独り言。




私は、奴が嫌いだ。
奴は、何を考えているのかわからない。
常ににやけた顔で、人の話も聞いているのか、いないのか。



出会いからして、最悪だった。
奴がまだ、スペシャルズのパイロットだった頃、
我々の奪取した試作機……スヴァンヒルドの回収任務についていたのが奴だった。

ゲリラの仲間は皆、奴にやられた。

それから、何度となく交戦してきたが、奴は私の事を惚れたと言ってはばからない。
……まあ、それは、奴のおふざけだと思うが。
私の反応を、楽しんでいるのだろう。



気に入らない。



だから私は、その都度奴を撃破してきた。
だが、「不死人(アンデッドマン)」とはよく言ったもので、
奴は、倒しても倒しても、何事もなかったかのように、いつものにやけた顔で、
私の目の前に現れる。


奴のパイロットとしての腕は認めよう。
だから、一度だけ、奴を説得したことがある。
マーチウインドに来いと。戦い続ける為、戦力が必要だと。


その時の心理状態は、自分でもよく解らない。
魔が差した、としか言いようがない。


あろうことか、奴は本当に、マーチウインドにやって来た。
クワトロ大尉に、自分の言葉には責任を持つものだ、と言われ、
奴の保護観察をするよう命じられた時は、
さすがに、自分のした事を後悔した。

それをいい事に、まるでストーカーのように、常に私についてくる奴。



……レラが死んだ時も、私の横には、奴がいた。



動転する私に、奴は容赦なく平手を食らわし……正気を取り戻させてくれた。
この件に関しては、感謝している。
但し、あくまでこの件だけだ。


これからも、戦いは続くだろう。
戦うことだけが、私が私でいられる手段だ。
それ以外に、マシな生き方など見つけられなかった。
幼い時に母を泣くし、3年前に父を亡くしてからは、
私は、それ以前の記憶を封じ込め、忘れるようにしてきた。


今の私には、戦いの記憶しかいらない。
他の事など考えられないし、必要ない。



……そう思ってきた。



だが奴は、人の都合などお構いなしに、
ずけずけと私の心の中に踏み込んでくる。
戦いの終わった、その先の事を考えろ、と奴は言う。


まったく…………イライラする。


先の事など誰にもわからないし、私には考えられない。
最近は、以前にも増して、奴の顔を見るたび心が掻き乱される。


イライラが……募る。


出来ればこれ以上、奴とは顔を合わせたくない。
これ以上、私の中に踏み込まれ、心が不安定になるのは
…………まっぴらだ。




(あとがき)
セレインのモノローグ。
「気に入らない」「イライラする」「まっぴらだ」…。
これすべて、セレインの、リッシュに対する恋心の裏返しだと思うのです。
自分では、それが恋だとは気付いていないのでしょう。
…あくまでも、私の解釈ですが。
昔の歌にもありました。

「愛してない 好きじゃない 気にしていない 泣いてない
いろんな言葉の ない を消したら それがほんとの 気持ちだったの」

…あまりにも古すぎて&マイナーな歌すぎて、誰もご存じないと思いますが。
私はこれを書いている間、頭の中ではずっとこの歌が流れていました。


戻る