源泉の宿・宿泊記

野沢温泉/村のホテル住吉屋(★★★★☆)
「のらくろ」先生も浸かった楕円形のシンプルな内湯
野沢温泉村 村のホテル住吉屋外観 ロビー兼談話室
(野沢温泉村を一望する) (住吉屋の外観) (ロビー兼談話室)

村のホテル住吉屋は麻釜のすぐそばにあります。創業は明治2年とか。現在の建物は明治32年築の木造3階建ですが、手入れが細やかで、リニューアルを巧みに行っているせいか、そんな古さはまったくと言っていいほど感じさせません。「のらくろ」の田河水泡氏に愛された宿として知られています。館内の随所には田河水泡氏の作品(のらくろの絵(直筆))も飾られています。

●料 金 1泊2食 17,000円〜
●所在地 長野県下高井郡野沢温泉村豊郷8713 
●電 話 (0269)85-2005(代)
●交 通 上信越自動車道、豊田飯山ICから約25分
●食 事 夕食/和食、朝食/和食
●風 呂 内湯男女各1、露天1
●施 設 和15室
●イン/アウト イン12:00/アウト11:00

■温泉
お風呂は大小2つあって大浴場のみに露天風呂が付いています。2つの内風呂は以前はパールホワイトのタイルだったようなのですが、平成14年に大浴場、小浴場とも濃紺のタイルに貼りかえられ、浴槽の縁にも木枠が取り付けられて、浴室上部の窓もステンドグラス風にアレンジされました。お湯は無色透明でうっすら硫黄臭のするやわらかなお湯。ここは敷地内に3つの自家源泉を持った宿ですが、源泉が88.6度と高温のため、湯口で加水して掛け流しにしています。大小のお風呂は夕食後の夜7時半に男女入れ替えとなります(大浴場が女性用から男性用に、小浴場が男性用から女性用に)。大浴場といっても洗い場が3つ。お風呂も足を伸ばして入れば大人6〜7人でいっぱいになる程度の大きさです。露天風呂は建物に沿って細長くさほど広いものではありません。眺望も良くないので内湯に集中した方が良いです。ただ、この露天風呂だけは加水せず源泉100%のお湯にしているそうです。小浴場はリンゴのような形をしたお風呂で足を伸ばして入れば大人2〜3人でいっぱいになる程度の大きさです。小浴場の浴室はスペース的には大浴場の3分の1くらいなのですが、窓が2面に大きくとられ、それなりに開放感がありました。私は基本的に木のお風呂が好きで、タイルのお風呂ってどっちかっていうと苦手なのですが、住吉屋さんのお風呂はなぜか全然OKって感じでした。リニューアルした濃紺のタイル、縁に取り付けられた木枠も実に品の良い感じで浴場全体には清潔感もあり、安心して入っていられるって感じがしました。
■部屋 部屋は3階の「妙高の間」でした。入り口のドアは多少見劣りするような気もしましたが、部屋の中は重厚すぎず、といって安っぽいわけでもなく、落ち着いた雰囲気の良い部屋でした。ドアを開けるとまずスリッパを脱ぐスペースと板の間のようなスペースがあり(ここにも窓が付いていました)、そして引き戸を開けると次の間(窓付)に部屋と広縁(窓付)という造りで思った以上に広い感じがしました。一方の窓からは宿の駐車場と左隅の方に麻釜が少しだけ垣間見えます。角部屋で大きな窓が計3つあり、明るく、広さ的にも充分。落ち着く内装でホッとできました。また広縁には囲炉裏付きのテーブルが置かれていました。1階のロビーにも同じような囲炉裏付きのテーブルが2つほどありましたが、いずれも火は入れられていませんでした。実際に火が入っていると、また趣があって良かったように思います。
■料理 夕食は6時と6時半から選べるようになっています。泊まっている部屋ごとに食事の場所が違っているようで、私たちは「蔵座敷」でした。夕食の時間になると係りの女性が部屋まで迎えに来てくれるのには驚きました。私たちは6時半からだったので、すでに2部屋の宿泊客が食事をしていて、私たちと含めて計3組が、この蔵座敷で食事をしました。それ以外の他の部屋のお客さんは1階の和室で食べていたり、そのとき空いている部屋の状況で様々なようです。案内をしてくれた係りの女性が、引き続き食事の配膳も担当してくれます。テーブルにはすでにこの宿の名物の郷土料理の盛られた「取り回し鉢」2皿や前菜、蕎麦すきなど数皿が並んでいました。食べ始めると頃合を見計らって暖かいものを何回かに分けて運んできてくれます。夕食で特に美味しかったのは、なんといっても信州牛石焼き。これは舌にとろけるようなやわらかいお肉でした。また東寺揚げは長いもを湯葉で巻いて揚げたもので、食感がよくなかなか美味でした。そしておなかもいっぱいになりかけた最後の方に出てきたのが菜めし。これは塩漬けにした大根の葉っぱを細かく切ってご飯に混ぜたものですが、とても美味しく残さず食べてしまいました。全体的にいわゆるよくある旅館の食事とは違い、作り手の暖かさが伝わってくる美味しい食事でとっても満足しました。朝食は7時半、8時、8時半から好きな時間を選ぶことができます。朝食も夕食と同じ蔵座敷で食べました。メニューは生ジュース(これはりんご、トマト、牛乳のうちから好きなものを選べます)、干物、ざるどうふ、鍋で暖める味噌汁、海苔、野沢菜を炒めたものなどでした。事前にHP等で見ていた住吉屋宿泊者の体験談では朝食は夕食に比べて普通過ぎる、もう少し工夫が欲しいとも書いてあったので、それほど期待はしていなかった?のですが、特に不満ということもありませんでした。
夕食に通された蔵座敷 取り回し鉢2皿 食前酒(梅酒)と蕪蒸し他
舞茸どびん蒸しと蕎麦 蕎麦すき 信州牛石焼き
東寺揚げ 味噌汁と菜めし グレープフルーツと柿
朝食
■接客 この宿のチェックインは13時〜なのですが、早めに宿に着いて外湯めぐりをしようと12時過ぎくらいに到着し、チェックインまで宿の駐車場に車を置かせてもらえないかと尋ねたところ、「もうすぐお部屋の準備ができますので、よろしければどうぞ」といってもらえ、そのままチェックイン。とても助かりました。部屋までは若女将が直接案内してくれ、部屋でお茶と宿帳の記入を。浴衣は「もしサイズが合わなかったら取り替えますので」と言ってくれたり、昼食にお勧めのおそば屋さんのある場所や外湯の位置なども地図を使って丁寧に説明してくれ、とても好感の持てる接客でした。廊下ですれ違った従業員の方も皆さん暖かい対応をしてくれました。また、宿泊した日は午後から大雪で翌朝には駐車場が雪で埋もれてしまったのですが、チェックアウト時までに雪かきをして、車がちゃんと出せるようにしてもらえました。駐車場には温泉のでる蛇口があるようで、そこからホースでお湯(温泉)を出して雪を溶かす場面も。
雪に埋もれた駐車場を雪かき 玄関横にある飲泉所 館内の階段と廊下
(宿のオフィシャルHPはこちらから)

■源泉チェック■
無色透明
泉質 単純硫黄泉
源泉温度 88.6度
湧出量 15.8リットル/分
PH 8.3
湧出状態 自然湧出
飲泉