温泉わんだらあ 源泉の宿・宿泊記

山代温泉/白金屋(★★★★★)
平成17年に新館をリニューアしたクラシカルモダンな宿

この宿を選んだ理由(わけ)

前々から北陸でカニを食べたいと思い、JTBの北陸パンフレットなどを見ていたところ、源泉掛け流しの宿を、山代温泉の「あらや」、「白金屋」、芦原温泉の「つるや」に見つけました。そこでインターネットで宿のHPやクチコミなどを検索し、すぐに「あらや」と「白金屋」の2つには絞れたものの、最後の最後までどちらにするか迷いました。迷った理由は、@ネットで見つけたクチコミの中には「白金屋」の評価が低いものも多かったこと、A(白銀屋は)お風呂の一つがかなり狭く感じられたこと、B(白銀屋は)和室は1階以外は眺望が良くなく、写真から見てもあまり風格も感じられず、洋室は群青色の壁でインパクトはあるものの、あまり温かみや癒しの感じられないものに思えたことなどでした。決定した理由としては、「白金屋」の方が「あらや」に比べて、@2005年8月にリニューアルオープンしたこともあり、和の中にも宿全体に洗練されたモダンな要素が期待できそうなこと、A仲居さんが付かないホテル形態のシステムで気兼ねなく部屋でゆっくりできることでした。


●今回の料金 1泊2食/25,800円
●所在地 石川県加賀市山代温泉18−47
●電話 TEL0761-77-0025
●交通 JR北陸本線加賀温泉駅下車、タクシー15分
●食事 夕食/和食、朝食/和食(いずれも食事処にて)
●風呂 内湯+露天風呂/内湯(時間交代制)
●施設 和室7室/和洋室16室
●イン/アウト イン15:00/アウト12:00
●宿泊日 2008.1.23-24
●URL http://www.shiroganeya.co.jp/

■温泉

泉質は低調性・弱アルカリ性高温泉で、無色透明のやわらかなお湯でした(源泉掛け流し)。
湯船の構成は次のとおりでした。
@ 尚武の湯(加賀モダン1階)
A 吉祥の湯(白金クラシック1階)
なお、いずれも脱衣所にはタオル類が完備されているので、部屋から持っていかなくてもOKです。
@ について:広め(3m×4m程度)の総木造りの内湯と坪庭付きの露天風呂(2m×3m)があります。午後3時〜午後10時:男性専用、午後10時〜翌朝11時30分:女性専用


A について:3m四方程度の檜風呂で、@に比べるとかなり狭く感じると思います。午後3時〜午後10時:女性専用、午後10時〜翌朝11時30分:男性専用

■部屋

優先順位としては、第一に和室、第二に洋室と考えていましたが、和室は満室だったため、JTBでグレードアップ追加料金の2200円upで洋室を予約しました(平日料金で25800円)。洋室については「この宿を選んだ理由」にも書きましたが、事前に写真で見ていた感じから、自分たちの好みに合う部屋だろうかと、少し不安に感じていた部分も正直ありました。部屋は6階の602号(蝶のこ)という部屋。6階に3部屋あるうちの真ん中の部屋でした。6階のエレベーターを降りると、畳の廊下があって、その片側に3部屋の入り口となるドアが並んでいました。ドアは黒っぽく、大きながっしりとしたもので、とても重厚感=高級感があり、この入り口を見たときには、この部屋への期待感がかなり膨らみました。そしてドアを開けて中に入ると‥部屋の壁は感じていた不安どおり(写真で見ていたとおり)、全て群青色。きっと加賀伝統色である群青色をモダンに取り入れたというコンセプトなのかもしれませんが。天井は黒。床には光沢のあるフローリング、奥には大きな障子の閉まった窓とその前に布団が2つ敷かれていました。布団が敷かれている場所は1段高くなっています。ドアを開くとまず目立って見えるのがこの2つの白い布団。そして入り口のドアから続く廊下状のアプローチ、そして部屋の両側には細い溝のような段差が設けられていてその溝にしかれた白い小石‥。これらの光景にまずドアを開けた瞬間びっくりしました。この細い溝の小石は部屋を流れる川をイメージしたものか床板にダウンライト照明もついています。この川のような小石のせいか、存在感のある2つの布団のせいか、はたまた群青色の壁や光沢のあるフローリングのせいか、インパクトはあるのですが、奇抜すぎるのか、なかなか真からリラックスできず、翌日になってやっと身体が慣れたのか落ち着けるようになりました。決して悪評するつもりはないのですが、落ち着きという観点からすると、ちょっと自分たちと志向性が違うなあと思ってしまったのでした。

