社会的セーフティーネットを守れ

                      −橋下改革−

医療・福祉・まちの安全・教育の4分野

  橋下徹知事は6月5日、大阪府の財政再建を図るため「大阪維新プログラム」を発表した。これについては7月臨時議会で審議するが、自民党府議団は同プログラムに先立ち、財政再建に関して2次にわたって知事に提言した。

●財政再建プログラム試案

 いま大阪府は、知事による行財政改革の嵐が吹き荒れている。

 府は危機的な財政状況を踏まえ、平成20年度で1100億円、28年度までに6500億円の収支改善が必要としている。

 知事は、20年度当初予算を7月までの暫定とした。本格予算は7月臨時議会に提案することにし、そのたたき台となる改革プロジェクトチームによる財政再建プログラム試案を4月に公表した。

 試案は、医療費補助や私学助成の縮小、府立体育会館や弥生博物館の廃止・統合など府民生活に大きい影響を与える内容で、市町村や福祉団体など各界から大きな反対の声が上がっている。

●「非常事態」宣言

 そもそも知事は、なぜ単年度で1100億円という膨大な削減額を出したのか。知事の昨年12月の出馬表明時点では、危機的な財政問題は表面化していなかった。表面化したのは年末の新聞記事で、府は16〜19年度で返済すべき地方債3500億円を返済せず、借換債を発行して借金を先送りし、20年度以降も続ける予定であることが判明した。16年度から23年度までを合計すると、6315億円となる。今日の状況は、近い将来には起きる運命にあったのである。

 知事はこのような財政危機を乗り越え、後世に借金を先送りしないため、「収入の範囲内で予算を組む」として「財政非常事態」宣言を行った。 

●借金の先送りはしない

自民党府議団はこれまでも前知事に対し、減債基金からの借り入れという禁じ手をやめ、早急に財政健全化に取り組むよう強く要請してきたが、聞き入れられなかった経緯があった。

 橋下知事は、自民党府議団が中心となって知事候補に推薦したのであり、また借金を将来世代に先送りしないという姿勢は、我が会派も同じである。

 したがって、府議団では知事を支援し、ともに府財政を立て直していくつもりだが、今回の試案では障がい者、高齢者など要支援者に過剰な負担がかかるものや、公の施設で必要なものまで廃止に含まれている。


●「セーフティーネットを削減するな」府議団が提言
府議団では、地方政府の役割は住民の生活の安全を保障し、不幸を防止するための公共サービスを提供するという社会的セーフティーネットの構築にある、と考える。その考えから、知事に対し2次にわたって医療・福祉・まちの安全・教育関係の予算については削減対象から除くことを提言。知事の改革案は7月臨時議会に提出されるが、府議団では積極的な議論を展開していく方針である。

【府議団の主な提言】

医療▽4医療費(老人、障がい者、乳幼児、ひとり親家庭)公費負担助成事業の継続▽救命救急センター運営関係事業の継続

 福祉▽高齢者の生きがい・地域生活支援事業の継続▽障がい者の生活を支える施策の継続

  まちの安全▽警察官定数削減を中止▽警察施設(署、交番等)の建て替え等の推進

 教育▽私学助成(授業料軽減助成、経常費助成等)は後退させない▽35人学級編成(少人数学級編成)小学1・2年生の「少人数学級編成」、3・4年生以上の「習熟度別指導」の実施

 歳入▽府営住宅跡地等の売却前倒し▽市町村施設整備資金貸付金(4%を超えるもの)の繰上償還▽府出資団体内部留保金、出資金等の活用▽退職手当債の活用

 

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