大阪再生が日本再生への足懸り

平成14年年頭にあたって(H14.1.1)         大阪府議会議員 酒 井  豊 

21世紀の幕開けを告げた過ぎし一年を顧みる時、希望に満ちた21世紀の扉を開いたと言うよりも、今、世界も、日本も、本当に難しい時代を迎えているのだという一語に尽きるかのような一年でありました。長期の不況よりの脱皮を願う皆の願いとは裏腹に、いやむしろそれに冷水を浴びせるかのような、予想だにしえないテロ事件により世界経済は極めて厳しい局面を迎えることになり、日本経済の回復には、なんとしても自らの自助努力によらねばならぬことを、改めて思い知らされた一年でもありました。

小泉政権が誕生し、今、わが国は、日本再生への道を懸命に歩んでおりますが、はっきり申し上げて、回復への処方はこれだという、決定打になりえていないのが、実情ではないかと存じます。というよりも、それだけ日本経済の規模は大きく、病巣は根深いと考えなければならないのではないかと思います。日本再生と改革への期待が、これほど一つの政権に寄せられた時代はかつてありません。それだげに、今一歩、確かな国民へのメッセージが、是非示されて欲しいと願っているのが皆の正直な気持ちではありませんでしようか。

さて、今更、申し上げるまでもありませんが、私達の大阪府も赤字再建団体転落一歩寸前で、必死の取り組みを重ねている最中であることはご承知の通りであります。この為、大阪府では、昨年9月、大阪府行財政計画案を策定し、この2月府議会に太田知事より平成14年度予算案として改革の為の具体的な提案が行われる予定となっております。この間、私も自民党府議会議員団の行財政改革プロジェクトチームの座長として、知事に提言を致してまいりましたが、これらのことを踏まえ、目下、大阪府では、一方で行政の徹底的なスリム化を進め、また一方で大阪再生の為強化せねばならぬ施策を明確に峻別した14年度予算の編成作業に全力を傾げているところであります。

日本経済を良くする為には、大都市の活力を回復することか必須の課題であります。なかでも、商都大阪の再生は、日本経済再生への大きな足懸かりであると言っても過言ではありません。幸い、政府においても、ようやく農村より都市への政策転換が本格化し、都市再生のためのプロジェクト策が打ち出されてまいりました。大きく分類すると、一つは、都市機能を高める為の交通網等を中心としたインフラ整備であり、一つは、都市の住環境の改善や企業立地を進める為の都市再開発であり、更には、都市での産業再生の為の新技術創造の集積づくりであります。このため、今まで、製造拠点や大学等を、都市から排除してきた関係法令も撤廃されることとなっております

私共は、年来、都市が疲弊すれば、日本全体がおかしくなると、都市政策の必要性を声だかに叫んでまいりましたが、ようやく、小泉政権で日の目を見ることとなったのであります。こうした意味で、本年こそは大阪再生への本格始動への幕開けの年にぜひいたしたいと強く念願いたしているところであります。

景気回復の為には、金融機能の早期回復や、国際競争力、産業構造や社会構造の転換、為替レート、国内消費の回復等々、幾多の経済対策が相俟って実施されることが必要ですが、私共大阪府政の立場より考える時、なによりも、大阪の活力を回復させることが、一番の課題であります。その為にも、先にも申し上げました通り、行政コストは可能な限り縮減し、税の配分が受益者に、より実質的に届くように、そして民間の力が存分に発揮できるような環境づくりの為の大阪府政が推進されるよう、議会の側より、全力取り組んでまいりたいと考えております。

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