温泉わんだらあ 源泉の宿・宿泊記

湯田川温泉/湯どの庵(★★★★★)
黒い板張りを基調としたクラシカルモダンな宿

この宿を選んだ理由(わけ)

日本秘湯を守る会の宿でありながら、デザイナーズ旅館のセンスあるモダンな要素が取り入れられ、パンフやネットで見たところ料理も十分期待でき、かつ宿泊料金も\15,000前後と比較的安いため、以前からずっと泊まってみたい宿でした。そこで今回クリスマス前の3連休を利用して2連泊を試みました。


●今回の料金 1泊2食/14,850円(税込み)     
●所在地 山形県鶴岡市湯田川乙38
●電話 TEL0235-35-2200/FAX 0235-35-2201
●交通 (電車)羽越本線鶴岡駅よりバス30分
●食事 夕食/和食、朝食/和食(いずれも食事処にて)
●風呂 内湯2、露天1
●施設 全14室
●イン/アウト イン14:00/アウト11:00
●宿泊日 2007.12.22-24 (2連泊)
●URL http://www.kameya-net.com/yudono/

■温泉

お風呂は2つ。檜風呂と石風呂です。チェックイン時は、檜風呂が男湯で、石風呂が女湯となっていますが、20時に男女が入れ替わります。24時間入浴可。泉質は硫酸塩泉。無色透明でにおいもほとんどありませんが、とても柔らかく肌に優しい感じのお湯でした。源泉掛け流しで加水はしていませんが加温はしているようです。

@ 檜風呂:2.5〜3m×4〜5m程度の檜の湯舟。湯温は石風呂と比べ気持ち熱めに感じました。




A 石風呂:3m×5m程度の内湯と2m×2m程度の(小)露天風呂。内湯は全体の約1/3が寝湯形状となっています。



■部屋

この宿は全てが2人用の部屋となっており、部屋の種類はツインとダブルから選びます。ダブルの方が2千円(税抜き)安いので、今回はダブルにしました。しかし、ダブルの方がツインの部屋に比べ、多少狭く、食事場所もホールで他の客と一緒でした(ツインだと食事は個室らしい)。残念ながら窓からの眺望はありませんが、10畳ほどの部屋は小上がりのベッドという工夫された間取りのせいか、狭さはほとんど感じさせませんでした。また、黒塗りの板張りのフローリングは全面床暖房になっていて足に気持ち良かったです。部屋の照明も天井のダウンライトと各所に置かれた白熱灯で薄暗い感じの良い雰囲気です(本など読むには少し暗めかも)。あと少し気になったのが、トイレにスリッパがなく、部屋と同じ黒塗りの板張りの床が続いていること。インテリアのデザイン的には良いのかもしれませんが、特に素足の時は抵抗感ある人もいる?のかもしれません。小上がりにはベッドのほか、小さなテーブルがあり、リビングスペースともなっていますが、床面がすだれ状になっていて、直に座ると少し足に痛く感じるかもしれません。座布団などあると良かったと思いました。しかし全般的に言うと、落ち付いた空間をセンス良く演出した部屋でとても気に入りました。

■料理

ダブルの部屋の人は夕食・朝食ともに食事場所はホールとなるようです。適度に隣のテーブルとは間隔が保たれていて、陶器や花などもところどころに飾られていて、ホールの雰囲気はなかなか良い感じでした。フロント業務も行っていた女性スタッフの皆さんが丁寧な応対で配膳してくれました。

(1泊目:夕食)
夕食開始時に説明があり、ご飯を含め5皿が順番に運ばれることが告げられました。1泊目の夕食はだいたいメニューが決まっているようで、ニンジンのポタージュ、柚味噌で食べるお刺身、鱈の酒蒸し(ポン酢で)、ポークのトマトソース、麦ご飯と納豆汁、最後にデザートとして、クリスマスも近かったため、クリスマスツリーに見立てた抹茶ケーキとだだ茶豆アイス。このだだ茶豆アイスは手作りで豆の風味も豊かでとっても美味しかったです(市販のだだ茶豆アイスより格段に美味しかった)。食事メニューはポークを除き、あっさり目の薄味で健康的な感じ。品数は多くないものの、1つ1つのボリュームがしっかりあって、思った以上にお腹いっぱいになりました。足りないようであれば、麦ご飯や納豆汁のおかわりもできます。




