温泉わんだらあ 源泉の宿・宿泊記

仙石原温泉/オーベルジュ漣(★★★★★)
白濁湯とフレンチを堪能

この宿を選んだ理由(わけ)

ここは、箱根にある源泉掛け流しで、かつフレンチのオーベルジュということで、以前から気になっていた宿でした。昨年10月に同じく仙石原にあるオーベルジュ「箱根フォンテーヌブロー仙石亭」に泊まっていますので、これが2回目の箱根でのオーベルジュ(※)への宿泊となりました。(※オーベルジュとは?=宿泊施設を備えたレストランのこと。フランスでは郊外に土地の素材を使ったレストランが数多く存在しますが、料理にワインはつきもの。飲酒後に長距離を運転して帰るわけにも行かないため、宿泊設備を備えたレストランが数多く誕生しました。日本ではオーナーシェフ等が経営するなど、宿泊より料理に重きを置いたペンション等がオーベルジュを名乗るケースが多いようです。)


●今回の料金 1泊2食/20,700円(税・サ込み、入湯税別)
●所在地 神奈川県足柄下郡箱根町仙石原1285-17
●電話 T0460-84-9000  FAX 0460-84-7338
●交通 ◆電車/ロマンスカー直通箱根湯本駅下車タクシーで25分、◆車/東名高速を名古屋方面へ東名御殿場IC下車〜東名御殿場IC〜国道138号線箱根方面へ仙石原交差点右折、「みたけ旅館」左折
●食事 夕食・朝食とも食事処(レストラン)
●風呂 大浴場2(男女別)
●施設 全10室
●イン/アウト イン15:00/アウト11:00
●宿泊日 2009.6.26-27
●URL http://www.hakone-ren.com/#

■温泉

大涌谷から引湯している源泉掛け流しです(仙石原温泉(源泉名:大涌谷温泉)・泉質 酸性-カルシウム・マグネシウム-硫酸塩・塩化物質・酸性 低張性 高温泉・風呂利用時間:6:00〜23:00)。お湯は酸性で白く濁っています(飲泉はできませんが、なめると酸っぱいです)。内湯の大浴場が男女別に1カ所ずつ。特に女湯は大きな窓から緑の木々が見え、清々しいです。それほど広い大浴場ではありませんが、ここはオーベルジュで温泉というより、食事目当ての人が多いのか、結構、1人でゆっくり入れることも多かったです。



■部屋

広さ的に分けると、38.8uの部屋(スーペリアツイン・ラージツイン)、31.8u(ダブル、ツインA)、そして22.6u(ツインB)の3種類、5タイプ、計10部屋があります。今回泊まったのは、31.8uのツインAタイプ。ツインAタイプは1部屋しかないようで、2階の角部屋でした。室内は真新しくシンプルモダンにリフォームされていて、広さ的にも十分。2対の1人用ソファーが窓向きに置かれた寝室のほか、トイレ・洗面・シャワーが一体となったスペースが付いています。トイレと洗面が一緒の空間というのはあまり好みではありませんが、ここはそれぞれが1直線上に並んでいて、すっきりと明るくシンプルな空間に設えてあり、それほど違和感は感じませんでした。大きな窓からは緑の木々と裏の(従業員用の?)駐車スペース、そして平屋建ての住宅(?)が見えました。部屋には野鳥のガイドブックと双眼鏡が置かれていましたが、なかなか姿を見ることはできませんでした。また、部屋には冷蔵庫とミニワインセラーが装備されています。ミニワインセラーにはハーフボトルサイズのワインが6本入っていました。価格はすべて(それぞれ)2,000円でした。部屋にワインセラーがあるとは、さすがオーベルジュといった感じでした。あと、チェックイン時にウェルカムドリンクなどのサービスがない代わりに部屋にお茶(コーヒー・茶)セットとシェフ手作りというお菓子が3種類用意されていました。ですから、鳥たちの鳴き声を聴きながらそのお菓子を食べました。お菓子はお洒落でとても美味しかったです。

■料理

ディナー(夕食)とブレックファースト(朝食)は、フロントロビーがある建物の2階にあるレストランで食べます。ディナーの開始時間は18:00、18:30、19:00の中から選ぶことができます。事前に見ていた宿の写真では、レストランで隣の席との間隔が狭そうと思っていたのですが、実際は、結構ゆったりとしたスペースがとられていました。

