温泉わんだらあ 源泉の宿・宿泊記

肘折温泉丸屋旅館(★★★★☆)
昔ながらの湯治宿を程好いセンスでリニューアル

この宿を選んだ理由(わけ)

1昨年末に銀山温泉〜鳴子温泉の旅をした際、肘折温泉の位置が明確になり、いずれ訪れたいと思っていました。また、古くからの湯治客がいる温泉街ながら、新しく「いでゆ館」や「カルデラ温泉館」といった立派な日帰り入浴施設も充実していることを石川理夫の「ゆシュラン」で目にし、さらに日本秘湯を守る会の宿で、老舗ながらも洗練された湯治宿である「丸屋旅館」の存在を知り、今回ゆっくりしてみようと初めて同一温泉宿での2連泊を試みることにしました。


●今回の料金 1泊2食 15,900円
●所在地 山形県最上郡大蔵村大字南山519
●電話 TEL0233-76-2021
●交通 山形新幹線 新庄駅より肘折温泉行きバスで1時間15分、バス終点より徒歩1分
●食事 夕食/和食、朝食/和食(月山、葉山に泊った場合は、朝夕とも、専用個室にて)
●風呂 ●男・女湯[金山杉の湯・檜葉の湯]
  夕食時男女交代制
●露天風呂(檜葉の湯に併設)
  夕食時男女交代制
●貸切混浴[幸鶴の湯]
●玄関脇 箱檜葉足湯[あしの湯]
●施設 全13室
●イン/アウト イン14:00/アウト11:00
●宿泊日 2007.5.3-5(2連泊)
●URL http://www.naf.co.jp/maruyaryokan/welcome.stm

■温泉

湯船の構成は次のとおりでした。
@ 貸切専用内湯「幸鶴(こうかく)の湯」
A 男性用内湯「檜葉(ひばひのき)の湯」
B 女性用内湯「金山杉(かねやますぎ)の湯」
※ なお、AとBは18:30頃に男女入れ替えになります。

@ について:貸切専用の混浴風呂です。利用にあたっては、特に事前の予約も必要なく空いていればいつでも利用できます。2m×2.5m程度の石の湯船。石は最上石を使っているとのこと。源泉温度が高いため(70〜80度)、やむなく加水しているようですが、湯船のお湯を見ると薄い緑褐色とでもいうような色をしていました。口に含むと、だし汁のような味。湯船には1箇所15cm幅くらいの溝があって、そこからかなりの量のお湯が常時掛け流っていました。加水があるとしてもかなり新鮮なお湯に浸かっていると感じました。


A について:こちらは3つの湯船の中ではかなり大きめの湯船。といっても2m×3m強くらいでしょうか。(一部へこんだ形をしているので、長方形ではありませんが)AとBは源泉が@とは異なるそうで、@は組合3号泉、AとBは組合2号泉という源泉だそうです。泉質は塩化物炭酸水素塩泉。色や味などそれほど顕著な違いは感じませんでした。


B について:3m×3m程度の湯船。約半分は底が浅くなっていて、寝湯として楽しめるようになっています。源泉はAと同じく、組合2号泉。


■部屋

宿のホームページを見たところ、トイレ付きの部屋は源泉掛け流しの内風呂付きの「月山(がっさん)」と「葉山」の2部屋のみでした。「月山」は税別23000円とかなり高めなので、今回は税別15000円の「葉山」にしました。「葉山」は6畳×2+踏み込みそして2畳ほどの板の間スペースにテーブルと椅子のセット、さらにトイレ洗面つきの部屋でした。ただ予想外だったのは@6畳の部屋がひとつは茶卓のあるリビングと、もうひとつは布団が敷かれたままになった寝室と独立した別の部屋になっているため、狭く感じたこと、Aトイレと洗面が一緒になっていること、B部屋の窓からの眺望がないに等しいこと(隣の建物の壁が立ちはだかっている)。でも、連泊しているうちに@は気にならなくなり、逆にこういうレイアウトも面白いかと思うようになりました(AとBはなかなか慣れませんでしたが‥)。部屋は細かくよくよく見ると、敷居のレールに張られたカバーがたるんで反り返っていたり、壁の色が途中で変わっていたり、唯一、建物の隙間から山が遠くに見える板の間スペースの窓ガラスが汚れていたりしましたが、全般的には小奇麗に和モダンにしつらえられていて気持ちよく過ごすことができました。部屋には煎茶とほうじ茶パック、そして冷水が用意されていて、お茶はどちらも美味しかったです。また、リビングには小型テレビ、寝室には24型の薄型液晶テレビが置かれていて快適でした。

