カエルツボカビ症

 

 

 

アズマヒキガエル

イモリ

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シュレーゲルアオガエル幼体

ツチガエル

ヤマアカガエル

クサガメ

ニホンアマガエル幼体

ニホンアマガエル

アズマヒキガエル幼体(体長10mm)

 

カエルたちを守るために、菌の封じ込めにご協力下さい。

2007年2月6日


ツボカビ症とは

2006年12月、日本国内で初めてのツボカビ症の発生が確認されました。
まだ閉鎖水域(飼育下)での発見にとどまっていますが、今後は自然界での発見も時間の問題とされています。
(07年5月、野外捕獲のウシガエルに陽性個体が見つかりました)

2007年1月12日、「カエルツボカビ症侵入緊急事態宣言」が国内16の関係機関・団体の連名で発表されました。

ツボカビ症は両生類・爬虫類に感染するカビの仲間の真菌です。感染力が強く死亡率が9割と高い病気です。一度流域で発生すると止める方法はなく、短期間に流域全体に汚染が広がってしまうため、カエルなどは全滅してしまいます。

海外ではすでに流域全体に感染してその流域固有のカエルの亜種が絶滅してしまった地域があります。両生類などの移動の制限を決めた国もあり、国際的な両生類・爬虫類の取引も規制する検討がなされています。

 

もし不審なカエルの死体を見つけたら

春、狭山丘陵の谷戸でも冬眠中のアカガエルが活動を始める時期になります。
不審な死にかたをしたカエルやたくさんのカエルが死んでいるのを発見したときには、すぐに通報することによって感染の拡大を防ぐ必要があります。

●外傷が無く、カエル合戦による圧迫死でもなく、皮膚に腐敗とは異なる剥離や異変がある場合はツボカビ症を疑う必要があります。
●カエルの不審な死体はすぐに水から出して、ビニール袋などに厳重密封して腐敗しないように冷蔵・冷凍するか、ホルマリンで保存します。
●通報して、検査が必要と判断された場合は腐敗しないような手段で検査機関に送付して検査をしてもらいます。
●不審な死体を発見した場所で使用した靴や長靴、手袋、採集道具は市販の消毒薬(エチルアルコール、イソプロピルアルコール、塩化ベンザルコニウム(オスバンS)など)で説明書に指示された濃度で消毒をします。
●もしツボカビ症と検査結果が出た場合は水域の全面封鎖を行って人間や動物による細菌の拡散を防止する必要があります。

 

予防や対策のポイントは

○輸入されるミドリガメなどのペットや水槽内の水草が菌を広げる可能性があることがわかっています。不用になったペットなどを自然の川や池などに放流しないで下さい。
○両生類のなかでも、感染したウシガエルは発症せずに菌の媒体になる可能性があります。池などでウシガエルやアメリカザリガニ、アカミミガメなどを駆除する場合は、他の水系に菌が拡散しないように処分をして下さい。
○屋外の池や水槽で飼育している両生類や爬虫類が死んだ場合は、他の動物に捕食されたり持ち出されないようにすぐに回収をしてください。
○死んだペットの水槽を洗う場合は漂白剤などで水槽内の水を消毒してから排水してください。下水の構造によっては自然河川に流入する場合があります。(本下水道でも雨水が合流する場合はどこかで自然河川に接続しています。)
○一度ツボカビ症が発生するとその水域の両生類、爬虫類が全滅してしまいます。靴の底に着いた泥や草で菌を広げてしまわないように消毒をしてください。
○自然観察会などでむやみに水辺に近づかないようにしてください。

 

詳しい情報は

環境省平成19年(2007年)報道発表
環境省_カエルなど両生類に感染するツボカビについて (env.go.jp)

環境省自然環境局 平成21年度カエルツボカビ等実態把握調査検討業務報告書
https://www.env.go.jp/nature/intro/bd-kentou/houkokusyo3.pdf

国立環境研究所 2008年 カエルツボカビ症の現状      
https://www.nies.go.jp/kenkyusaizensen/200810.html


麻布大学 宇根教授論文 獣医疫学雑誌2013年「日本におけるカエルツボカビ」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jve/17/2/17_138/_pdf

NationalGeographic(ナショナルジオグラフィック)2018年のNews
両生類を襲うカエルツボカビ、朝鮮半島原産と判明 | ナショナルジオグラフィック日本版サイト (nikkeibp.co.jp)

カエルツボカビフォーラム2007(07/6/10)

07年6月10日、カエルツボカビフォーラムで国内種に関する新情報が公表されました。国内種78個体の検査の結果、42の陽性個体が発見されました。そのうち野生(野外)個体は、14個体を検査して、見つかった陽性個体4例の全てがウシガエルでした。なかでも純粋野生捕獲された1例が注目されました。

現在、中米とオーストラリアでは両生類に大きな被害が出ていますが、アメリカとカナダではツボカビ症の陽性個体が数多く発見されているにもかかわらず、危機的な被害が出ていません。鍵を握っているのは感染しても発症しないウシガエルにあるようです。ツボカビ菌に鈍感な種類のカエルは絶滅するような危機に至らないのではないかと推理されています。

国内での研究が始まってまだ6ヶ月なので、これから国内種の感染についての研究結果がわかるようになります。

新たな情報は研究機関のホームページで紹介されることになっていますので、新しい情報にご注意下さい。

 

遺伝子検査の結果について(2007/10/10)

全国から集めたサンプル調査の結果、国内在来種からは海外種とは遺伝子の塩基配列の異なるタイプのカエルツボカビ菌が見つかりました。また、麻布大学での予備調査では国内在来種のカエルは、菌にさらされても急性ツボカビ症を発症しないことがわかってきました。国内では、菌の感染媒体とみなされているアフリカツメガエルが千葉県などでは野生化しているにもかかわらず感染が拡大していないことにも疑問がありました。

新たな推理としては、日本やアジア地域にはすでにタイプの異なるツボカビ菌が存在していて、国内の在来種には抵抗力があるのではないか、また、有史以前から世界中にツボカビ菌の拡大があり、各大陸で進化、変異した複数のタイプの菌が数千年、数万年の周期で地域的な大感染を引き起こしていたのではないかというものです。

まだ、調査期間やサンプル数が少ないので、世界中の研究機関によるデータの照合などを通じて新たな発見が待たれています。

 

カエルツボカビ菌の起源(2018/5/11)

サイエンス誌2018年5月11日号に英国のフィッシャー氏らによるカエルツボカビ菌の遺伝子解析の研究論文が掲載され、カエルツボカビ菌の起源は東アジア(韓国と日本)にあることが特定されました。世界中から集めたカエルツボカビ菌の遺伝子を分析し、変異の系統をを解析したところ、韓国と日本の菌の遺伝子には非常に多くの多様性が見つかり、この地域に歴史的に古くからカエルツボカビ菌が存在していたことが判明しました。なぜ日本の両生類の多くが保菌もしくは感染しても発症しない理由が判明しました。

ふしぎの森の会 

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