源泉の宿・宿泊記

新穂高温泉/槍見館(★★★★★)
槍ヶ岳を見上げる露天風呂



創業80余年、蒲田川沿いに佇む奥飛騨の新秘湯の宿です。奥飛騨温泉郷には、平湯、福地、新平湯、栃尾、新穂高の各温泉地がありますが、槍見館のある新穂高温泉はその奥飛騨温泉郷の中でも最深部に位置しています。当初は北アルプスの登山者たちの山宿、登山基地として出発。今でも昔を懐かしむ老アルピニストたちが多く来訪するそうです。平成12年10月には新装開業。本館の建物は新潟から旧豪家の屋敷を移築して建てられたもので、館内全体に上品な木の温もりを感じさせてくれます。宿の名は、槍ヶ岳が見える宿ということで命名されたものだそうです。

●料 金 1泊2食 15,000円〜
●所在地 岐阜県吉城郡上宝村新穂高温泉
●電 話 0578−9−2808
●交 通 長野自動車道松本ICから国道158号経由で約2時間
●食 事 夕食/和食(食事処)、朝食/和食(食事処)
●風 呂 露天風呂(男女各1、混浴1)、貸切露天風呂4、内湯(男女各1)
●施 設 全16室/売店
●イン/アウト イン14:00/アウト11:00

