平成13年事業所統計調査に思う

平成14年暑中にあたって (H14.8.15)       大阪府議会議員 酒 井  豊

天候異変かとも思えるような今年の春からの気候でありましたが、ここへきてようやく夏らしい落ち着いた天候になってきたようであります。年初からこの夏にかけての日本の政冶経済情勢も、まるでこの気候のようであり、真に忸怩たる思いのするものでありました。5月には、政府の景気底入れ宣言もありましたが、一向にそんな実感が伴わないのが、大方の想いではないかと存じます。
私達の大阪も依然厳しい経済状態が続いており、この五月末の府税収入も前年同期比88・9%と前年より432億円もの減収となっております。

平成13年事業所・企業統計調査

 そんな中、去る7月19日、平成13年の事業所・企業統計の調査結果の発表がありましたが、その結果を見ると、大阪府内の民間事業所の数は、前回調査の平成8年よりの5年間で約10%も減少しており、特に大阪に本杜をおく企業の数は前回の25,846社から25.2%滅の19,330社に激減しております。
  
これらの数字からも明らかなように、激しい勢いで、大阪府内の事業所の閉鎖が起こっており、とりわけ企業本社の大阪離れには慄然たる思いがいたします。景気状況を表す統計には、いろんな指数がありますが、そうした指数に表れたもの以上に、これら事業所の減少や、企業本社の大阪離れは、即、大阪で事業を営む人のご商売や、府民の生計に直結するものであり、大阪経済の深層に抱える問題の深刻さを改めて示しているのではないかと存じます。

 
大阪は日本の縮図であると、よく言われますが、戦後の経済成長の中で、日本を経済大国に押し上げた主要な産業は、繊維、鉄鋼、化学、電気等々の産業でありました。そして、そのいずれもが大阪の主要産業であり、実は、その大阪の産業構造が、現在においてもほとんど変わっておりません。加えて、その主要産業のいずれもが、今日、国際競争力を失い、いわゆる産業の空洞化現象(工場の海外移転や地方移転等)を起こして参ったのであります。

全国総合計画の問題点

私達は、かねて、このことを危惧し、国に対し、大都市から工場を締め出し、地方へ分散させるという国の全国総合計画のあり方について、強く是正を求めで参りました。都市から生産拠点や大学、技術機関を地方へ分散させるという列島改造政策が大都市を疲弊させ、その一方で、情報化や国際化という新しい時代の流れが東京一極集中という全総計画とは全く矛盾するイビツな国家構造を造り上げてしまったのであります。そして、その二大潮流の狭間のなかに入ってしまったのが、今日の大阪であります。
  
私達は、こうした流れの中で、大阪を蘇生させるため、大阪の総力をあげての取り組みをしていかなげればなりません。過日、石原東京都知事の都政に臨む基本的な考え方について、伺う機会をえましたが、日く、石原都知事は、都政を進めるにあたって、都政をどうすれば良いかということを考えているのではない。実は、都政を通じて、日本の国の姿を如何に変えていくか、そこを考え行動しているのだということでありました。まさに至言であると思います。

大阪再生に向けて 

私達の大阪も、大阪府政を考えるだけでは、決して大阪を蘇生させることはできません。永い歴史の上に積み上げられた国の地方行政システムを改革し、日本第二の都市・大阪ひいては関西圏をどう再生するかという国家的視点を持った大きな取り組みをしなければなりません。
 
ここへきて、国もようやく、従来の政策の行き詰まりを感じ始め、小泉政権の下、都市再生事業の推進や、工場等制限法の廃止、国と地方との税源割合の見直し等をすることになってまいりました。また、関西国際空港の国際競争力の問題や経済特区構想も、国の議論の場に乗ることになりました。

 
私は、この3年、府議会企業水道常任委員会に在籍致して参りました。それは、この委員会の所管である「りんくうタウン」事業を、単に過去の負の遺産だとしてかたづけてしまうのではなく、関西国際空港と連携させた大阪再生への大きなステップにつなげてまいらなければ大阪の課題は解決しえないとの想いからであります。この他、水都再生やバイオサイエンスの振興等、取り組まなければならぬ課題は山積しております。
 
今、日本の国は、デフレスパイラルの只中にありますが、一番怖いことは、日本人の精神のデフレスパイラルであります。
私達は、今こそ、元気を出し、公民挙げて、大阪再生に取り組む気概を持つことではないかと存じます。

 

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