温泉わんだらあ 源泉の宿・宿泊記

奥蓼科渋温泉渋・辰野館(★★★★☆)
薬効の強い硫黄冷鉱泉の一軒宿

この宿を選んだ理由(わけ)

雑誌「自遊人」や温泉ガイドブックに掲載されている内湯(打たせ湯)や森の露天風呂の写真を見れば、入ってみたい、泊まってみたいと思わせるに充分な風呂の造り。インターネットでいろんな人の感想などを読んでも、全体的に評判が良く、施設面の古さは気になったものの、風呂の造りに魅了され、今回、夏休みということもあり、2連泊で泊まってみることにしました。また、宿が周りを奥蓼科の大自然に囲まれているのも大きな魅力の一つでした。


●今回の料金 1泊2食/17,900円      
●所在地 長野県茅野市奥蓼科温泉
●電話 TEL:0266-67-2128
●交通 JR中央線茅野駅下車タクシー約30分 or バス奥蓼科行き50分辰野館前下車
●食事 夕食/和食、朝食/和食バイキング(いずれも食事処にて)
●風呂 内湯(信玄の薬湯)男女各1、露天風呂(森の温泉)男女各1、大浴場(展望風呂)男女各1
●施設 客室全14室
●イン/アウト イン15:00/アウト10:00
●宿泊日 2007.8.12-14(2連泊)
●URL http://www.sib-tatu.com/

■温泉

源泉は明礬と炭酸を含んだ酸性の硫黄泉。飲泉も可能で、口に含むとちょっと渋みのある苦いほろ酸っぱさを感じます。源泉温度が20数度と低めなので加温槽があって、源泉そのままは打たせ湯として楽しめるようになっています。源泉そのものは少し青みを帯びた白濁色でした。なお、入浴時間は朝5:00〜夜10:30までとなっていました。湯船の構成は次のとおり。(いずれも男女別・混浴ナシ)
@ 森の温泉
A 信玄の薬湯
B 大浴場展望風呂

@ について:2m×2m程度の湯船が2つ。手前が源泉の加温槽(加熱循環)で向こう側(森側)が源泉そのままの打たせ湯となっています。いわば、露天風呂と室内風呂が一緒になったような形。白樺林が見渡せて1人で浸かっているとリラックス度は抜群でした。いずれの浴槽も深さが90cmくらい(立つと腰のあたりまで)あります。これは長湯しないようにとの配慮からだそうで、薬効が強い源泉なので宿では湯あたりしないよう、1回あたり15分程度であがることを勧めています。
(男湯)


(女湯)


A について:湯船が3つ。いずれも2m×3m程度のもの。外(窓)側に一番近いほうにある湯船が加温した湯、真ん中が源泉そのままの打たせ湯、一番手前にある湯船は飲泉用の槽となっています。@と同様いずれの湯船も深さが約90cmくらいあります(理由は@と同様)。打たせ湯の源泉槽と加温槽の交互浴は源泉がかなり冷たいだけに、結構刺激的。身体中のコリも取れ、心身ともにすっきりする感じで、人によって好き好きはあると思いますが、すっかりはまってしまいました。
(男湯)

(女湯)


B について:北八ヶ岳の山々が木の間ごしに展望できるお風呂です。ただし、湯船はタイル風呂で温泉ではなく真水を沸かしたもの(自然湧水を加温したもの)。今回は洗髪のために、1回だけ入ったきりでした。


@にしろAにしろ源泉そのままの打たせ湯はかなり冷たいです。首、肩、背中、腰など強く凝っている部分に打たせ湯をあてると、マッサージ効果とともに精神的緊張も次第にほぐれていくようです。また、この打たせ湯と加温湯に交互に浸かっていると、全身の毛穴が開いたり閉じたりして新陳代謝が活発になり、細胞が活性化して、身体の調節機能がよみがえってくるような感じがしました。

■部屋

今回は宿のホームページから「山里プラン」(湯の華付き)で予約しました。泊まったのは3階の302号室。チェックイン時に部屋のキーを2つ渡されましたが、入浴後の待合スペースがほとんどない宿としては良かったです。この宿はセルフサービスが基本のようで、ロビーでお茶とおしぼりを出されて、記帳すると、鍵を2つ渡され、自分で部屋に行くシステム。部屋は広縁なしの和室11畳にユニットのトイレと洗面付き。部屋には既に布団が敷かれているため狭く感じました。部屋に行く途中、廊下を通っている間に気づきますが、この宿は施設的にかなり古い造りで、一昔前の旅館ホテルのような設え。リフォームは過去にしているのでしょうが、部屋の造り方に古さを感じます。部屋にはエアコンはありませんが、夏ならチェックイン時の数時間を除けば、土地柄のせいか窓を開けておけば十分涼しいです。

■料理

夕食:1泊目は大皿に盛られた前菜の品数の多さにびっくり。また青豆腐和風ソース、鱒の山椒味噌焼きも美味しかったし、豚肉の入った山草鍋も汁にダシがよくきいていて美味しかったです。特に大皿盛りもあったためか野菜中心でした。
(1泊目)


2泊目は1泊目とけっこう様変わりして大皿の前菜はなく、鴨鍋、信州産若鶏ワイン蒸し、イワナの造りと1品1品、量、質の良いものを出しているという感じがしました。1泊目に比べて品数は少なかったですが、どれも薄味で美味しかったです。ここは1泊目も2泊目も、山の宿の定番ともいえる山菜の天ぷらがなく、毎日趣向を練った品を出しているようです。また、全体的に薄味で野菜が多くヘルシー。夕食は全般的に好感が持てました。
(2泊目)

朝食:朝食は7:30からで、和食のバイキングでした。焼鮭、卵焼き、きんぴらごぼうなどの惣菜から漬物、サラダ、出ザート、コーヒーまでが好みに応じて選べるようになっています。2泊目の朝も2〜3種類の惣菜が変わっただけで、基本的には1泊目とほとんど同じメニューでした。特に可もなく不可もなくといった感じでした。


■接客 フロントでのチェックイン時のほか、スタッフとしゃべるのは夕食の配膳時に料理の説明を受けるときくらい。どれもほとんど必要最低限の言葉を交わすのみ。ただチェックイン時は若い男性(若主人?)がひとりで応対。チェックイン後、部屋は各自で行くシステムなので、従業員が少ないのかと思っていましたが、食事になると、配膳の若い男女のスタッフが数人きびきびと動いていました。全体的には放っておかれるタイプで泊まる側も余計な気遣いがないといった感じでした。



●総じて、この宿の評価は?

冷鉱泉とはいえ、この源泉はなかなかのもの。打たせ湯、森の温泉の設えもいいし、冷泉と加熱湯の交互浴の気持ちよさは格別。かつ食事は低カロリーで野菜中心。(よくありがちな)定番の天ぷらもなく創作料理が並ぶのがいい。また森林に囲まれた一軒宿のため、朝は部屋にいながら小鳥のさえずりが聞こえ癒される。ただ残念なのが部屋の設え。部屋の入り口の(重厚感のない)ドア、ユニット式トイレの圧迫感、変形11畳という多少狭く感じる部屋の造り‥。この部屋さえリフォームされて快適になれば、何度でも訪れたい定宿になるだろう。※しかし、2階にあるいくつかの部屋は、入り口のドアに重厚感のある木目調のドアが用いられていた。これから他の部屋もリフォームの予定があるのかもしれない。。(お気に入り度=★★★★☆)

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