■料理

(夕食):夕食は個室風にアレンジされた食事処でいただきます。ほとんどの個室用スペースが2人用になっていました。食事の内容は、創作加賀料理とのことでしたが、期待以上に創意工夫もされていて美味しかったです。いわゆる旅館的でない料理が出され、特に白金屋名物という「赤八目茶陶包み焼き」がなかなか美味しかったです。どれも創作料理ながら、素材の味が引き出されていました。ただ残念なのは、次の料理が運ばれてくるまでに、かなり待たされること。料理を何品かずつまとめて調理するせいなのか、人手が足りないのか、自分たちより30分以上後に来た隣のテーブルの人といつの間にか食事の配膳ペースが同じになっていたのには驚きました。でも、この配膳の遅さを鑑みても、内容的には満足のいく料理でした。


(朝食):朝食は本館2階の食事処でいただきます。朝7:30〜9:30くらいまでの間に自由に行くことになっていました。9:00前頃行ったら比較的空いていましたが、紅柄格子の窓側の4人席があいにく一杯だったため、壁側の狭めの2人席になりました。この席は考えもので、1人は紅柄格子のある窓側を向いて座れるので良いのですが、もう1人は逆向きの壁側を向くことになるため、せっかくの雰囲気ある紅柄格子の窓を見やりながら食事ができないというのが残念でした。朝食は特に干物がふっくらと焼けていて美味しかったです。

■接客 加賀温泉駅い車で迎えに来てもらいましたが、宿到着まで10分かかるからと、発車する前に車中でおしぼりとお茶パックを渡されました。しかし、宿に到着しても、チェックインの15時に30分くらい早いということで部屋には通してもらえませんでした。駅からの送迎は14時頃からOKなんですけどね。この宿は仲居さんが付かないので、チェックイン直後に係りの人が部屋まで案内してくれるのみで、その後、宿のスタッフが部屋に入ってくることはありません。この方が気楽に部屋で寛げるのでいいですね。チェックイン時にお茶入れのサービスがないということで、部屋まで通された後、ラウンジのカウンター席で抹茶と和菓子のサービスが受けられます。ラウンジでは甘酒の用意もあって、自由に飲めるようになっていました。また、朝食後もこのラウンジではコーヒーサービスが受けられます。接客はスタッフ皆さん教育が一様に行き届いているようで、特にこれといった不満もなく、また基本的に放っておかれるタイプなので気兼ねなく寛ぐことができました。

■その他 部屋の冷蔵庫は「ご自由にお飲み下さい」との説明書きがあり、缶ビール2本、氷結2本、ポンジュースのペットボトルが2本、ミネラルウォーターが2本入っていました。たくさん種類もあって、しかもアルコール類まで入っていたので本当に無料なのか少し戸惑いましたが、チェックアウト時には確かに請求はされませんでした。今まで泊まった、例えば伊豆の「きらの里」でも冷蔵庫内は無料でしたが、ウーロン茶とミネラルウォーターの瓶が1人1本ずつ程度のものでした。一般的に宿泊料金が2万円後半台の宿でも、冷蔵庫内が無料ということは稀で、一般料金より高めに設定されていたりするもの。館内の自販機でさえ、料金設定が高くなっているところが多いですよね。そのなかで、1人に2種類ずつのアルコール類が無料になっていたのは結構ポイントが高かったです。冷蔵庫を開けて自由に中のものが飲めるのは家にいるような寛ぎ感が増します。このようなサービスはスーパーなどで買えば1人500円程度のサービスなので、是非他の宿でも実行して欲しいものです。。


●総じて、この宿の評価は?

北陸に行きたいと思っても、なかなか手頃な料金で泊まれる源泉掛け流しの宿がないんですよね。そのなかで白金屋は、外観は国の有形文化財にも指定されている紅柄格子の見るからに風情ある趣の建物。そして1歩宿の中に入ると、かなり斬新な和風モダンな雰囲気。「加賀モダン」の洋室は高級感溢れ、しかも夕食をはじめとする料理にも創意工夫がされ、目でも舌でも充分楽しませてくれました。ただ残念だったのは、夕食時の配膳の遅さと、欲を言えば、洋室をもう少し癒しの感じられる落ち着いた空間にして欲しいと思ったことです。でも今回の宿泊料金(¥25800)から考えれば、料金以上の満足感が得られた良い宿でした。(お気に入り度=★★★★★)

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