りんくうタウン 企業進出に魅力ある仕組みを

平成12年10月企業水道常任委員会より

大阪府議会水道委員会は、12年10月17日開かれ、酒井豊府議は、りんくうタウン事業の見直し、大胆な立地誘導策による活性化について太田知事ら理事者に質しました。主な質問は次の通りです。

  酒井議員  あえてきょうはりんくうタウンの建設された経過、そして空港と現状のりんくうタウンとの関係、こういうことで尋ねてきた。
 
外部監査報告で、仮に今のままの値段で土地が分譲されても、それでも大変な赤字が出る。りんくうタウンのこれからを考えるとき、収支を考えると同時に、本当にこの土地を生かして行くことを考えていかなきゃならん。これだけ大規模な、都市基盤の整った土地、国際空港に隣接している。これは、大阪にとっては大変重要な資源で、この土地にこれからどんな付加価値をつけて、どんな魅力をつけて事業展開するかということが最大の課題だ。
 
見直しを進めるに当たって、一つは、既に形成されているこの土地を空港事業の中でどのように位置づけていくのか、改めてよく協議してほしい。二つ目は、空港とのかかわりとは別に、この土地そのものに新たな集積機能を考え出さなければならない。その一つは、もっと国家的なあるいは国際的な核機能。そういうものをつくらないことには、非常に難しいんじゃないか。もう一つは、知事が創業特区構想ということを云っているけれども、創業といった次元だけでなしに、既存産業、特に大阪以外のところから進出していただけるような、メリットをこの地区につくり出さんと駄目で、大胆な立地誘導策、優遇策、そういうものをつくらないことには、非常に難しいんじゃないか。
 
もう一つは、知事が創業特区構想ということを言っているけれども、創業といった次元だけでなしに、既存産業、特に大阪以外のところから進出していただけるような、メリットをこの地区につくり出さんと駄目で、大胆な立地誘導策、優遇策、そういうものを考え出さんとこれからの事業展開は難しい。りんくうタウンのコンセプトをもう一度根底から考え直して取り組むことが、今求められているんじゃないか。

阪野企業局長  関空の支援補完という形でりんくうタウンが生まれた経過もあり、今後の関空の発展の中で既にあるりんくうタウンが活用されるということは、非常に有益であると考えている。今後関係部局とも連携し、国や関空会社にその活用を要請する。
 
現在の枠組みを変えてコンセプトを見直し、核機能を持つべきだとの話だが、りんくうタウンを活性化するために、当面は人の流れをつくり出す仕掛けが必要で、チェルシーアウトレットモールを誘致した。まだ十分でないと思うので、企業が進出する上で社会的にも経済的にも、トータルの意味で経営上のメリットをもたらすようなものでなければと考えている。今後どうした機能が必要か多面的な観点から、ゾーニングも含めて検討したい。特別自由貿易地域のように、税制とか金融措置を初め、法律措置を含めて総合的な施策が講じられることが必要かと思う。
 
府トータルとしてそういった議論等がなされるよう、企業局としても全庁的に積極的に取り組んでいく。大阪府独自の制度としても、産業再生プログラム案の中でも、企業誘致とか創業促進のための税軽減措置、産業拠点立地企業の事業展開補助金の拡充など、内外企業の誘致促進のために取り組むべき方策も掲げられている。企業局としても産業再生プログラム案の具体化作業に積極的に関与していきたい。

酒井議員  知事は,りんくうタウン事業の課題というんですか、どのように考えているのか。

太田知事  計画当初とは経済環境、地価の動向等々前提条件が大きく変化。今一番大事なことは、今日の現実に合った見直しで、当然経済動向も踏まえ、関西経済の活性化はもとより、府政の重要課題の解決にどのように資するのがりんくうタウンとしてふさわしいかという広い視野から検討が必要と認識している。

酒井議員  今の時代に合ったりんくうタウン像とは一体何か。

太田知事  りんくうタウンがもっとも大きな特徴である関空の対岸に位置していることで、これは大阪人、府庁の人間が思っている以上に大阪の大きな財産である。これを大事にベースにしながら、今の時点でどのような活用方法があるのか、議会の先生方を含め大きな知恵を結集しなければならない。

酒井議員  企業局の事業としては、造成原価があって、原価の中で価格形成し、最初決めたコンセプトを中心に何とかしようとする。ところが世の中が変わった。そこには全く乖離現象があると、それで行き詰まってしまった。このままでは大阪府そのものの本体を、それこそ再建団体に陥してしまうぐらい大変な問題を抱えている。

太田知事  ここが万一破綻すれば、府財政にとって本当に致命的な損傷を与える問題になる。

酒井議員  国家的事業と一体になりながらやってきたこの事業、もっと大きな仕組みができるように、国の力もかりるような、その辺のことを一遍ぜひ考えてもらわないと本当に大変なことになる。

太田知事  創業特区構想の一つとして税減免などの税制措置など、府でやれることは全部やろうと、これをりんくうタウンを初とする産業拠点に生かしていってもらう。しかし、これだけで十分とは思っていない。独自の取組みを進めていく一方、国の支援を求めていくべき事項も出てくるだろうと思っている。

酒井府議  今まではりんくうタウンには企業が進出するような付加価値が求められない、何かの付加価値をそこへつくって魅力ある、進出意欲をつくるような仕掛け、仕組みをこしらえてないとだめだと思う。

太田知事  創業特区構想ということで、補助金のかさ上げ、法人事業税を中心とした税制措置など、りんくうタウンを初め多くの企業立地拠点でこれを活用、この措置の実現に努めていきたい。しかし、これだけでは不十分で、創業特区的なものも結構だけれど、それを上回る国の大々的な支援を得た大きな仕組みという趣旨かと思う。
 
ご意見も踏まえ、新しいりんくうタウン像を示すに当たって、魅力ある機能とは何か、条件整備として今何が一番的確なのか、時代にあっているのか、企業にとって魅力あるのかということについて知恵を結集しなければならないと認識している。