子育て、雇用、安全に重点

厳しい施策選択で効果的配分    

歳入不足で引き続き財政難

(大阪府の平成16年度当初予算より)

太田知事再選後初めての議会である大阪府の3月定例府議会は、3月2日に開会され、24日に、平成16年度当初予算案が可決された。

一般会計は3兆1636億9100万円、特別会計1兆1044億円、計4兆2803億5700万円。府税収入は1兆1044億円で、前年度より445億円の増収を見込んでいるが、歳入不足で6年連続赤字となり、苦しい財政運営を迫られている。

こうした中、行財政計画(案)のスピードアップや早期具体化、厳しい施策選択を行い「子育て、雇用、安全なまち大阪」を緊急性、即効性ある施策に重点的、効果的に配分してと、している。

−非行防止と35人学級の導入−

子育て支援としては、17年度保育所待機児の解消をめざし、保育所の増設や定員増をはかるため36億9100万円を計上。家庭での子育ても2億1700万円を計上支援する。また、子供の健康を守るため、小児救急医療24時体制の充実に1億6800万円などを計上した。

一方、教育関係では、小学校低学年に35人クラスの段階的導入への取組みに7億7500万円。府立高校の特色づくり、再編整備の推進に17億4300万円。この外、障害者教育の充実などをすすめる。 

また、子どもたちに自然や環境、文化活動など多様で豊かな学習活動の推進のため、「なにわっ子みらい適塾」「なにわっ子彩都自然塾」の実施。非行問題では、少年補導センターを「少年サポートセンター(仮称)」  に名称を変更。非行少年の立ち直り支援を充実、非行の防止、更生の促進をはかるほか、不登校児童生徒の個々の実態に応じたサポートを行うため、心理系学部の大学生を小中学校に派遣する事業として3175万円を計上している。

−1兆円融資の実現のために−

大阪経済の再生へ制度融資の充実やリレーションシップバンキングの促進など地域金融機関と一体となって中小企業の活力再生を金融面から支援するとともに、専門家等による検討会議を設置、大阪独自の新たな資金供給システムの構築に向けた検討を進める。

制度融資の充実としては府信用保証協会の制度融資枠として7000億円を計上し、返済負担の軽減等や連帯保証人の要件を緩和するほか、地域金融機関の「リレーションバンキング」機能を強化活用する制度を創設し、中小企業により低利で貸し付け出来るように、府が金融機関に一定の預託を行い、中小企業への貸付利息を1%下げる制度を設ける。

この外、商店街活性化サポート体制整備支援として8000万円、商店街防犯対策としての防犯カメラ等防犯設備を設置する商店街に対し7億円を計上した。

−3万人の雇用創出 若者の就職を支援−

府内の雇用情勢が依然として厳しいため、3万人の雇用の促進をめざし緊急地域雇用創出特別基金を活用して雇用創出をはかるとともに、若者向けワンストップサービスとしての「JOBカフェOSAKA」の設置、中高年齢層の就職サポートなど、あらゆる層の就職を支援、若者の未就職防止と転職への定着をすすめるための訓練事業を実施する。

雇用機会の確保、拡大としては、とくに雇用創出に92億円200万円を計上した。JOBカフェOSAKAは中央区のエル・おおさかに3500万円で新設され、ハローワークやカウンセリングコーナーなどの窓口が設けられる。

また、ホームレスの就労支援に3600万円が計上された。

−高齢・障害者自立支援 乳幼児医療対象者拡大−

高齢者・障害者等の自立と社会参加の推進をはかるため、中学校区単位でコミュニティソーシャルワーカーを配置するなど、「いきいきネット」の構築、自立生活を支援する。医療費公費負担事業では乳幼児医療費助成を0歳から2歳の通院に38億2945万円を計上。母子家庭医療費公費負担では、18歳に到達した年度末までの子と母の入院に拡充している。

−空き交番解消へ ひったくり対策も−

「安全なまち大阪」の実現をめざし、ひったくりなど街頭防罪の撲滅に向け2億7000万円。警察官240人を増員し、警察力の強化をはかるほか、空き交番対策として府内の600か所ある交番の過半数の空き交番を解消するため交番相談員(警察官OB)の増員に3億400万円。ひったくり対策の大阪スカイブルー隊の増強に2300万円でバイクを増車する。