源泉の宿・宿泊記

法師温泉/長寿館(★★★★★)
湯船の底から自然湧出、熟成まろやか極上の湯


群馬から新潟へ続く三国街道(国道17号)が三国峠へさしかかったあたりで、左へ下りる細い分岐道があります。それが法師温泉入口です。一軒宿の「長寿館」は標高800m、ブナやミズナラなどの原生林に囲まれた三国峠の南麓に位置しています。弘法大師が発見したといわれる歴史のある温泉です。

●料 金 1泊2食 14,000円〜(休前日1,000円増)
●所在地 群馬県利根群新治村永井650
●電 話 0278−66−0005
●交 通 関越自動車道月夜野ICから国道17号、県道経由25キロ
●食 事 夕食/和食(客室)、朝食/和食(客室)
●風 呂 混浴大浴場1(女性専用時間あり)、男女交代制内湯1、男女交代制露天1、女性専用内湯1
●施 設 和36室/売店など
●イン/アウト イン15:00/アウト10:30

■温泉 部屋でお茶を飲んで少し休み、早速浴衣に着替えて浴舎に行った。浴舎には、「法師乃湯」のほか、女性専用の小浴場「長寿乃湯」と平成12年の夏に新しくできた「玉城乃湯」(これは男女交代制)がある。しかしなんといってもここにきたら断然「法師乃湯」でしょう。旧国鉄フルムーンパスのコマーシャルで上原謙と高峰三枝子の混浴シーンが有名になったところだ。「法師乃湯」は基本的に混浴で夜の数時間だけ女性専用タイムが設けられている(20時から22時まで)。しかし、なんとも言えないこの雰囲気>法師乃湯。四隅には行灯が、そして天井を見上げると重厚な木の梁。あの写真でしか見たことのなかった湯船が今この目の前にある…。湯船は4つだ。田の字の形に区切られ、それぞれ丸太が1本渡してある。頭や足を乗せられるようになっているのだ。入ったら…う〜んやっぱ気持ちいい〜。お湯は無色透明。ちらほら白い湯の花らしきものも見える。熟成したまろやかって感じのお湯だ。そうほんとにお湯がまろやか。湯船の底は全面玉石が敷き詰められている。よく見るとその玉石の合間をぬって底から小さな泡がプクプクと出ているのが見える。浴槽内には「旭の湯」「寿の湯」と呼ばれる2つの源泉がある。ほんとに底から自噴しているんだ!しかも湯温は熱くもなくぬるくもなくちょうどいい43℃。こんな適温が湯船の底から自噴しているなんてなかなかお目にかかれない。玉城乃湯は総桧造りで外には露天も設けられている。ただこちらは浴槽内の自噴ではない。別の源泉からひいているらしい。まだ新しいせいか、桧の香りがほのかに漂っている。身体を洗うところのノブまで木でできている。玉城乃湯ももちろんそれなりに良いのだが、湯質、浴槽、雰囲気ともに法師乃湯にはかなわないと思った。それだけ法師乃湯はえらく気に入ってしまった。「長寿乃湯」は、小さくこじんまりとした浴槽ながら、これまた湯船の底から小さな泡がプクプクと出ている自噴泉だ。見た目の豪華さでは「法師乃湯」や「玉城乃湯」には及ばないが、女性専用風呂として湯船の底から自噴している浴槽があることは、大いに評価できる。しかも「法師乃湯」と同様の上質の湯だ。(但し、湯温がいくぶん低めに感じられ、冬場は身体が温まるまで時間がかかるかもしれない)
■部屋 長寿館には本館、新館、別館がある。今回泊まったのは別館の2階205号室で、2階の一番奥だった。部屋は広縁と次の間が付き、間取りも広く、ゆったりくつろげる感じだ。部屋の中央には炬燵が置かれていた。炬燵があるのってなんだかそれだけで妙に落ち着く。なかなかいいものだ。窓越しから外を見やると法師川を挟んで、対面に法師乃湯の浴舎が見えた。ちなみに法師乃湯の浴舎は明治28年築。イギリス人の鉄道技師が設計し、越後大工が造ったという。木製のアーチ型の窓枠が特長だ。
