りんくうタウンに『経済特区』を

大阪ベイエリアの活性化 成否のカギ握る地元の熱意

H14年8月)自民党大阪府議団便りより   

4月下旬、大阪府企業局が大手前から関西国際空港対岸のりんくうタウンに引っ越した。高度成長期の1960年に発足した同局は、千里ニュータウン、泉北ニユータウン造成を手がけたが、80年代後半から関空建設に合わせて着手したりんくうタウン埋立造成事業がバブル崩壊とともに破綻、4千億円の含み損を抱えて撤収態勢に入った。十年後には廃局となる。

S02.JPGりんくうタウンを中心とする大阪湾ベイエリア構想は、ここに企業を誘致し大阪再生の一大拠点にしようという遠大な計画。予定では今ごろは超高層ビルが林立しているはずだった。ところがバブル崩壊−景気低迷の来襲で、用地分譲が停滞、さらに予定企業の撤退表明が相次ぎ、現在、造成地の57%にあたる180fが未分譲のままである。

 (←関西空港(左)とりんくうタウン)

企業局は退場しても、ベイエリアの活性化は府の直面する最大課題として残された。2月府議会でもその新対応策、戦略転換などが激しく論議された。その論点は▽ベイエリア地域における諸規制の撤廃▽土地利用転換▽民間投資の促進策に集中。たとえば、建物の高さ、容積率など土地利用に関する制限や、手続きに時間がかかる等の諸規制がその利用転換を阻み、優遇措置を受けられる施設運営が第3セクターに限られることも民間投資を阻害している、と時代に即応した施策転換を求める意見が相次いだ。府側もおおむね同調的で、分譲地の分割払い方式や土地賃借方式を導入する意向を示した。

一方、りんくうタウンの活性化の決め手とされるのが「経済特区」構想だ。これは国が特定地域を指定し、税制優遇措置や規制緩和を集中的に進め、企業立地などを促す手法。東京都も東京湾臨海地域で検討中だが、府はひと足先に「大阪経済再生特区」構想の概要をまとめ、関係省庁に具体化を要望した。

府の構想では、りんくうタウンに「国際交流型」、大阪市域に「創業促進型」の2特区を計画。前者は関空の立地と連動してカジノや高級飲食店、免税店などで観光客を呼び、外資系企業も誘致してアジアの玄関口にする。後者はIT関連や服飾産業など都市型産業を育成、先端分野の人材育成機能を強化する。

国も経済財政諮間会議で各種の経済特区を検討しており、大阪構想への反応が注目される。しかし、成否のカギを握るのは何よりも地元大阪の熱意と行政の体質改善だろう。2月府議会の代表質問で自民党府議団幹事長の若林まさお議員は「現在の組織や法律の縦割り延長でしかない施策から、民間の創意工夫を阻害する諸規制を緩和、廃止し、企業の視点に立った実戦的な戦略に転換すべきだ」と今後の方向を強調した。

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