源泉の宿・宿泊記

高湯温泉/吾妻屋(★★★★☆)
全10室に8つの湯舟・湯量豊富な自家源泉



吾妻山麓、標高750mに湧く高湯温泉は、山形の蔵王高湯、白布高湯とともに奥州三高湯と呼ばれる古くからの湯治場。そのなかでも吾妻屋は創業130年の歴史を誇る老舗旅館。歌人・斎藤茂吉が泊まり、句を詠んだこともあるとか。ロビーはギャラリーになっていて、古代鳥瞰図や勝海舟の書、斎藤茂吉作の扇子などがあります。建物は木造一部鉄骨2階建てで1989年に一部改築

●料 金 1泊2食10,650〜15,900円(税・サ込)
●所在地 福島県福島市高湯温泉33
●電 話 024-591-1121
●交 通 東北自動車道福島飯坂I.Cから車19km。福島西I.Cから16km。
●食 事 夕食・朝食/和食(部屋食)
●風 呂 内湯 露天風呂 家族風呂
●施 設 和室10室
●イン/アウト イン14:00/アウト10:00
●宿泊日 2004.9.10〜11

■温泉 吾妻屋のお風呂の構成は次のとおりとなっています。
・ 内風呂「古霞」(男女別各1と家族風呂1)
・ 露天風呂「風楽」(男女別各1と家族風呂1)
・ 外風呂「山翠」(男女別各1)   計8つ
お湯は、乳白色の硫黄泉。客室は全10室で、湯船はこれだけありますから、極端な話、宿泊中一度も湯船で他のお客さんと、かち合わないままチェックアウトということも十分あり得ます。宿の外観はそれほど人目をひきつけるような洒落た感じではないと思うのですが、宿の裏側の敷地が思っていた以上に広く、そこには自然な山の木々が生えていて、露天風呂の環境に一役買っていると思いました。以下湯船ごとに記載します。
・ 内風呂「古霞」(男女別各1と家族風呂1)(24時間使用可)
内湯の家族風呂は、他の湯船に比べ狭くまた見劣りしていて、他のものが良いだけにあえて浸かってみようという気持ちは起きませんでした。でもこれは家族風呂だけの話で、男女別の方は総木造り風でなかなか良い感じでした。たぶんもともとコンクリート敷き?の湯船を木造り風に改装したんだと思います。湯船は2槽に分かれていて、湯口からは片方の浴槽にお湯が常時注がれていますが、この2槽を分かつ仕切りの真中は開いていて、もう片方の浴槽にもそこからお湯がどんどん流れ込んでいました。そしてこの流れ込んでいる方の浴槽の底には湯の華がより多く沈殿していました。温度も熱すぎずぬるすぎず適温で、いつまでも浸かっていたくなる湯船でした。
・ 露天風呂「風楽」(男女別各1と家族風呂1)(夜明けより22時まで使用可)
宿の裏手の敷地内をしばらく進んだ先に小さな湯小屋があります。入り口は、左から女湯、男湯、家族風呂と横並びになっていて、外で履物を脱いで中に入ります。履物が外に出ていれば、中に誰かがいるということで、特に家族風呂はそのようにして、使用中かどうかを判断することになります。湯船はいずれもそれほど広くはありませんが、総木造りですぐ前方に山の木々を見渡すことができ、落ち着いた雰囲気の露天です。
・ 外風呂「山翠」(男女別各1)(夜明けより日没まで使用可)
この宿目玉の露天風呂です。内風呂は24時間使用可、露天風呂「風楽」は夜明けから22時まで使用可なのに対して、ここは夜明けから日没まで。というのもこの露天は宿の裏手の山道をかなり(約80mくらい)登ったところにあって、たぶん照明など電気設備がないため暗くなると危険だからではないでしょうか。木造りの雰囲気ある湯小屋があって、入り口が男女別に分かれています。脱衣場は多少狭めですが、脱衣場を出ると、そこには山の木々に囲まれた岩風呂風露天が開けていました。周囲を山の木々に囲まれていてなんともいい感じ。ここの露天風呂が一番大きく開放感もあります。男性用の露天を奥まで進むと、山の木々とともに目の前には岩で作られた小さな滝と小川が流れている様子が垣間見え、水の流れる音とあいまって、とてもリラックスできる空間となっていました。この宿で一番気に入った湯船でした。


