべき資産であります。道路交通の時代に忘れ去られてしまった大阪の河川を、水の都と呼ばれたかつての時代のように、もう一度現代に河川利用のあり方を考え直そうというのいうのが水都再生事業なのです。東洋のベニスを大阪に再現することも決して夢ではありません。このほか、東大阪の人工衛星の民間開発や、新技術の開発が産官学の協同事業として進められておりますが、いずれの事業を通じても大事な事はマイナスをプラスにするという発想の転換ではないかと思います。

  非常事態にある大阪にとって緊急対策としての雇用や中小企業金融対策を充実させるため全力を挙げることはもとよりのことでありますが、同時に、今ほど、産業基盤の整備や産業立地の環境整備を図らなければならぬ時はないと存じます。

  まだまだ、厳しい時代が続くものと思われますが、大阪再生への想いを私自身の政治活動の原点として、これからも、一層精励致してまいりたいと存じております