地方自治に関する小委員会・要網
平成17月 4月 4日
地方自治に関する小委員会一 地方自治の理念、国と地方の役割分担と相互協力
1. 地方自治体は、住民の福祉を増進するため、地域における行政を住民相互の協働に基づき自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うとともに、これに伴う責任を果たすこととすること。
2. 住民は、その属する地方自治体の役務の提供をひとしく受ける権利を有し、その負担を公正に分任する義務を負うとともに、その地方自治体の運営に参加するよう努めることとすること。
3. 国は、地方自治体の役割を尊重することを基本としてその本来果たすべき役割を適切に担い、国と地方自治体は、それぞれの役割分担を踏まえ相互に協力することとすること。
二 立法原則、地方自治の本旨地方自治体に関する法律は、住民自治と団体自治を基本とする地方自治の本旨に基づいて定めることとすること
三 地方自治体の事務処理権能、条例制定権地方自治体は、事務を処理する権能を有し、法律の範囲内で、条例を制定することができることとすること。
四 地方自治体の機能【第一案】
1 地方自治体には、法律の定めるところにより、条例、予算その他の重要事項を議決する機関として、議会を設置することとすること。
2 地方自治体の議会の議員は、その地方自治体の住民が、直接これを選挙することとすること。
3 地方自治体の長は、法律の定めるところにより、その地方自治体の住民の直接選挙その他民主的な方法により選出することとする こと。
【第二案】
1 地方自治体には、法律の定めるところにより、条例、予算その他の重要事項を議決する機関として、議会を設置することとすること。
(第一案の1と同じ。)2 地方自治体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他公務員は、その地方自治体の住民が、直接これを選挙することと すること。
五 地方自治体の種類
【第一案】
1 地方自治体は、基礎自治体及びこれを包括し、補完する広域自治体とすることとすること。
2 基礎自治体及び広域自治体は、法律でこれを定めることとすること。
3 地域における事務の処理は、基礎自治体によることを基本とし、広域自治体はこれを包括し、補完する役割を担うものとすること とすること。
【第二案】
1 地方自治体は、基礎自治体及びこれを包括し、補完する広域自治体とすることとすること。(第一案の1と同じ)
2 基礎自治体及び広域自治体は、法律でこれを定めとすることとすること。(第二案の2と同じ)
六 地方自治体の財政1 地方自治体は、法律の範囲内で、条例の定めるところにより、地方税を課することができるようにすることとすること。
2 地方自治体の分担する役割及び責務に応じた財源は、地方税のほか、地方自治体が自主的に使途を決定できる財源をもってこれに充てることを基本とすることとすること。
3 地方自治体の自主性及び自立性を尊重し、その行うべき役務の提供を確保するとともに、2の理念を達成するため、法律で定めるところにより、必要な財政措置を講ずることとすること。
4 地方自治体は、合理的かつ効率的な財政運営に努め、国や他の地方自治体の財政に累を及ぼすことのないようにすることとすること。
◎ 4については、「財政」の章における健全財政に関する規定との平仄を合わせることが考えられる。
七 地方自治体の違法な行為の是正、政府の違法な行為からの救済
地方自治体の事務の処理が法律に反している場合の是正及び地方自治体に関する政府の事務の処理が法律に反している場合の救済については、法律で定めることとすること
八 住民投票
地方自治特別別法に対する住民投票制度(95条)は、廃止することとすること。
付記 新憲法起草委員会への要望事項
1 「地方自治」の前文への明記について
新憲法草案の前文には、「地方自治」に関する記述を盛り込むべきであるとの意見が多く出された。
2 法律又は条例の規定に基づく住民投票制度について
法律又は条例の規定に基づく住民投票制度の在り方については、地方自治体における議会の役割との関係等を整理し、法律において、適正にこれを位置づけるよう検討するべきであるとの意見が多く出された。