(内風呂「古霞」の男湯) (露天風呂「風楽」の湯小屋) (露天風呂「風楽」の女湯)
(露天風呂「風楽」の男湯) (露天風呂「風楽」の家族風呂) (外風呂「山翠」へ続く山道)
(外風呂「山翠」の湯小屋」) (外風呂「山翠」の男湯) (外風呂「山翠」の女湯)
■部屋

今回泊まった部屋は1階の2号室。休前日料金で12000円(税別)でした。2階は13000円ですが、部屋の造りは一緒で値段の違いはフロアの違いだけだそうです。1階といっても帳場のあるフロアから数えると3階にあたります。窓からの眺望はありません。部屋は8畳+広縁。広縁部分に応接セットと洗面台が付いています。チェックイン時に部屋の鍵を2つ渡されますが、ひとつは部屋の鍵と貴重品を入れるための金庫の鍵が付いたもの。もうひとつには部屋の鍵のみが付いています。夫婦連れやカップルなどで、それぞれお風呂に出かけて、あがった後も鍵を持った人を待たずに済むようにとの配慮からです。部屋に入る前の板の間のスペースやトイレの造りは、後から手を入れてはいるものの、やや建物の古さを感じさせました。また部屋に置かれたテーブルもけっこう年期が入ったものに見受けられました。でも、全体の印象としては、部屋全体のリフォームが効を奏し、小綺麗にうまくまとめているという感じ。これでトイレ付き12000円は良心的だと思いました。

(泊まった部屋・1階2号室) (広縁部分の応接セットと洗面) (ルームキーは2つ)
■料理

食事は夕食、朝食ともお膳ごと部屋に運ばれてきます。あまり慣れてないせいか、お膳で食べる食事は少し食べづらかったです。夕食について書きますと、山の秘湯なのに山菜料理、鮎の塩焼きのほか、海の幸の刺身の盛合せや海老の鬼がら焼き、ウナギなども出てきて、少々興ざめな感じは否めませんでした。ほかには馬刺しや鍋が出ました。また、鮎の塩焼きは火であぶって食べるのが印象的でした。でも、そのせいか香ばしさはあまり感じられませんでした。ビールも一緒に注文しているのに、ご飯と味噌汁が先に来たので、食べる頃にはかなり冷めてしまってました。デザートには桃が丸ごと1個(皮も剥いてないそのままのもの)出ました。食事は量的には満足ですが、山の秘湯らしい地のものだけを使った料理にしてくれるともっと満足できると思いました。

(夕食の膳) (夕食:鍋物)
(夕食:鮎の塩焼きほか) (朝食)
■接客

事前の電話でもチェックイン時より少し早めに到着しても1340頃からなら入れますと聞いていました。実際に到着したのは1345頃だったでしょうか。帳場には女将が居て、夕食・朝食の時間と館内のお風呂の地図を渡されて丁寧に説明をしてくれました。物腰の柔らかい、気配りの利く、とても丁寧なしゃべり方をする女将さんです。早く到着したためか、女将さんが部屋まで直に案内してくれました。ロビーにはセルフサービスで無料で飲めるコーヒーとお茶菓子のコーナーがあります。お茶菓子は宿の売店でも売っているものが置いてあり、時間内(8001900まで)であればいつでも利用できます。部屋に持っていって飲んでも良いようです。その他従業員の接客については特に問題に思うようなことはありませんでした。



■源泉チェック■
乳白色
泉質 酸性−含硫黄−カルシウム・アルミニウムー硫酸塩泉
源泉温度 48度
湧出量 500リットル/分
PH 2.7
湧出状態
飲泉