Pezband

Pezband Laughing In The Dark Cover To Cover
USのレジェンダリーパワーポップバンド、ペズバンド1st(1977年)。パワーポップ好きにはマストなバンドです。名刺代わりの1曲目#1「Baby It's Cold Outside」が泣く子も黙る必殺チューン!ルビナーズに引けを取らない甘いメロディながら疾走感も持ちあわせてます。サビの展開はラズベリーズを彷彿とさせる。いきなりの名曲だ。ミドル#2「Tracer」のメロディもいちいち甘い。vo.ミミ・ペティニスの声はエリック・カルメンに似ているのでやっぱラズベリーズを強く感じてしまいます。#3「Princess Mary」は坦々とした中で随所にビートルズなホーンと共にフックを効かせる。バッドフィンガーなメロディラインが聴ける#4「Runaway」。ちょっと本家には深みが及ばないですかね(笑)。現在の彼等なら素晴らしい完成形がライブで聞けるかも?#5「Gas Grill」はこの盤では比較的やんちゃ度を持ったパワーポップ#。低空飛行で始まる#6「When I'm Down」は渋めかと思いきや2分で終わる頃にはフラッシュ・キューブスみたくなってる。#7「It's Only A Girl」はストリングスを用いたパワーポップバンドらしからぬアレンジ。この辺はシングルのみで終わった数ある泡沫バンド達とアルバム3枚も残した彼等との違いなのかもなあ。アルバム中盤を支えるポップロック#8「Please Be Somewhere Tonight」ではロックsideのエリック・カルメン風の声が聴こえてきてカッコイイ。かなり好きな曲です。次のオールドスタイルのロックンロールはその名も#9「Let's Dance!」。やっぱどうしても甘さが出るのが特徴ですね。#10「It Was Alright」もまさにペズバンドを特徴付ける小品パワーポップ#◎◎。マッカ・メロディと言えるバラード#11「Hold On」の極上メロディ。歌い回しもポール・マッカートニーですね(笑)。でも3分しかないのが良いです。本編ラストを飾る#12「Close Your Eyes」は#1に次ぐ必聴パワーポップ#。ビートルズとザ・フーを血肉にしての曲。ダイナミックさは2nd/3rdへの布石の気もするし。5分超えだけどライブだったらむしろアリです。ここから6曲のボートラ。13曲目〜4曲はデモ音源。#13「Ally Sally」はデモなのもあるけどまさに70sの時代を感じさせるロック#だなーっとvo.がオフ・ブロードウェイのクリフ・ジョンソンでした。本編ではホーンが効いていた#14「Princess Mary」のデモもクリフがvo.。全く違う曲だ・・めっちゃロック・テイスト強くて個人的にはこっちの方が好みかなー。ポップバンドじゃなくなりますけどね。クリフvo.で1番のオススメは#15「Eddie's Pals」。初期ザ・フーのようなリズミカルな展開をみせるポップ#。だけどシワがれたクリフの声がアクセントになってめっちゃ良い!#16「Oh Boy」も70sロック。しかしパワーポップとしてはドスが効きすぎなので、やっぱミミ・ペティニスの声が必要だね。未発表が2曲#17「Waiting In Line」はちょっと凡庸なロック#だけど#18「Any Thing For Fun」が駆け抜けるロックポップ#。ちょっとチープなのでしっかり仕上げて本編に入れて欲しいくらいだ。以上12曲+6曲。聴いた人の中には曲はまあ良いけどちょっと迫力に欠けるなあって思う人も居そうだ。そんな人はパンク・ニューウェーヴ色が強まる2nd、完成形の3rdへと進んでみてください。そこからこの1stに戻るとまたこの良さがしみじみ分かるのだと思いますよ。 ペズバンド2nd(1978年)。パワーポップって甘いメロディだけじゃなくて軽快にハネたビートが必要!って人にはうってつけのアルバム。1stが少し物足りなかったって人はココで一気に発散だ。中期ザ・フーのようなポップロック#1「Love Goes Underground」で幕開け。流暢なドラミングに乗って聴こえる音は相変わらずメロディアス。モッズ・リバイバルなこの曲で掴みはok!続く#2「I'm Leavin'」のパワーポップ#も勢いを殺さずに攻めの#。コレも◎で1stみたいな甘いアレンジに出来そうだけどバックは激しくやんちゃ度高めです。そしてそして彼等を代表するパワーポップ#3「Stop! Wait A Minute」。リズム/メロディ/ハーモニーの3要素のさじ加減が完璧だね!大好きな曲だ。サイケがかったイントロ#4「Come On Madeline」はお得意?のラズ・サウンドを受けた#。やっぱパワーポップバンドに「カモン!」の響きは似合うなあ。ここまでの曲はイントロ、アウトロに特徴を感じたりギターソロあったりでしたが#5「I'm The One」はいたってシンプルな正統派パワーポップ#。軽快さはそのままですけど。さらに疾走感を増す#6「Better Way To Win」。リズム&ビートだけで押し切るにはパンキッシュさが足りず結局素が出てしまう・・それはスポンジトーンズに似てる。後半にかけてかなりスリリングなピアノやギターアレンジが聴けます。