■温 泉 |
ここ白根館には2つの源泉があります。「七不思議の湯」と「銀河の湯」の2つです。「七不思議の湯」はダム湖ができるときに、そのままでは源泉湧出口が湖底に沈んでしまうので何とかしようと昭和30年にパイプを入れたもの(パイプ長40m)。またもう一方の「銀河の湯」は平成9年に新規ボーリングにより掘り当てたもので、掘削深度は500mです。「七不思議の湯」は透明でまろやか、茶色い湯の花がチラチラ浮かんでいます。「銀河の湯」は天候などで白く濁ったり薄いエメラルドグリーンになったりする複雑な泉質で、驚くほどたくさんの湯の花が浮いていました。湯温は、「七不思議の湯」のほうがぬるめなので長湯ができます。(ただし、冬は身体が暖まるまでに時間がかかります)2つの源泉ともに硫黄の匂いがしました。また、すべての浴槽の源泉口には銀色のカップが備え付けられており、飲泉ができます。飲んでみましたが、かなり塩味を感じました。お風呂は全部で4つあり、入口は3ケ所になっています。まず、浴舎奥の桧風呂(内湯)、その右側に桧風呂(内湯)と岩造りの露天風呂が一緒になったもの、そして丸太造りの露天風呂です。2つの露天風呂と浴舎奥の桧風呂(内湯)が「銀河の湯」、他の一つの桧風呂(内湯)が「七不思議の湯」です。夜6時の夕食を境に男湯と女湯が交替となるため、すべてのお風呂が楽しめます。ここのお湯はどれも泉質が良く大満足でしたが、特に浴舎奥の桧風呂(銀河の湯)のお湯は濃い感じがして、何度も入りました。浴舎に行く途中、囲炉裏を囲むような形でベンチやマッサージチェアー2台が置いてある休憩スペースがあり、あまちゃづる茶の入った土瓶が炭火にかけられ自由に飲めるようになっていました。
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■部 屋 |
私が泊まったのは本館2階の23号室で、窓が2つある角部屋でした。ルームキーには鹿の角が付いています。入口のドアを開くとスリッパを脱ぐ小スペースがあり、すぐに6畳の和室へとつながっています。窓側の広縁スペースに木製の椅子2つと小テーブルが置いてあります。暖房は、部屋の中央にこたつ、広縁端に小型の電気ストーブ(温風型)が用意されていました。入口はいって和室のすぐ右に冷蔵庫。ちなみに冷蔵庫はあいているところを自由に使うことができます。自動ロック装置はついていません。またトイレ、洗面もついていません。そもそもここ白根館は本館に9室、別館は掘りごたつのある客室が4室のこじんまりとした宿です。清掃は部屋の角まで行き届いており、小奇麗な感じがしました。チェックイン直後は狭く感じましたが、時間が経つに連れて、温泉本位のこうした旅にはちょうどよく、居心地の良い空間に感じられるようになっていました。 |
■料 理 |
夕食には鹿刺し、椎茸のフライ、いのしし鍋、手作りこんにゃくの刺身、鮎の塩焼き、揚げそばがき、漬物、お吸い物などが出ました。あくまで地のものを使った心のこもった料理という印象です。鹿刺しは新鮮で思ったほど違和感なく食べられました。しょうが醤油でいただくのですが、私はまた食べてみたいと思いました。妻はそうでもなかったようです。これは人により好みが分かれるところかも知れません。椎茸はフライで出てきたのですが、各料理を横並びで見た場合、これだけ浮きたってしまっているようで、できればこれは山菜の天ぷらなどに変えたほうが良いのではないかと思いました。まあ天ぷらにすると一品だけでは済まなくなるでしょうし、コスト的な面とかいろいろあるんでしょうけど。他にはそばがきを揚げたものにだし汁をかけたものが出たのですが、これが非常にうまかったです。揚げだし豆腐の豆腐がそばがきを揚げたものにすりかわったような感じです。あと、ご飯にかける胡麻をすりおろした(?)ような自家製ふりかけ(ごま塩)も用意されており、これも非常に美味しかったです。さて朝食です。朝食のメインはとちの実入りの温泉粥です。温泉の塩味が効いていてとってもおいしく、胃にもやさしそう。思わずおかわりしたくなるのですが、残念ながらおかわりはありません。代わりに普通に炊いたご飯を食べられます。みそ汁はなめこ汁でした。 |
■接 客 |
過度な接客をしないという確固としたポリシーでもあるんでしょうか?館主の深沢さんは到着時の出迎え、部屋の説明等もニコニコ笑顔で終始和やかにというより、割とそっけないものでした。もともとあまりおしゃべりな人ではないのかもしれません。狩猟家で山の男だからあまりしゃべらないのかもしれない!?こちらから何か聞けば当然答えはしてくれますが、必要以上のことはあえてしゃべらないといった印象を受けました。リピーターにならないと親しくしてもらえないんでしょうか!?山のこと、狩猟のこと、温泉のこと等々きっとおもしろいお話が伺える人だと思うんです。それだけにもう少し客に心を開いてくれてもいいのかなと思ってしまいました。まあコミュニケーションは双方向のもの。客側も心を開かないとなかなか心の通い合った会話って成り立たないもんですよね。朝はロビーで100円でコーヒーが飲めます(セルフサービス)。コーヒーメーカーの脇に竹筒があって、飲みたい人はそこに100円入れればよいようになっています。 |
■番外編 |
ここ白根館では「七不思議の湯ふぁん倶楽部」というのがあります。入会資格は、1)温泉大好きな人、2)大自然を愛し、大自然の恵みに感謝する人、3)人と人のふれあいを大切にする人、4)己の健康に留意する人ということで、会員の特典としては、1)白根館利用2回目以降、宿泊料毎回1000円割引、2)ドリンクサービス(お酒又はビール1本、又はジュース2本、1回限り)、3)オリジナルプレゼント宅配便(新緑の頃と錦秋の頃)の3つがあるそうです。会費は一人2000円で、宿泊して会費納入の日から1年間有効です。私は入会しませんでしたが、オリジナルプレゼント宅配便は興味深々でおそらくは新鮮な山の幸などを送ってもらえるのではないでしょうか。 |