■料理

●夕食:(1泊目)事前に読んでいたある宿泊者の体験レポートに「葉山」に泊まったけど宿泊料金の割りに夕食の量が少なすぎると書かれていたため、量的にどうなのか少し気にはなっていましたが、お腹いっぱいになるくらい、十分な量でした。一番気に入ったのは、春のお目当ての山菜料理が充実していること。4種類の山菜がお浸しやにんにく風味炒め、味噌和えなど様々に調理されて出てきました。そして手作りの漬物、定番のイワナの塩焼き、山菜の天ぷら、さらに山形牛のステーキは自分で焼いて食べるようになっていましたが、ボリュームも結構あり食べ応え十分。とても美味しいお肉でした。ご飯と納豆汁を持ってきてくれる際、うなぎの蒲焼も出されました。デザートは大粒のイチゴが2つ、とても甘かったです。


(2泊目)2泊目も山菜4皿は健在で、また前日とは違った山菜をそれぞれ違った調理で出してくれるため、飽きさせません。イワナは味噌田楽に、山菜の天ぷらはフライに。肉はステーキから山形産のもち豚と新庄産の大根のしゃぶしゃぶ。また、うなぎの代わりに馬刺しが出ました。もち豚は柔らかくとっても美味しかったです。そしてご飯と姫竹が盛りだくさんの味噌汁。デザートはティラミスでした。2泊目は1泊目よりヘルシーに感じられました。


●朝食:(1泊目)朝食で何より気に入ったのは焼き魚の鮭の切り身が大きいこと。そして山菜や野菜の小皿が数種類。豆腐は鍋で温め、塩をふりかけて食べます。手作り豆腐でとてもまろやかで甘みがあって美味しかったです。そして、漬物、ご飯にわかめがたくさん入った味噌汁。最後に食後のコーヒーのサービスがありました。


(2泊目)2泊目の朝食の焼き魚はホッケの切り身。やはりボリューム感あり。そして山菜や野菜の小皿が4種類。湯豆腐、漬物、ご飯にわかめの味噌汁、そして最後にコーヒーです。


■接客 御主人がメインに声をかけてくれる宿です。女将さんはチェックイン時の館内案内や料理の配膳を主にしています。普段はこの4代目夫婦が主に接客対応しているのだと思いますが、今回はGWだったため、手伝いの若い女性を2人ほど雇っているようでしたが、そつなくこなしていて好感が持てました。宿の入り口に帳場がないので、気遣いせずに外の出入りなどもできました。チェックアウト時は車でも歩きの人でも姿が見えなくなるまで御主人が外で見送ってくれたのが印象的でした。



●総じて、この宿の評価は?

外観は古い湯治宿ながら、中に入ると和のモダンのセンスある造り、また、適宜に放っておいてくれる接客、美味しい食事、効きそうな泉質の雰囲気ある貸切専用内湯、そして、今回泊まった「葉山」の6畳2部屋にトイレ付きで、税抜き15000円は結構お徳感があると思います。ただ、窓からの眺望が良くないのが難点。*チェックアウト時に、宿の御主人に言って、リフォームしたばかりという温泉街通りに面した2階の部屋を見せてもらいました。すべてトイレ付きとなり、1間+広縁・板の間付きで15000円(税抜き)、2間+広縁・板の間付きで18000円(税抜き)。2間+広縁付きはドアを開くと廊下が2部屋を回りこむように造られており、通りに面しているため窓が広く開放感抜群。昔ながらの間取りを生かした快適な部屋となっていて、今度是非泊まってみたいと思いました。(お気に入り度=★★★★☆)

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