■料理 さて、お待ちかねの夕食だ。夕食は岩魚や鯉などの川魚、キノコ類など山の幸が中心の料理だった。味は、まあ普通の感じだった。煮物、焼物などは後から随時運ばれてきた。朝食は湯豆腐、焼き魚などオーソドックスなもので、これも夕食と同じく味は普通といったところだった。なお夕食、朝食とも部屋食だ。
■接客 総じて仲居さんの応対も良く、従業員と廊下ですれ違うときも、きちんと挨拶があり、接客指導が行き届いているなという感じ。この宿は玄関をあがってすぐ左側に囲炉裏の間があり、そこは毎朝8時頃に火が入り、お茶が供されるらしい。チェックアウト前の客がここで憩うようになっているのだ。ただ残念なことに私たちがその時間に行くのが遅かったせいか(9時50分頃、チェックアウトの10分くらい前)、囲炉裏の間には飲み残した茶碗と食べ散らかったお茶菓子があるだけで、宿のスタッフは誰もおらず、お茶をいただくことができなかった。それが残念といえば残念だった。
■番外編 ●「長寿館」へ到着。でもちょっと様子がおかしい!? やっと着いた。うちを出てからかれこれ6時間以上たっていた。関越自動車道での途中休憩、宝川温泉の立ち寄り湯、匠の里での昼食とかなり時間を費やしていたが、早めにうちを出発していたので、それでも宿のチェックイン時間を若干過ぎた頃に到着できた。これがあの長寿館だ!う〜ん、いい感じ、雰囲気あるなあ。入口引戸の横に今はあまり見かけなくなった赤い円筒型のポストがある。これきっとほんとに使ってるポストだろうなあ。玄関の上には「御入浴客御定宿」と書いた年期物の看板が掲げられており、昔の湯治場の雰囲気を色濃く残している。しかし…あれ?なんかちょっとおかしい。宿の外に何人か人がいて、うろうろしてる。そこかしこに照明器具やらスタンドやら、はたまた衛星中継用の(?)大きなパラボラアンテナみたいのもセットされてたり。機材車みたいのも何台か停まってる。テレビ中継?そんな思いがふと頭をかすめた。うん、きっとそうだ。うろうろしていたのはどうやら撮影スタッフらしい。そんな光景を横に見やりながら宿の中に入っていった。●えーこれからテレビ撮影なの!? 若旦那みたいな人がでてきて「今日はテレビの撮影が入っているんですよ。あの〜中山ヒデ…とかいう方が出るそうですよ。」と教えてくれた。中山って誰だ?ちょっと考えてしまったけど、ヒデちゃんでおなじみの中山秀征のことだった。「あのテレビ撮影って生中継なんですか?」「ええそうみたいです。」この人も細かいとこまではよくわかっていないらしい。あの中山秀征がレポーターかなんかでくるのかあ、一体何の番組なんだろう。5時から生中継とのこと。「それですみませんが〜」と若旦那。撮影が始まってから終るまで入浴時間を制限させてもらう旨を申し訳なさそうに言った。わー芸能人に会えるなあ、そんな生中継の日にぴったし日程があってしまったなんて、なんてラッキーなんだろうって思ってしまったけど、でも、当然あの温泉場を撮影するのがメインなのはちょっと考えればわかること。よくよく考えてみれば、せっかくチェックイン早々に着いたのに、入浴時間が制限されてしまうなんて、これなら何のために早めに着いたのかわからない。まだチェックイン客の少ないこの時間帯がゆっくり温泉を楽しめるチャンスだったのに…予約したときにテレビ撮影があること教えてくれてもよかったのになあと思ってしまった。ちなみに秀ちゃんは、レポーターではなく別のところにいて、NHKのアナウンサーが現場中継をしたのでした。(でもほんとに生中継で、部屋でその番組はしっかり見てました。)