温泉わんだらあ 源泉の宿・宿泊記

夏瀬温泉都わすれ(★★★★★)
一万坪の敷地になんと客室はわずか8室(乳頭温泉郷「妙乃湯」姉妹館)

この宿を選んだ理由(わけ)

以前、テレビ東京の「いい旅夢気分」で放映された際に、自然を見ながらの部屋付きの源泉露天風呂があることが気に入り、一度は泊まってみたいと思っていました。一万坪の敷地になんと客室はわずか8室です。乳頭温泉郷の妙乃湯の姉妹館で、同じ女将が経営しています。今回、「妙乃湯」の予約がとれたので、せっかくなので「妙乃湯」とセットで姉妹館へも宿泊してみようということで予約しました。同じ女将が2つの宿をどのように設えているかにも興味がありました。


●料金 1泊2食 23,883円〜(休前日は+2,000円)
●所在地 秋田県仙北市田沢湖卒田字夏瀬84
●電話 TEL0187-44-2220
●交通 (車)JR秋田新幹線 角館駅から車で約30分/田沢湖駅から車で約30分
●食事 夕食/和食、朝食/和食(いずれも食事処で)
●風呂 大浴場(男女各1)、貸切風呂(1)、部屋付き専用露天風呂
●施設 全8室
●イン/アウト イン14:00/アウト11:00
●宿泊日 2006.8.13-14
●URL http://www.taenoyu.com/natuse-top.html

■温泉

湯船の構成は次のとおりでした。
@ 男女別大浴場「桃源の湯」
A 貸切露天風呂「夏瀬の湯っこ」
B 各部屋付きの露天風呂

@ について:離れ(別棟)になっています。男女別の内湯で、中は総ヒバ造りの湯船です。湯船の中央が仕切られていて、あつ湯とぬる湯に分かれていました。広さは狭すぎず広すぎず、シャワー付きカラン3個所が完備されていて申し分なかったです。


A について:これも離れになっています。受付順の予約制で、予めフロントに希望利用時間を伝えておきます。1時間単位での予約になります。湯船は中くらいの岩風呂といったところでしょうか。周りは塀に囲まれているせいか、露天風呂とはいえ、思ったほど開放感はなかったような気がしました。


B について:1m強×2m弱の総木造りの湯船です。屋根付きで、部屋の前面の抱返り渓谷側に面して造られています。2人がゆったり入れる程度の広さの湯船。14:00のチェックイン直後から湯を溜め始める正真正銘源泉100%掛け流しの新鮮なお湯です。湯船の脇には木製のデッキチェアが2基あり、温泉で火照った身体を休ませることができました。温泉自体は無色透明ですが、ほんのり土っぽい香りがしました。源泉温度は約41度、自家源泉、加水なし(但し、冬季は加温あり)、湧出量は毎分150リットル。夏場のせいもあってか、湯温は少し熱めに感じました。かけ湯をかなりしてからでないと、湯船に身を沈めるのが一苦労でした。あとこの時期アブらしき虫がぶんぶん飛び回っているので、部屋付き露天に入るときは刺されないように特に注意が必要です。湯に浸かれば、遠くに山、近くに渓谷とコバルトブルーの玉川が眺められます。

■部屋 「唐くれない」という和室10畳に書きもの机付きの部屋でした。部屋には窓が大きくとられていて、窓からは部屋付き源泉露天風呂と玉川を望む雄大な自然が眺められ、開放感は抜群でした。洗面、トイレ、クローゼット、茶食器棚+冷蔵庫のスペースも申し分なく、室内ドアなどすべてに高級感が漂っていました。また、部屋には衛星放送のみ受信できる液晶テレビが設置されていました(ここは衛星放送以外受信できません)。さらにDVDプレーヤーも設置されていて、好きなDVDを借りて楽しむことができるようにもなっていました。部屋付き露天風呂への通路には脱衣室とシャワー室が続いていました。ただ、難点は部屋に西日がもろに差し込むことでした。部屋にはエアコンはあるものの夏の西日はけっこう暑かったです。
■料理

夕食、朝食とも食事処で食べます。各テーブルが窓に沿って設置されているため、中庭の景色が眺められて、開放感に浸って、のんびりと食事が楽しめました。夕食は、食前酒のあんず酒、先付け、前菜6種盛りがテーブルに並び、あとから、秋田弁を話す農家風のおばさんが、ワゴンを押して、枝付き枝豆、ワラビのおひたしを各テーブルに持ってきてくれるという演出もあって、面白かったです。そして、温かい稲庭うどん、殻付きウニ。このウニはとっても新鮮で甘くて美味しくて、苦手な人でもぺロっと食べられてしまうのではないでしょうか。そして、黒毛和牛と地物野菜の石焼き。この和牛はとっても美味しかったです。黒七味を振ると、また格別な味に引きたててくれます。また、変わったものでいぶりがっこ入りの野菜サラダ。これも美味しかったです。さらに味噌仕立ての鯨鍋、イワナの南蛮揚げ、酢の物。そしてご飯は白いご飯or玄米のどちらかを。ほかには香の物、味噌汁と、あと最後にデザートの梅ゼリーでした。どれもとても美味しかったです。



朝食もまた夕食と同じ席で食べます。まず冷たいオレンジジュースか牛乳で朝の喉を潤します。テーブルには、タラコなどの3種盛りと漬物、山菜2皿、湯豆腐、妙乃湯でも出た特製納豆、味海苔が並んでいました。後から、白菜と豚肉の煮浸しを持ってきてくれ、ハタハタを炙って食べました。朝食のご飯については、夕食時に白米が玄米かを選んで伝えておきます。また、特別に取り寄せたという、新鮮な真っ赤なトマトを各自1個ずつ、まるごとかぶりついて下さいと持ってきてくれました。そしてワゴンで卵焼きを好きな数だけ取り分けてくれました。最後にデザートの巨砲とコーヒーを。朝食もけっこう品数多く、美味しいものばかりで、とても優雅な気分に浸ることができました。

■接客 スタッフは若い男女が中心で、マニュアルどおりという感じもしますが、皆さん誠実で好印象でした。夕食時と朝食時に女将の佐藤京子さんが、各テーブルを挨拶にまわってきました。また、チェックアウト時にもフロントにいて、そこで少し話させてもらいました。前日、姉妹館である「妙乃湯」に泊まったことを話したら、とてもうれしがって、実はそのとき、フロントで売っていた本(「温泉巡礼」石川理夫著〔PHP研究所〕)を買おうとしていたのですが、女将自ら御代は要りませんからと。また、車の洗車代にお年玉の封筒みたいなものを併せていただきました。あとで見たら中には500円玉が入っていました。なんだか女将自ら特別な扱いをしてくれたような気がして、とってもうれしかったです。この女将の佐藤京子さんは、一見、実業家っぽい感じもしますが、実際に話してみると気さくな話しやすい方でした。


●総じて、この宿の評価は?

田沢湖駅から国道46号線を経て、でこぼこ道の林道のような悪路を(車で)15分くらい進んでいった末に到達する洗練された一軒宿。施設も広々として品も良く、周囲は本当に手付かずの自然がそのままといった感じで素晴らしく、温泉の泉質も肌にしっとりと感じ良く、しかも源泉100%掛け流し。部屋からも雄大な自然が眺められ、開放感抜群で、しかも部屋付き源泉露天風呂ありと、文句なしの大満足の宿でした。この宿でこの価格なら十分納得です。是非また泊まってみたい、そして今度はゆっくり2連泊してみたい宿と思いました。(お気に入り度=★★★★★)

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