大阪再生に明確な目標を
         府政運営は選択と集中の実践で

平成14年12月定例会本会議より 

H14TEIREI.JPG平成14年12月定例大阪府議会の本会議で、酒井豊府議は「限られた財源を限られた時間内に最も効果的に運営するということが府政運営にめられる基本理念であり、とりわけ『選択と集中』の実践が強く求められる」と、政策決定システムの再構築、大阪再生に向けての政治的・政策的な戦略ビジョンとその実践の道筋について太田知事に質しました。

    なぜ、いま選択と集中か

酒井豊府議  バブル崩壊後の財政再建を図るべく、平成8年の「行政改革大網」から、現在の太田知事の下、昨年策定された「大阪府行政計画(案)」まで、数時にわたる再建計画を作成し、全国的に見ても、一歩先じた取組みを進めてきた。しかし、計画終了時に、府債残高が5兆1千2百億円に上るように、厳しい財政状況から脱却する兆しが見えたとは到底言えず「大阪再生」に向けた道筋も残念ながら全く見えてこないというのが府民の率直な実感ではないかと思う。

  事態は一層深刻化しており、失業率など、数々の経済指標にみられるように「大阪再生」は待ったましの課題であり、今こそ、府政のあらゆる力を終結し、この事態を打開し、新たな展望を開かなければならぬ、まさに「非常事態」にある。

  そのために、なくてはならぬのが、「選択と集中」の府政運営の実践である。

    現状分析と問題点

まず、第一に政策面から見るとき、いま効果的な「選択と集中」が行われているだろうか、という問題である。「行財政計画(案)」では、見直すべき施策は全面的に見直し、直ちに取り組むべき課題には、迅速かつ重点的に取り組むため、再生戦略会議を設置、新しい予算システムを構築するとしている。そして「選択と集中」を進める、重要な手法として再生予算枠が設けられたが、3兆1千億円の予算全体に及ぶ哲学であるべき。

  大阪府政は、大阪再生のために、今なすべき事は何か、どうしてもやり遂げなければならない目標は何かということを明確に選択し、思い切った「選択」と「集中」の上に立った戦略目標を明らかにすべきではないか。

  第二に、組織、機能面からの問題である。

  例えば組織の再編で、財政再建プログラム案以降、直轄組織や行革部門が拡大し、それぞれの役割分担も、極めてわかりづらくなっている。

  今後、大幅な職員削減をしつつ、大阪再生の困難な課題を担っていくためには、職員一人一人の能力を、最大限に発揮させることが、不可欠であり、そのためにも、簡素でわかりやすい組織は必須の課題であり、組織・人事においても「選択と集中」を進めることが強く求められている。

    大阪再生に向けての提案

これからの大阪府政がいかにあるべきか、3つの論点で、考えてまいりたい。

第一に、大阪人の心に、明快に伝わる、大阪再生のための、明確な戦略目標の確立である。

今年4月にわが党議員団は、ニューヨーク市に行政調査に行った。かつて腐りかけたリンゴと評されたニューヨーク州をみごと蘇生された姿を目の当たりにした。ジュリアーニ前市長によれば「市長の仕事は、市の方向性を変えるには、明確な目標を持ち、その目標を実現するための強力な実行力を持つ」ということであった。まさに選択と集中の実践例である。

  的をしぼって、大阪はこれで行くんだ、という方向性を明確に打ち出し、府・市・経済界も含め、集中的に資源を投資していくことで、大阪再生への糸口が見出されることになるのではないか。

  第二には「戦略目標」を早期実現するための「戦略的投資」をいかに素早く効果的に実施するか、ということである。

OSA21.JPG  この点に関し、知事直轄政策室が、新しい時代に的確に対応する、新機軸を作り上げると思っていた。ところが、再生戦略を展開するためのブレーン機能を、どのように担っているのか、はっきり見えてこない。再生戦略会議とは、予算編成作業を超えた、大阪の如何に再生させるのかの戦略を徹底的に議論する場ではないか。思い切った議論をする場ではないか。思い切った戦略目標を、時機失することなく、政策決定し、それを実効あるものとする戦略的投資を行ってこそ、再生戦略会議と、いえるのではないか。

  第三の課題は、府の組織や仕事のやり方をそれにふさわしい戦略的組織に、如何に仕上げるか、ということである。S21.JPG

  府の組織は、国の制度・施策の円滑な実施のために設けられがち。このことは、今日においても変わっていないのではないか。産業は産業、文化は文化、観光は観光といったタテ割りでなく、産業と人づくり、文化と観光など大阪再生につなげる真の意味の戦略的な組織づくりが、今の大阪に強く求められている。今こそ「選択と集中」の政策決定システムの構築に全力で邁進すべきである。知事の大阪再生に向けての政治的・政策的な戦略ビジョンとその実現に道筋について、総括して答弁を承りたい。

新しいことに挑戦し実行力を持って実践  太田知事

太田房江知事:これからの行政改革は「あれもこれも」ではなく「あれかこれか」の選択と集中が非常に重要な視点になっている。

  選択と集中、スピードある構造改革に意を払い、1年目は産業再生、二年目は都市再生と行財政改革、三年目は安全なまちづくりに着手してきたが、いずれも単年度限りではなく、継続して取り組むことによって確実な成果を上げていく。来年度は「子育て」と「雇用」をキーワードに集中的な取組みを展開していきたい。

  再生戦略会議は、選択と集中の考え方を具体化する施策形成システムとして昨年設置し、六月から部局横断的に施策全般を見据えたビルドアンドスクラップを検討しており、その成果を来年度予算に結実させたい。

  府庁の組織・人事も時代の要請に的確に対応し、政策の方向性に沿った戦略的、機動的組織のあり方について、府内で議論していきたい。

  併せて国に対しても都市再生プロジェクト、関西国際空港二期事業など、日本の将来を展望して大阪都市圏への集中投資を求めており、議員の提案である経済再生「特区」も思い切った社会実験を国に迫っている。

  何といっても大阪のポテンシャルはとても大きいのだから、文化や観光、経済交流、人づくりなど「大阪ブランド」戦略と位置付け、オール大阪で展開していく。さらに大阪府民にわかりやすいビジョンとして戦略的な構想を示せるように努力する。何が大切かを見極める先見力と、新しいことに挑戦する実行力を持って、スピード感のある選択と集中を実践し、就任以来掲げている「大阪再生」という目標の実現に全力をあげてまいりたい。