●法師乃湯へ お風呂に行くと入口前に撮影スタッフらしき若者が一人いた。電源ケーブルらしきシールド線が何本も廊下に伸びている。「すみません、5時からテレビ撮影なんです。ご迷惑おかけします」「今は大丈夫ですか?」「ええまだ大丈夫です。ただ撮影スタッフが準備で中に行き来しますので、女性の方はご遠慮された方が」とのこと。妻は仕方なく長寿乃湯へ。私はお待ちかねの法師乃湯に入ることにした。脱衣場の床にも束になったケーブル線が何本もある。浴場の中も入ってみるとたしかに撮影機材らしきものが持ち込まれていた。端の方には何台かスタンド立ちした照明機材がすでにセッティングされていた。●まさかの出演依頼 妻より一足先に出たようだった。部屋に戻ってほてった身体をさましていた。すると廊下を走る足音が。あれ?この部屋に来たみたい。「失礼しまーす」と女性の声。女将らしき人が入って来て何やら話しをはじめた。「あのー聞かれたかもしれませんが…今日はテレビ撮影が入ってるんです。5時から生放送なんですけど。」「ええ、それはさっき聞きましたけど。」「で、出てくれる人を探してるんです…」はあー??、これはきっと出演依頼ってことらしい。「いやーいいですよ。テレビに出るなんて…」「そこをなんとか…男性で5人ほど探してまして…」「いやいいですよ、ほんとに。」苦笑いしつつ頑なに断った。自分の顔が生放送でテレビの画面に出ちゃうなんて。中山秀征と会話しちゃったりするのかなあ、そんなの絶対いやだよ〜。あとで部屋に戻ってきた妻にそのことを話したら、「私だったら絶対出たのに、どうしてーっ!」と信じられない様子だった。●うるさかった団体客 夕刻になり、団体客らしき声が廊下に響いてきた。なんかうるさい。何人かが大声出してしゃべってる。会社の慰安旅行?団体といっても7,8人というところか。なにも会社でこんなところに来てくれなくてもいいのに…これから夜の宴会して、それが終ると部屋に戻ってまた飲み直して…騒がしいんだろうなあ。案の定、この団体客は夕食後もかなり遅い時間まで部屋で飲んでいたようでうるさかったです(泣)。●お詫びの土産物 「昨夜はうるさかったでしょう?」部屋係の仲居さんが気にしてくれたらしい。朝食の配膳の時、何気にそう声をかけてくれた。「ええ、なんか団体さんだったんですか?けっこう遅くまでやってましたよ〜」と妻。「すみませんでしたね。」うーん、しかし困るよね、こういうのも。せっかく静かに過ごしに時間とお金かけてきたのに、一部のそういう人たちのために我慢しなければならないなんて。せっかくの旅がだいなし。そう思いながら傍らで苦笑いしていた。チェックアウトは部屋で精算手続きをしてくれる。これなら帳場で順番を待たされる必要はない。仲居さんはいったん引きあげてお釣を持って来てくれたとき「あのーこれ女将からなんですけど」と土産物を2品。笹ゆべし(お菓子)と味噌漬だった。「わーすみませんね。どうも。」なかなか気が効くじゃないか。お詫びに手土産を持たせてくれるなんて。でもまあほんとにうるさかったし、テレビ撮影のこともあったし、これくらいもらってもバチは当たらない。せっかくだし、ありがたくいただいておきました。女将&仲居さん、ありがとう。。
(宿のオフィシャルHPはこちらから)

■源泉チェック■
無色透明
泉質 カルシウム・ナトリウム・硫酸塩泉、単純泉
源泉温度 42.7℃(旭の湯)、27.7℃(官行の湯)
湧出量 240〜250g/分(旭の湯)、190g/分(官行の湯)
PH 8.2(旭の湯)、8.4(官行の湯)
湧出状態 自家源泉(自然湧出、単純泉はボーリング)
飲泉 不可