#7「On And On」。これも好きな曲。ちょっとスクイーズぽくて起伏はそれほど無いのだけど耳に残る。聴く度にどんどん好きになった。ホーンセッションを従えたロックンロール#8「Lovesmith」はストーンズにも通じる。この辺を聞くとパワーポップバンドと紹介するのも気がひけるな。ザ・フー「Pinball Wizard」にインスパイアされたような#9「Black Magic」。メロディ展開は完全にUK寄り。ちょと90s以降だとスペースとか思い出すようなヒネた感じもみられる。#10「Gimme Gimme」はパワーポップ調な出始めとは裏腹にvo.は軽めのドン・ブリューワーとでも言いたくなるようなドス声が聴こえてきた。で、サビのバブルガムさ・・妙なマッチングです。でも悪くない。そして本編ラスト#11「Crash And Burn」はH/R並みのリフで突き進むパワフルな#。1stの曲にもっとも遠いところにあると言ってよいですね。ここから6曲のライブ音源。コレがまたとても良いのです!まずヤン・ハマー(ジェフ・ベック)で有名なギターインスト#12「Blue Wind」でスタート。〜そしてヤードバーズのガレージロック#13「Stroll On」へ。〜さらにさらにヤードバーズ#14「I'm Not Talking」へとメドレーで突き進む。躍動感溢れる演奏に痺れる。#15「I'm Leaving」のライブもここまでのカヴァーの感じそのままにプロフェッショナルな出来栄えだ。#16「Crash And Burn」のライブもさらにスピーディーかつハードにこなしてます。ギターがギャンギャンと炸裂してますな。次は1stでラストを飾った佳曲#17「Close Your Eyes」を演ってくれます。これまたライブ仕様に加速させてヒリヒリしたロック#にタテノリ必至だね。以上11曲+6曲。ここで分かった事は彼等は生粋のライブバンドだった!と言う事です。 ペズバンド3rd(1979年)。甘さの1stと激しさの2nd、そしてそのバランスがとれたこの3rd。まさに彼等の完成形と言えます。2ndの流れを受継いだ20/20のような軽快なパワーポップ#1「Stella Blue」からスタート。ミミ・ペティニスの声も旬をむかえたかのようにイキイキとしてカッコイイ!#2「Meika」はブリティッシュ・ハードのような豊穣なギターとアメリカン・プログレ的なメロディが絡む。パワーポップとは呼べないけど曲構成は後のニュー・イングランドにも通じるし個人的にはお気に入り。#3「Back In The Middle」も甘さと激しさが同居したAメロ、パンキッッシュなサビ、それにH/Rなギターソロまでもが融合。1stに戻ったかのようなポップな#4「Full Power」ですがニューウェーヴな感じがザ・カーズを彷彿とさせる瞬間あり。#5「Didn't We」も2ndでは消えうせていたポール・マッカートニーを源流とするミドル・チューン。良い曲だな。ココまで前半の流れは◎◎ですね。一区切りついたところで#6「African Night」は再出発のパワーポップ#。流れるような展開でレコーズ、ザ・カーズ、20/20なんかと一緒にランダム再生したい。#7「Make Me Happy」は典型的なアルバム収録曲。キャッチーさもなく盛り上がりに欠ける曲だけど、ロックな熱だけはビンビン感じるなあ。#8「Cover To Cover」はスタイリッシュなロック#。吐き出すような歌い方がめっちゃ◎。中盤のフック一閃の部分以外は坦々と・・。彼等の曲には時折、単調なメロディの繰り返しがみられるけどこの辺はシューズに近い気もする。#9「Hero Hero」のパワーポップは1stに収録されてても違和感ない。ポールマッカートニーが提供したシューズ#とでも形容しようか、、この表現って意外にぺズバンドの側面を表してないですかね?アメリカン・ロック#10「Unexpected」はちょっとポップバンドとしてならキツイかも。3分満たないのでさらっと聞流してしまうけどちょっと残念な曲。本編ラストはノリの良い#11「Don't Look Back」。曲自体は良いのでもっとポップにキャッチーな出来なら最高だったハズ?前半がとても良いだけに後半の曲の弱さが余計露呈してしまう。ま、それを差し置いても是非聞いてもらいたいですけど。ここからボートラ4曲はライブ音源。まず2nd収録の名曲#12「Stop! Wait A Minute」。変わらぬ演奏と声素晴らしい。やっぱ良いですね。間違いなくライブ映えするであろう#13「Lovesmith」(2nd収録)も最高です。そしてバディ・ホリー#14「Not Fade Away」のカヴァー。これはストーンズ的な「Lovesmith」の流れからすれば当然とも言える選曲。さらにはチャン・ロメオ(ビートルズ、スウィンギング・ブルー・ジーンズ)の#15「The Hippy Hippy Shake」のカヴァー。以上10曲+4曲。思えば2ndでのヤードバーズ、今回でのオールディーズのカヴァー曲のチョイスから彼等のホントの嗜好が分かってきます。彼等が目指していたのはポップ・バンドではなくあくまでロック・バンドだったんだなあ。ポップ目線でみると受け付けない曲があるのは当然のことでした。