平成17年 新春に思う

 

非常に多事多難であった昨年でありましたが、迎えました本年こそ、わが国にとり、また、わが街大阪にとって、ぜひ良い年になって欲しいというのが、新年に当たっての共通の想いであろうと存じます。長い長いトンネルをようやく通り抜け、やっと将来への曙光を見出し得るかなという感じが出てきたとき、天変地異というか、かつてない台風の大襲来と中越大震災の発生という、真に不幸な年になってしまった昨年でありました。

一方、一昨年から続いた各級選挙も、7月の参議院選挙をもって、一応の区切りを迎え、引き続き、小泉政権での構造改革が続けられることになりました。これから、次の衆議院選挙までの3年間は、衆議院が解散されぬ以外、大きな選挙はありませんが、私は、ここ数年の期間が、21世紀の日本を創る上で最も大事な時期になるのではないかと思っております。

私たちの国は、明治以来、開国をし、ひたすら国の近代化と国際化を進めてまいりました。そして、その課程で、大変不幸な経験をし、また、近隣の国々に多くの迷惑をかけた時代もありました。そして、そんな反省の中から、戦後の再出発にあたり、平和で民主的で自由で豊かな国をつくる決意をいたしました。そして、見事に、世界に誇りうる国をつくりあげたのでありますが、皮肉なことには、その頂点がバブルでありました。同時に、その平和で民主的で自由で豊かな社会の裏返しが、今日の児童虐待や凶悪な数々の犯罪事件、経済事件を招来したことはまことに皮相なことと言わなければなりません。

今、日本の社会は、歴史上にも残る大きな転換期を迎えております。急速な高齢化と少子化、人口増から人口減、工業化から脱工業化、中央集権から地方分権、そして超核家族社会、等々、一つだけでも社会を根底から変革させてしまうような大きな社会潮流が、一挙にこの国に起こっています。そして、その押し寄せるうねりの中で、新しい国のかたちを生み出すための大きな生みの苦しみの中にあるのが、今の日本の姿ではないかと思います。小泉内閣の構造改革は、まさにそのことに対するチャレンジでありますが、課題が大きく、また多いだけに、単純明快に、処方と成果が、国民の目に見えぬことが、国民のフラストレーションになっているのではないかと思われます。

 明治以来、つくりあげた価値体系が、今や大きく変わることを余儀なくされています。昨日まで、日本を支えた産業が、今日は国際競争力を持ちえなくなってしまっている。頭ではわかっていても、自らがその場にあれば、果たして、素直に理解できるであろうか。こんなことが、あらゆる分野で起こっています。強い産業と弱い産業、いわゆる経済の2重構造が起こっているのです。国や地方団体の行政も同じであります。右肩上がりの経済成長を前提とした行政サービスと財政システムが機能不全を起こし、大阪府を初め、国や多くの地方団体が財政破綻すれすれの財政運営を余儀なくされているのであります。
 
また、皆さんの最も関心の高い年金問題や社会保障の問題も、突き詰めれば、急激な人口構造の変化で、受益する人と負担する人の人口割合がいっぺんに変わってしまうという、世界にも例を見ない社会現象から惹起してきていることは、皆なが承知していることだと思います。しかし、承知はしていることと、現状を受け入れることとは別であります。否、実は、そこ一番難しいところであります。そんな屈折した時期にあり、まさに胸突き八丁にあるのが今の日本ではありませんでしょうか。

 しかし、日本社会の構造変化は間違いなく起こっております。そして、このことに対応できねば、日本の未来がないのも間違いのない事実であります。私たちの大阪府の行政も同じだと思います。三位一体改革の始まりで、国と地方との関係もようやく、変化の端緒を示すことになりました。日本の最も大きな転換期、そんな時代に対応する大阪府政を確立するためにも、本年も精一杯の政治活動を続けてまいりたいと考えております。