源泉の宿・宿泊記

指宿(いぶすき)温泉/吟松(ぎんしょう)(★★★★★)
9階(屋上)の「天空野天風呂」で海と一体化!


指宿名物の天然砂むし温泉のそばにある海岸沿いの純和風旅館です。昭和36年創業。部屋数は78と大型旅館の部類に属すると思いますが、屋上にある「天空野天風呂」は錦江(きんこう)湾を一望、海と一体化でき、リラックス感抜群です。また割烹旅館が母体だったこともあり、温泉だけでなく湯煙昇る独特な座卓(温泉卓)を囲んでの料理もなかなかの評判です。

■料 金 1泊2食(税込み) 19,050円〜
■所在地 鹿児島県指宿市湯の浜5丁目26番27号
■電 話 TEL0993-22-3231   
■交 通 九州自動車道鹿児島ICより国道226号線約55キロ、約75分
■食 事 夕食:部屋、料亭/朝食:料亭
■風 呂 屋上天空野天風呂(男性・女性)、5階家族湯3室、2階展望大浴場(サウナ付き)
■施 設 78室(和55室・和洋17室・洋6室)
■イン/アウト イン15:00/アウト10:00
■宿泊日 2005.5.6〜7
■URL http://www.ginsyou.co.jp/
http://kagoshima.e-machi.ne.jp/101586/
 (映像あり)

●温泉 吟松のお風呂の構成は次のとおり。
@ 9階(屋上):天空野天風呂(6:00〜9:30、15:00〜23:30利用可)
A 5階:家族風呂(7:00〜9:30、15:00〜22:30利用可)
B 2階:大浴場(5:00過ぎ〜9:30、15:00〜24:00利用可)
@ 天空野天風呂について
9階にある男女別の屋上露天風呂です。男性用は2m弱くらいの幅で長さ5、6mくらいの割と大き目の湯舟です。熱めの塩化物泉が常時掛け流し状態になっています。飲泉も可能で湯口の脇には小さな竹筒のカップが置かれていました。一般的に屋上にある風呂は大方の場合、ポンプアップついでの循環湯というパターンが多いように思うのですが、ここの場合、循環なしの掛け流し風呂となっているようです。源泉が高温のため、水で薄めているそうですが、それでも味はかなり塩っぱいです。湯舟の前方は見渡す限り海。この海は漁港があるわけでもなく往来する船もほとんどありませんから、見渡す限りの静かな広い海を湯舟に浸かりながら堪能することができます。肩まで浸かっていると目の先にあるのは海だけ。ちょうど湯舟の縁と海が境目無く一面状に見えて、まるで海と一体化したような錯覚をしてしまいそうになります。さざ波の音と時折とんびのピーヒョロローという鳴き声が聞こえてきます。なんともいえない開放感です。この宿で一番気に入りました。ほとんどここばかりに何度も入ってました。
A 家族風呂について
5階に家族風呂が3箇所ありました。利用時間帯は空いていれば、予約なしでいつでも入れるようです。造りはいずれも同じような感じ。あえて浸かりませんでしたけど。
B 大浴場について
2階にある男女別の露天付き大浴場です。内湯も大きいですが、露天の方も3m強×12mくらい(男性用)程度とかなり余裕のある湯舟です。露天の方が外気に触れているせいか、あるいは湯量を絞っているせいか、内湯よりぬるい気がしました。これに対して内湯はかなり熱めな感じです。9階の天空野天風呂と比べてしまうとかなり見劣りしてしまうかもしれませんが、こちらも掛け流しで一定レベル以上と言ってよいと思います。
●部屋
建物は8階建てで、いわゆる大型旅館の館内を予想していたのですが、和風で意外と落ち着いて、こじんまりとしていて好感が持てました。今回泊まった部屋は607号/海紅豆(かいこうず)の七でした。和室12.5畳に3畳弱くらいの茶器、金庫などが置いてある小部屋、そしてやはり3畳弱くらいの広縁がついています。やはり和室は12畳あると広さとしては申し分なく、快適そのもの。海を望める明るい部屋で思う存分リラックスできました。窓を開ければ静かな波の音が聞こえ、さらにリラックスムードが高まりました。
●料理 (夕食)
夕食のスタートは18:00〜20:30の間から選ぶことができます。個室の料亭で頂きます。2人だと中央に温泉を引いた温泉卓のある和室3畳ほどの広さです。まず個室のテーブルには、さつま芋揚げ、えんどうムース、前菜の7種と一人用鍋が配膳されていて、席につくと、すぐに温かいお吸い物と黒豚大和煮の炊き合わせが運ばれてきます。そして氷のかまくらで囲まれたお刺身、またその場でさつま揚げを1人2本ずつ揚げてくれたり、きびなごを天ぷらにしてくれたり、また中央でずっと温泉に浸かっていた卵を皿に割って出してくれたりの演出も面白かったです。そして焼物は3種類から好みのものを選べ、今回は蛸壺風焼きとロースとビーフを1品ずつ選びました。どちらもとても美味しかったです。最後にわっぱご飯、漬物、果物で料理はどれも彩り鮮やかで全般的に美味しく、十分満足できるものでした。
(朝食)
朝食のスタートは7:00〜8:30の間で選べます。夕食と同じ個室の料亭で頂きます。部屋の温泉卓にはすでに湯豆腐と味噌汁が用意されています。またテーブルには野菜ジュース、蒲鉾、佃煮、おひたし、野菜サラダ、味付け海苔、もずく、温泉卵、漬物そしてアジの干物、果物が配膳されています。そしてすぐに係りの女性がやってきて、温泉卓の湯豆腐と味噌汁をお椀によそり、ご飯とお茶を入れてくれました。朝食でも温泉卓を使った料理は楽しみながら美味しく食べることができました。

●接客

車でチェックインする際、すぐにスタッフの方が誘導してくれ、荷物を持ってくれる係りの人の機敏な身のこなし、玄関で畳に座って出迎えてくれる女性、フロントでの対応、荷物を持って案内のために待っている係りの人、どの方も接客対応は素晴らしいです。到着するとまず茶室に案内され、干菓子と女将自らがその場でたてた抹茶を頂きます。その後部屋で再度係りの女性がお茶と漬物そしてお菓子を用意してくれました。お茶入れをロビー階と部屋でそれぞれ場所が異なるとはいえ、到着後立て続けに2回は要らない気もしましたが、茶室の抹茶は新鮮で良かったです。


総じて、この宿の評価は? いわゆる大型旅館の悪い期待をいい意味で裏切ってくれました。施設、料理、接客など申し分ないです。温泉も源泉が高温のため加水ありとはいうものの、常時掛け流しで、現状としてはどれをとっても2重丸!(って持ち上げすぎ?)(お気に入り度=★★★★★)