源泉の宿・宿泊記

大湯温泉/阿部旅館(★★★★★)
2003年4月に全面リニューアル!皆瀬川上流に佇む一軒宿


秋田県内には、大湯温泉と呼ばれる温泉地が2箇所あります。ひとつは秋田県と青森県にまたがる十和田湖の南玄関、鹿角市に位置する大湯温泉。もうひとつは、秋田県の南部、皆瀬村の奥小安峡にある大湯温泉です。今回訪れたのは後者の方、栗駒山麓、皆瀬川上流にポツリと佇む一軒宿の阿部旅館です。2003年4月に建て替えられたばかりの館内は、洗練された古民家風の趣。このリニューアルを期に女性好みの木造りの宿に生まれ変わったようです。

●料 金 1泊2食 10,500円(ステーキ付きは13,650円)
●所在地 秋田県雄勝郡皆瀬村奥子安国有林34
●電 話 0183-47-5102 
●交 通

東北自動車道築館ICから国道398号経由で約1時間30分、一関ICからも約1時間30分

●食 事 夕食・朝食/和食(広間・食事処)
●風 呂 男女別露天風呂各2、男女別内湯各2、混浴天然川風呂(6月〜9月の晴天時のみ)
●施 設 和室8室(T付)
●イン/アウト イン15:00/アウト10:00
●宿泊日 2004.8.13〜14

■温泉 お風呂はまず館内に男女別の内湯がそれぞれひとつずつあります。また、館外の皆瀬川沿いには木造の湯小屋があって、その中に「今昔風呂」と呼ばれる内湯と露天風呂が男女別に1つずつ、そしてさらに岩組みの露天風呂(「かじかの湯」(男湯)と「せせらぎの湯」(女湯))、またその奥には川そのものが温泉となっている混浴の天然川風呂があり、非常にバリエーションに富んでいます(川風呂に入れるのは6月〜9月の晴天時のみ)。わずか8部屋、満室でも宿泊者は20人足らずで、湯船はこれだけ沢山ありますから、ゆったり思う存分温泉を味わうことができます。但し、館内の内湯は24時間入浴可能ですが、それ以外は夜の10時〜朝の5時半までは清掃、お湯の入れ替えを行っている関係で入浴不可です。あと8時〜20時まで日帰り入浴客も受けているようなので、チェックインの3時早々に露天に行っても、そうした日帰り客で混んでいることもあり得ますので、注意が必要かも。ただ館内の内湯は宿泊客のみの利用ということで日帰り客には開放していません。川風呂は川底のあちこちから源泉が湧き出しているようで、それが川の水と混じり合ってちょうど良い入り心地の適温となって流れています(深さがちょっと浅めなのが難点)。それ以外の露天はお湯的にはドバドバ系の掛け流しという感じではないので、多少澱んでいるような感じは否めませんでしたが、ロケーション的にはかなり高評価と言っていいでしょう。お湯は単純硫黄泉、宿の裏手の岩場の斜面は源泉地帯となっているらしく常時随所からモクモクと湯気のような噴煙が岩場の穴から湧き出ており、その様子は部屋の窓からも垣間見れました。館内にある内湯の飲泉用のカップで湯口から新鮮なお湯をすくってにおいを嗅ぐとやはり薄っすら硫黄のにおいが感じられました。個人的にはお湯が一番良さそうなのは館内内湯という気がしましたが、露天その他の湯船にもそれぞれのロケーションがあり、一概にどれがお勧めとは言いがたい(どれもそれぞれ良さがある)ものでした。

(館内の内湯) (館内内湯と露天風呂(左)への出入り口) (木造湯小屋を望む)
(湯小屋の中の内湯(今昔風呂)) (川沿いの露天風呂「かじかの湯」(男性用)) (混浴の天然川風呂)
■部屋 今回泊まったのは2階の「石楠」(しゃくなげ)。和室6畳に洗面、トイレ付き。和室6畳は部屋に入った瞬間は狭いと感じましたが、2003年新築という施設のきれいさに加え、洗練された内装のため、全く狭さは気にならないほど居心地の良い空間でした。テレビも横型の新しい型のものが置かれていましたし。また普通の旅館とは違ったちょっとしたところに、おもてなしの心が感じられるのもうれしいところでした。例えば、旅館によくある手拭いを干す金属(ステンレス?)製の物干し。これが阿部旅館では、太いしっかりとした木でできていて暖かみを感じます。また茶器セットを収納する入れ物もよく旅館で見かけるありふれたものではなく、木工細工の職人さんがつくったような手作り感のある暖かみの感じ取れるものでした。また部屋の窓から外を見やると、宿のすぐ裏手にある源泉地帯が垣間見れ、煙が出ているのを見れるのも良かったです。なお、館内はスリッパを履いて歩きますが、少々滑りやすく、特に階段は注意して歩いたほうがいいと思います。
(部屋/2階「石楠」(しゃくなげ)の様子) (部屋から裏の源泉地帯を望む) (館内廊下の様子)
■料理 まずは夕食から。山菜料理と川魚(イワナ)の塩焼き、そして皆瀬牛も入ったお刺身の盛合せ、握りずしなどが出ました。彩り鮮やかな洗練された食器に盛られた夕食は見た目にも美しく、食欲をそそられました。山菜はきのこ料理が多かったです。一人分のみ別注していた皆瀬牛ステーキ(バター乗せ)はやわらかくとっても美味しかったです!量的には2人で1つのステーキでちょうどよかったと思いました。次に朝食です。夕食に比べると朝食は幾分簡素な感じがしました。盛られている器も食器ではなく仕切りのあるトレイでしたし‥。小魚の甘露煮に生タラコ少々と山菜3種、温泉卵、味付け海苔、漬物、ごはん、味噌汁でした。なお、ちなみに夕食、朝食ともに食事は1階の広間で同じ席で頂きます。
(夕食) (夕食/寿司と別注のステーキ) (朝食)
■接客 お盆の時期に行ったせいか、日帰り客もひっきりなしにやってきていて、到着時は10台ほどでいっぱいになる駐車場に1台分の空きを見つけてすんなり駐車できたのがラッキーに思えたほどです。家族経営風といった感じでフロントにいる男性が宿泊客の部屋案内で場を外してしまうと、その間に来訪した日帰り入浴客、宿泊客共にロビーで待っている‥といった感じの宿といったらわかってもらえるでしょうか。でも応対はフレンドリー。押し付けがましいところもなく、食事の配膳時や帰りのチェックアウト時(たぶん宿のご主人)の対応も特に言うことはなく丁寧なものでした。全般的に施設、温泉、食事どれをとっても申し分なく、特に通常1万円程度でこれだけの宿に泊まれるとは満足感100%と言ってもいいくらいです。この次は連泊して、またゆっくりリラックスしに来たいと思える宿でした。
(1階フロント前の待合所) (外にある囲炉裏付きのお休み処)
(宿のオフィシャルHPはこちらから)

■源泉チェック■
無色透明
泉質 単純硫黄泉
源泉温度 98℃ほか
湧出量 計920リットル/分
PH 不明
湧出状態 自家源泉2本(自然湧出)
飲泉