(1泊目:朝食)
朝食は7:30頃からで9:30までにホールに入ればよいことになっていました。最終受付が9:30までと遅めなので朝も時間に追われることなく、ゆったりと起き、朝風呂を楽しんでから食事ができるのは良かったです。メニューはシンプルですが、バラエティに富んでいて十分満足できました。ご飯はおかわり自由です。



(2泊目:夕食)
前日とは座席の位置が変わっていました。夕食開始時に女性スタッフから「昨日とはガラッと変わったメニューになりますよ」と告げられ、何が出るんだろうと期待が膨らみました。品数的には前日と同じくご飯まで含め5品。鱈のすり身豆腐(?)とすまし汁、鱈の昆布締め、白子(ポン酢で)、魚(カレイ?)の煮付け、よし蟹と蟹味噌、ご飯と鱈のあら汁。前日と違う特徴としては最後まで魚介系のメニューとなっていたことでしょうか。なかでも蟹が出てきたのは意外で、ボリュームもあり、蟹味噌もとっても美味しかったのですが、各品ともすべてがあっさり味の和風魚介メニューは前日に比べ、少し物足りないようにも思えました。前日の夕食の方が、洋風スープあり、魚あり、洋風肉料理ありと、飽きのこないよく考えられたメニューだったと思いました。そしてデザートは、チョコレートムース。これも美味しかったものの、前日に抹茶ケーキと一緒に出されただだ茶豆アイスの味には勝てなかったような。ちなみにこの宿で出しているケーキはどこか近くにある街の評判の?洋菓子店から買っているみたいです。



(2泊目:朝食)
朝から肉ジャガが出たり、焼き魚も脂身の乗ったサワラ?やサンマの佃煮など前日の朝食に比べ、わりとコッテリ感、ボリューム感のあるものでした。前日の夕食が少しあっさり系でもの足りなかったのを見越して肉を出したかのようにも思えるメニューでした。

■接客 チェックイン時の対応は少しマニュアル的にも思えましたが、女性スタッフの皆さんは客に話しかけるとき、常に笑顔で接するようにしているみたい(訓練されている?)。また、この宿はチェックイン後はエレベーター前までしかスタッフは案内せず、エレベーターから先は客が勝手に部屋まで行くシステム。スタッフが部屋の中に入らないことを基本スタンスとしているのは、客が無用の気遣いをすることなく、到着後すぐに部屋でゆったりくつろげるということで、今回その良さを再認識しました。(世間一般的には各部屋お付きの仲居さんがいて食事も部屋食というのを好む方が多いのかもしれませんが、それだといちいち食事の時間も気になるし、配膳の際に手持ち無沙汰になったり、かつ布団敷きで部屋に入ってこられた際も、やってもらっている間、手持ち無沙汰で居場所に困るもの。またそのたびに部屋の荷物など整理するのも骨が折れますよね!?)

■その他 「■部屋」のところで書いたとおり、各部屋は眺望がなく薄暗いのですが、その代わりリビングルームという中庭を望める広々とした空間が用意されています(チェックイン時もここに座ってウェルカムドリンク(ハーブティー)をいただきました)。ソファにテーブルがあり、風呂上がりにもここで"自由に飲める冷水"を飲みながらゆっくりくつろげます。冷水で感心したのは、いつ行っても飲み終わったコップが2、3個しかないこと。よく別の宿では、飲み終わったコップがいくつも重ねられ、新しいコップがすでになくなっていたりということもありがち。でも、ここでは頻繁に使い終わったコップを洗ったり、新しい冷水をこまめにつぎ足したりしているようで、心配りが絶えずできていてその意味でも好感度の高い宿と言えます。また、ネットで他の人の宿泊記などを読むと「リビングルームの一角に図書コーナーがある」ということだったのですが、おそらくそれがあったらしきコーナーは現在は宿で使われている趣味の良い食器やカップなどがガラスケース越しに陳列されたコーナーになっていて、欲しければ購入できるようになっていました。(冷水を飲むときに使ったコップと、夕食のデザート時に使ったスプーン、フォークと角皿が素敵だったのでつい買ってしまいました)




●総じて、この宿の評価は?

料金から考えてもこの施設全体のインテリア、部屋の雰囲気、源泉掛け流しの風呂、料理と、どこをとってみても5つ★に値すると思います。ただひとつ残念なのは、部屋からの眺望がないことでした。それでも今回2連泊してみて本当にゆったり心身ともにくつろげました。湯田川温泉街はあっという間に歩けてしまうほどの小さな温泉街ですが、のら猫や飼い猫など散歩をしていると何匹もの猫たちに出会えたのも良かったです。(お気に入り度=★★★★★)

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