■温泉 泉質は無色透明の単純泉。癖のないさらっとした感じのお湯です。ここ槍見館はお風呂の数が多く、貸切露天風呂だけでも4つもあるので夫婦や恋人同士でも露天風呂めぐりが楽しめるのではないかと思います。以下に全てのお風呂を掲載します。
(露天風呂)
・「山男の湯(男湯)」、「女神の湯(女湯)」:岩風呂で基本的には後で述べる槍見の湯と同じタイプのお風呂です。
(貸切露天風呂)
・「岩見の湯」:自然石に囲まれたこじんまりとしたお風呂で、他に比べると幾分閉鎖感あるかも。
・「渓流の湯」:川に一番近い場所にあるジャグジーのお風呂です。湯船が木製でいい感じだったのですが、その木にコケのような緑がかったものが付着している部分があり、ヌルヌル感がありました。レジオネラ菌はかけ流しでもコケや錆に巣食うと言われます。個人的にはちょっと警笛を鳴らしたいお風呂でした。
・「森の湯」:打たせ湯、すべり台・ブランコ付きの木枠の湯船。貸切露天の中では一番落ち着けました。
・「幡隆の湯」:地獄釜が3つ並んだ川沿いにある眺めのいいお風呂。鎌は鉄製でしょうか。ちょっと錆が目に付いたのが気になりましたけど。
(混浴露天風呂)
・「槍見の湯」:宿によると「露天風呂の原点」に立ち返るような絶景風呂とのこと。たしかに数ある露天の中では最も眺めがよかったように思います。開放感もありますし、蒲田川の豪快な音を聞きながら、槍ヶ岳を眺め、湯に浸かるのは格別なものがあります。但し、この混浴、脱衣所が男女別れてません。それに湯船も混浴というからにはもっと広いものを想像していたんですが、実際はそれほどでもありませんでした。でも露天の中ではここが一番入りごこちが良かったです。
(内風呂)
・「ごての湯(男湯)」、「かかの湯(女湯)」:露天風呂は全て24時間利用可能ですが、内風呂はチェックイン〜翌朝10時までの利用となってます。この内風呂からも晴れの日には槍ヶ岳を望むことができます。浴室全体的に木を基調とした温かみと清潔感溢れる造りとなってます。男女ともそれぞれ2つの浴槽があります。槍見の湯と穂高の湯。槍見の湯は湯船も大きく、浴槽は底も含めて総檜造り。幾分ぬるめの湯がかけ流しで満たされています。これに対し穂高の湯の浴槽は幾分小さめ。槍見の湯の1/5〜1/6くらいでしょうか。こちらも檜の浴槽ですが、底は丸石を敷き詰めてコンクリートで固めたような感じでした。お湯はこちらの方が熱め。ぬる湯とあつ湯の交互浴ができるのはうれしいところです。洗い場はシャワー付きの蛇口が4箇所ほど。燈色の明かりで実に感じのいい雰囲気です。天井も高く、木の丸太の梁が丸々見えて開放的な造りになっていました。露天風呂もたくさんありましたけど、私はこの内風呂が一番好きでした。浴室正面には木枠の大きめのガラス戸があり、この戸を開け放つこともできます。ここからも露天と同じように槍ヶ岳を眺めることができます。
(槍見の湯 (岩見の湯 (渓流の湯
(森の湯) (幡隆の湯 (内湯(ごての湯)
■部屋 2階建ての本館には客室が14室。ほかに土蔵造りの離れがあり、そこには次の間付き2階建て・専用露天風呂付きの客室が2部屋あるそうです。私が今回泊まったのは本館2階の焼岳の間(207号室)でした。部屋は洗面、トイレ、広縁付きの9畳の和室。広縁の部分は畳の間とは15センチ程度段差をつけて(低く)設けられた板間となっていました。広縁にはいわゆる3点セット(籐椅子2つに円卓1つ)が置かれていますが、それを置いても左右にかなり余裕のある広めの板間です。この3点セットの下にはベージュ色のラグが敷いてありました。窓の外には蒲田川の流れを見やることができます。天井を見ると重厚な黒光りのする木の梁が剥き出しになっており、感じのいい燈色の明かりと相俟っていい雰囲気を醸し出していました。なお、部屋に備え付けの小型冷蔵庫は中を自由に使うことができます。
(部屋) (本館2階の廊下)
■料理 夕食、朝食とも食事は1階のお食事処でいただきます。宿泊料金によって差をつけていると思われますが、私たちは2組用の個室のお座敷でした。一緒の部屋でも隣とはついたてで仕切られていました。夕食は飛騨の郷土料理的な素朴なものが少しずつ工夫(アレンジ)されて出てきました。食前酒に山ぶどう酒が少々、川魚のお造り(2種)と昆布じめ、鴨肉のパイ包みと野菜添え、ホタルイカの胡麻風味味噌和え、飛騨牛の朴葉味噌焼きが最初にテーブルに並べられ(写真下左)、あとから小出しに、ざるどうふ、うなぎの道明寺蒸しとゆば巻き、アユの塩焼、天ぷら(川魚、山菜2種)、山菜盛り(ふき、ぜんまい、竹の子、里芋)の5品が1品ずつ運ばれてきました。これにご飯とお吸い物それに漬物(赤かぶ、小なす、きゅうり)です。デザートは、柚子のゼリーでこれがまたとっても美味しかったです。次に朝食です。(写真下右)朝食は、トマトジュースが少々、アジの干物、メカブ入りとろろ、煮物小鉢、温泉卵、朴葉味噌にご飯、しじみの味噌汁、漬物がでました。あとデザートには桜風味と抹茶のゼリーがでました。抹茶ゼリーには生クリームが添えられていてこれもとても美味しかったです。やっぱりこの辺では朴葉味噌は夕食、朝食とも外せない1品となっているようです。
(夕食(ほかに5品が小出しで) (朝食)
■接客 お着きの菓子は桜色の桜羊かん。部屋の冷蔵庫で冷やされていたようで、客室係の人が部屋に着いたときに出してくれました。冷たくほどよい甘さで美味しかったです。従業員の接客姿勢は総じてかなり良かったと思います。廊下ですれ違うと一旦立ち止まってお辞儀してから通り過ぎていくような感じでした。宿泊日初日は、あいにくの天気で雨が降ったりやんだり。露天風呂巡りをしている最中も途中で雨が降ってきてしまって…浴衣が濡れてしまって気持ち悪かったので、お願いして新しいものに取り替えてもらいました。チェックインしてからそれほど時間が経ってないし、嫌がられるかなとも思ったんですが、気持ちよく新しい浴衣とバスタオルを用意してくれました。
(宿のオフィシャルHPはこちらから)

■源泉チェック■
無色透明
泉質 単純温泉
源泉温度 63度
湧出量 450リットル/分
PH
湧出状態
飲泉 不可