時代に即した改革必要! 大阪から全国提言を!
                        
画一から個性尊重教育へ

平成9年3月  文教常任委員会より

  酒井府議   教育改革問題に関連してお尋ねしたい。
 
教育問題は、いろんな改革が提言され、府も職業学科の改編、特色づくり、新しいタイプの総合学科導入など一連の改革が行われてきた。そこで、その成果をどう評価されているか。

  網倉高校教育課長   専門学科や特色あるコースを設置した学校は、目的意識をもって入学する生徒が多く、中退率が非常に少ない。学科やコースの特色を生かした個性的な進路選択が行われ、学習、進路状況も成果が上がっている。

  酒井府議   教育改革の最大の問題は、特別なモデルをつくるんじゃなしに、教育界全体をどうしていくんだというところに最大の眼目があるわけで、今日までの改革を進めてきたが、これから本当に全体をどうするんだということに入らなければならない時期に来ていると思う。
  教育をどうしていくということを考えていくとき、教育委員会としての改革プログラムを持たなければいかんのじゃないか。

  網倉課長   改革の全体ビジョンが必要である。各校それぞれが個性化を図る理念を明確にし、選択幅の拡大や学校間連携の活用などで、特色ある教育活動が推進されるよう支援措置を検討する必要がある。と考えている。

  酒井府議   学校教育を変えていく大きなインパクトは、入試というのが非常に大きな意味を持っていると思う。
  この高校への入試の問題、それが中学校なり小学校なりの教育を方向づけると、こういうことになるわけで、私は、やっぱり高校教育は、これからそれぞれの学校の個性、特性を大きく打ち出していかなきゃならん時代に入ってくると思う。この入試改善について、今後どのようにお考えになっているのか。

  網倉課長   今後、各高校が個性的な特色を持つことにより、中学生が興味、関心、それから能力、適正等に応じて学校を選択することが一層可能となるようなことから、入学選抜の方法について生徒の個性を多面的に評価するよう検討したい。

  酒井府議   クリントンは教育は国家安全保障の基本であると、ここまで言い切っている。この問題は我国についても同様のことであろうと思う。日本の高校教育も既に準義務制に近い形になっている。
  その中で高校教育の質をどう時代に即し変化に即して確保していくかということは、国家形成の基本的な課題と思う。そこで戦後教育の基本理念に平等主義という観念があったわけですが、これが教育の保障という意味での平等を超えて、平等主義からすべてが同一でなければならんと、画一化という現象を起こしてきた。
  ところが実際には、やはりセレクトが起こる。その過程の中に、それぞれの学校現場では偏差値教育という形で対応されてくる。ある意味で本音と建前が日本のこの教育制度の中に包含しているという大変な問題があるんじゃないか。個性を尊重するということは、個人の能力をいかに引き出していくかということ、それは格差としてではなく、個人がそれぞれの持っている能力というもの、その能力の違いを認め尊重し合う。そんないろんな能力をお互いに引き出し合いしていくのが、教育の大きな使命である。
  教育改革の理念は出てきたけれども、実際のそれぞれの学校でどうしていくかとういうところについては、そこまで行ってないのが現状で、そこをどうするかということが最大の課題であると思う。
  そういう意味で府の教育が小中高校を含め全部リンクしているわけで、その中でどのような改革を進めていただけるかご答弁願いたい。

  林教育次長   教育機会の平等ということが高度成長には一定の役割を果たしたといえるが、平等主義の名のもとに画一的な教育が行われ、ひいては知識の量という単一の尺度によって個人や学校を評価する風潮を生み出していることは否定できない。
  画一的な形式平等主義の意味を払拭することは、府学校教育の活性化にとって大きな課題である。

酒井府議   これからが本当に教育改革の正念場であると思う。ぜひ衆知を集め、対応をしてほしい。教育委員会が中央で決めたものだけじゃなく、大阪から全国に提言するということで取り組んで欲しい。

  服部教育長   画一的、平均的、知育に偏重した教育への反省、その上に立って生徒の一人一人の特性に注目し、豊かな創造力をはぐくむ、そして個性の伸長を図る教育へ転換していく、これが教育改革であろうと理解している。
  現下の重要な教育課題に的確に対応し、将来ビジョンを踏まえながらもお示しの大阪版教育改革プログラムといいますか、アクションプログラムと言った方がいいかもわからないが、それに到達するような手だてというものを、教育委員会の総力を挙げて、策定できるよう、それを目指して努力して行きたい。