源泉の宿・宿泊記

新穂高温泉/水明館佳留萱(かるかや)山荘(★★★☆☆)
東海随一の広さを誇る露天風呂


新穂高温泉は奥飛騨温泉郷の最奥に位置し、北アルプス登山への玄関口としても有名。蒲田川沿いには野趣溢れる開放的な露天風呂を持つ宿が多いです。今回宿泊した水明館佳留萱山荘もそんな宿のひとつ。大自然の中にある敷地も広い一軒宿です。(日本秘湯を守る会・会員宿)

●料金 1泊2食(税・サービス料込み)  平日13,650〜16,800円/休前日14,700〜17,850円
●所在地

岐阜県吉城郡上宝村神坂555

●電話

TEL0578-9-2801

●交通

長野自動車道松本ICから国道158・471・県道475号線で約65km

●食事

夕食・朝食とも食事処(1階広間)にて

●風呂

男女別内湯各1、混浴露天1、女性専用露天1、貸切露天3

●施設

宴会場・ラウンジ・喫茶・売店 駐車場(約30台)

●イン/アウト

イン15:00/アウト10:00

●宿泊日

2005.7.15-16

●URL

http://www.karukaya.co.jp/


■温泉 佳留萱山荘の湯は源泉温度が高いため加水ありですが、ろ過循環はせず全て天然の湯です。露天・内湯の別を問わず全ての湯船とも24時間入浴可能。お風呂の構成は次のとおりです。
(露天風呂)
・混浴露天風呂
・女性専用露天風呂
・貸切露天風呂(「かじかの湯」「夢をいつまでもの湯」「望槍釜の湯」の3つ)
(内湯)
・男女別内湯がひとつずつ

●混浴露天風呂:この宿売りの広い大きな露天風呂です。東海随一の広さとかで約400畳分あるそうです。この露天は大きく2つ(3つ?)のエリアに分かれています。脱衣場側から見て手前側のエリアが「かるかやの湯」で一番奥側の洞窟のあるエリアは、その名のとおり「洞窟風呂」です。露天の一角には天然水が竹筒から流れている箇所があり、そのまま飲むこともできます。露天に浸かって喉が渇いたら、これを飲むと良いと思います。飲んでみたら冷たくてとっても美味しい天然水でした。かなり広い露天ですし、脱衣場も男女しっかり分かれているので、女性にも比較的入りやすい混浴露天ではないでしょうか?ちなみに女性は身体に巻いて入る(黄色の)バスタオルをフロントで身体拭き用のバスタオルとは別に貸し出してくれます。(露天からあがったらそのままフロントに返せばよいです)
●貸切露天風呂:「かじかの湯」「夢をいつまでもの湯」「望槍釜の湯」と3つの貸切露天風呂があり、予約しなくても空いていればいつでも入浴することができます。空いているかどうかはフロントに鍵と貸切露天の入口にかける板バンがあるかどうかで判断します。入る場合にはそれを借りていくことになります。使用時間はだいたい1回あたり30分程度を目安にとフロントでいわれました。今回貸切露天は「かじかの湯」だけに入りました。「かじかの湯」は蒲田川の川岸にあって川の豪快な流れを楽しみながら入浴できます。大きな岩を組み上げて作った岩風呂で常時その岩間からお湯が湯船内に注ぎこまれていて、湯船から溢れ出たお湯はそのまま川に掛け流されていました。なお、今回は入りませんでしたが、貸切露天のひとつ「夢をいつまでもの湯」はTVチャンピオンの「全国大工王選手権 露天風呂一本勝負」の優勝作品だそうで、湯船と脱衣所?が手動で回転する仕掛けになっているそうです。
●内湯:内湯は男性用が1階喫茶室右の階段を降りたところに、女性用が1階廊下の奥左の階段を降りたところにあり、たぶん男性用も女性用もほぼ同じ造りだと思います。男風呂と女風呂の境を兼ねた壁面部は岩で組み上げられていて、その岩の一角からお湯が滝状に湯船に注ぎ込まれていました。湯船からオーバーフローしたお湯は洗い場に常時掛け流っています。温度は熱すぎずぬるすぎずちょうどよく、ゆったり浸かっていられる感じでした。
なお、泉質は露天風呂(混浴、女性用)、貸切露天(かじかの湯、望槍釜の湯)が単純泉、男女別内湯と貸切露天(夢をいつまでもの湯)が炭酸水素塩泉(重曹泉)です。源泉温度は約80度。高温なため浴用に加水しています。いずれも無色透明。単純泉の方が何か少し鉄っぽいにおいが感じられました。新穂高温泉はどの宿も一部の例外を除き、基本的には無色透明のお湯なので、にごり湯ファンには多少もの足りないかもしれませんが、自然の中の開放的な広い露天風呂でゆったりリラックス感を満喫するというのがいいんじゃないでしょうか。
■部屋

ここ佳留萱山荘の宿泊料金は、部屋の広さと眺めの良さで違ってきます。今回は眺望の無い山側の8畳の和室(2階の南天の間)に泊まりました。下から2つ目のランクで14,850円(平日)。ドアを開けるとスリッパを脱ぐ狭い板の間(そこに小さな冷蔵庫あり)があり、襖(ふすま)を開けるとすぐ8畳和室で広縁なし。窓からは1階部分の屋根と宿まで下ってきた坂道の道路が木々の間から見えるのみで、確かに眺望は全然ありませんでした。一方、眺望の良い川側の部屋は広縁も付いているようで、2,000円くらいの差であれば、そちらの方が良かったかもしれません。金額との兼ね合いで考えると、施設全般に古さはあり、トイレなしのこの部屋で、平日14,850円は正直高いと思いました。

■料理

食事は夕食・朝食とも1階の広間で食べます。各部屋ごとについたてがあるため、隣を気にせず食事できます。まずは夕食から。テーブルには事前に食前酒の山ぶどう酒、タコの梅肉和え、前菜、スズキの洗い、酢の物、漬物、一人用コンロにかけられた飛騨牛朴葉味噌ステーキが並べられてあります。そして後から3色そうめん、鮎の塩焼き、かもナスの揚げだし、山菜の天ぷらなどが一品ずつ暖かいうちに運ばれてきました。最後にご飯(古代米)とお吸い物、そしてデザートのピーチババロアで締めくくられました。飲み物に生ビールを注文しましたが、すごく冷えていてとっても美味しかったです。食事は見た感じ、色々工夫されていて手も込んでおり、評判どおりなかなか評価できるものでした。

朝食はトマトジュース、山菜の小鉢5つ、豆腐、焼き魚、朴葉味噌と漬物と卵を火を通して自分で絡めて作る漬物ステーキ風、煮物、漬物、そしてご飯(白米)と味噌汁でした。好みとしては朴葉味噌は漬物ステーキ風より、漬物なしで焼いたシンプルな朴葉味噌を期待していましたが、その1点を除けば、満足のいく朝食でした。

■接客

接客は全般的に非常に良い印象です。チェックイン時のフロントや案内の女性スタッフ(若いスタッフたち)の応対も非常に好感の持てるものでした。また、広間で食事を給仕していた女性スタッフ(比較的年配のスタッフ)の方たちの対応も非常に良かったです。


総じて、この宿の評価は?

事前にインターネットで宿泊した人の感想を読んでいたとおり、部屋などの施設は古いのですが、温泉、料理、接客の3点については満足のいく宿でした。ですが、価格という点ではやはりあの部屋(施設)で14,850円(平日)は高いというのが本音。もう2,000円出して川側の広縁付きの部屋に泊まっていたら、もう少し評価が違っていたかもしれません。(お気に入り度=★★★☆☆)