奨学金制度の充実が大事  無形世界遺産文楽の振興−

                               (平成15年11月20日  生活文化部・教育委員会一般会計決算より)

 

1.奨学金制度の維持について

酒井委員  現下の厳しい経済状況のもとで、学校教育の機会を保障し、生徒の皆さんが安心して学校に通える仕組みが大事。大阪府は、従来、授業料負担の軽減を主として対策を進めてきたが、厳しい財政状況のもとで、授業料軽減のみですべてカバーできず、このための隘路の解決策として、奨学金制度の改正を私のほうから強く提言し、平成14年度より府の奨学金制度が大きく改革された。制度改革後初めての決算であるので、運用状況の実態を聞かせてほしい。

私学課長  14年度の貸付人員、9574人、前年比、26,7%の利用増、15年度は、年度途中であるが、人員11405人、前年比19,1%の大幅な利用増となっている。

酒井委員  公立と私立ではどのような利用状況になっているか?

私学課長  改正をしたこの2年間の伸び率を改正前と比較すると、公立で37,7%私立で63,0%の伸びとなっており、特に私立高校生徒の利用が大幅増となっている。

酒井委員  公立高校には授業料減免の制度もあるが、私立高校では授業料軽減制度の最高でも、年間15万の個人負担をしなければならず、14年度でそのうちの半数の人、15年度では6割の人がこの奨学金制度を利用されている。この厳しい経済情勢のなかで、生徒の進学希望、教育機会を保障するための非常に大事な制度になっている。この制度をしっかり守っていくことが大事であり、行政が守ることはもとより、同時に、制度を受益する皆んなも守っていくことが大事である。償還の状況はどうか?

私学課長  12年度の変換率は74,6%、13年度72,7%、14年度は70,5%と、残念ながらここ数年滞納額が増加してきている。奨学生の返還意識の涵養する奨学金教育の導入、や、債権管理システムを確立し、奨学金制度を守るよう取り組みを強化している。

酒井委員  非常に厳しい状況のもとで、生徒が安心して学校へ通える制度として大変大事な仕組み、教育委員会、生活文化部においては、この制度を守るため万

全を尽くされたい。

2.       形文化遺産、文楽の振興について

BUNRAKU.JPG - 8,760BYTES酒井委員  このたびユネスコの無形世界遺産に選ばれた人形浄瑠璃、文楽振興についてどのような取り組みしているか?また、学校行事での取り組みはどうか?

文化財保護課長  財団法人文楽協会に補助を交付するとともに、本年度から、文化庁の事業として、小中学生を対象とした伝統文化こども教室事業を実施し、大阪市立高津小学校で文楽体験学習会を実施している。

文化課長  15年度事業として、16年1月末におおさか・元気・文楽をNHK大阪ホールで開催する。

教務課長  府立高校全日制課程において、85%の学校が芸能文化的鑑賞行事を実施している。

そのうち、古典芸能に関わる鑑賞行事は、43校。文楽鑑賞を実施している高校は9校である。

酒井委員  若い人ができるだけ早い機会に大阪の伝統文化に接することが必要、頭で考えてでなしに、身体で接することにより文化の良さが伝わる。従来、文楽に対する振興も金銭的に応援するのが行政の仕事だととらまえられてきた。むしろ、接する機会をつくっていくことが大事、特に若い人たちに。お金をかけるのでなく、仕組みとして考えることが必要。

教育長  戦後50年の教育のなかで、外来文化に傾斜していった。我々の民族、我々の社会がつくり上げてきた文化、芸術をもう一度きっちり腹の中に入れて、教育というものを立て直していかなければならない。学校教育の時間的制約があるが、どのような仕組みができるか、考えたい。