あ はぴい ばあすでい 〜version A&R〜



俺たちにとって、誕生日なんて重要なことじゃないだろう?

・・・・・ここは、俺たちの居た世界じゃない。
いつ生まれたのか、今までどう生きてきたのか。
ここではそんなもの、全く意味を持たないのさ、こいつが。

まあ、全否定するわけじゃないがな。


否定すればするほど、俺たちには死神がまとわりつく。
全てをリセットして生きていくには、俺たちはあまりにも戦争をし過ぎた。


だが、この世界で生きていくと決めた以上、
大事なのは【これからどう生きていくのか】だと思うんだがな。
…お前は、どう思う?




そういえばお前は『誕生日の意味がわからない』と言っていたな。
そうだな…。
お前にとって誕生日ってのは、

【レモン=ブロウニングの手によって『作られた日』のことだ】

…ってな。


……ちっ、表情ひとつ変えやしねえ。
お前はレモンの手から離れ、俺について行くことを選んだ。
それは、過去から訣別したってことなんだぜ。

…………。

つまりだな……。

…………。

……俺と一緒にこの世界に留まる事を決めた瞬間が、
お前にとっての本当の【birthday】だと思うんだな、これが。

…………。

ふん、わかっているのかどうか知らないがな、
今お前が、自分の意思で【此処に居る】ことが、
一番大事で、一番重要なことなんだぜ…?



(…………俺にとっても、な…………。)



…ああ、わからないんなら、それでいい。
俺たちはまだまだこれからだ。ゆっくり理解していけばいい。



お、そろそろ時間だな。
ロンド・ベルの皆が待っている。
そういや今日は、誰かの誕生日だと言っていたな…。

……言ってやるか。

【あ はぴい ばあすでい】……なんてな。




(あとがき)
…どーーしてもアクラミのお話は、先行きに影を落とす展開に
なってしまいますね。
リッセレ話との大きな違いは、この辺なのですよね。
リッシュとセレインには、暗い場所から光に向かって歩いていく、という
イメージがあるのに対して、
アクセルとラミアは、2人の距離が近付けば近付くほど、
何かを失わなければならないような、
絶望的なイメージがあるのですよ。
ゲーム中では軽いノリだっただけに、尚の事。

まあ、それはそれとして。
今回の「あ はぴい ばあすでい」は、
対になったふたつのエピソードが集まって1つのお話、という
つもりで書いてみました。
是非リッセレヴァージョンと読み比べていただきたいです。

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