(夕食):お待ちかねのディナーはまずアミューズ(オードブルの前に出されることのあるアミューズ・ブッシュ(amuse bouche、小前菜)のこと)から。アミューズだから大した量ではないだろうと思っていたら、結構盛られていて3品ありました。なかでもサクサクの魚介が入ったフリットが熱々で美味しかったです。あとの2品はピーマンのムース、牛のたたきをお寿司のようにご飯の上に乗せたものでした。次は、前菜です。3品(+追加料金の必要な2品もあり)の中から選びます。今回は、1人が「マダイの軽いマリネ」、もう1人が「仔ウサギのテリーヌ、リードヴォーのポワレ・砂肝のコンフィーの美食家風サラダ」にしました。後者は、結構ボリューム感もあり、これとパンなどを食べていると、ここですでにお腹がいっぱいになりかけてきます…。パンは焼きたてのパンが2種類。バター、オリーブオイル、ハムのテリーヌの3種類をお好みでパンにつけて食べます。どれをつけても美味しかったです!3皿目は「本日仕入れた鮮魚のポワレ」これは全員が同じものです。ソースもパンにつけていただきました。美味しかったです!!そして、ここでお口直しのグランテ(シャーベット)は「スイカ」と「白ワイン」から選べ、1つずつ頼みました。メインディッシュは3品(+追加料金の必要な2品)の中から選びます。「骨付き仔羊フィレ肉のロースト」と「柔らかく煮込んだ牛ほほ肉」にしました。ここまで食べ終わると、かなりお腹が苦しいです。実はパンが美味しかったので、おかわりをしてしまったのですが、後でこのパンのおかわりが余分だったと感じました。もう料理だけでかなりのボリューム感がありますので。また、特に一品一品が運ばれてくるのに結構待ち時間があるので、余計満腹感を感じさせるのだと思います。最後はデザート。驚いたのはデザートが2皿出ること。1皿目は全員共通の小さなデザートでグレープフルーツのプリンでした。そして2皿目は5品の中から選ぶことが出来ます。1人ずつ「やわらか杏仁豆腐とメロンのコンポート」と「桃のコンポートとアイスクリーム、プラム添え」にしました。そして飲み物はコーヒー、紅茶のほか、ノンカフェインティーからも選べるようになっていました。そしてまた驚いたことに、2皿目デザートが出てコーヒーを持ってくると、さらに小さな箱に入ったプティフール(プティフールとは、コースのデザートの後に コーヒーと一緒にでてくる小菓子やクッキーをいいます)が出てきました。プチ焼き菓子でしたが、4種類も!部屋に持ち帰れるように小箱に入っていました。なかなか面白い演出です。ディナーを終えての感想ですが、想像以上に、どれもボリューム感があって、しかも美味しい。これほどまでのディナーを通常料金で食べられるのなら、このディナーだけでもここに泊まる価値は十分あると思います。あともうひとつ感じたのは、アミューズから一品一品出てくる待ち時間(間隔時間)が結構あったので、今回はディナーの開始時間を一番遅い19:00にしてしまったためか、最後のデザートが出てくるのが21:00を過ぎてしまいました。なので、それが嫌な人は一番早い18:00スタートにした方が良いのではないかと思います。



(朝食):ブレックファ−ストは8:00から9:00の好きな時間にレストランに行くようになっていました。ディナーとブレックファーストでは、レストランでの座席が変わります。ディナーでは中央の席だったのですが、ブレックファーストでは窓側になりました。ブレックファーストもコース仕立てになっています。面白いと思ったのは、まず、冷たい飲み物を選びますが、5種類のジュースや牛乳のほか、「本日のグラスワイン」というのもありました(朝からワイン!?)。でも、やはり朝は生ジュースがいいねと2人ともオレンジジュースにしました。スープは「季節の野菜スープ」か「根菜の冷たいポタージュ」から選びます。それぞれ1つずつにしました。この冷たいポタージュにはすったゴボウ、レンコン、カブ、大根が入っていてとても美味しかったです。自家製パンは焼きたてのブリオッシュ、フランスパン、クロワッサン、スコーンの盛り合わせになっていました。バター、木いちご、バナナのジャムをつけて食べます。このバナナのジャムは今回初めて食べましたが、とても美味しかったです。次に自家製スモークハムとソーセージ、野菜は3品から選ぶようになっていました。「自家菜園ハーブのサラダ」と「三島のスティック野菜」にしました。メインディッシュは4品から選びます。「シェフおすすめ 本日の魚料理」と「そば粉のパンケーキに乗せた目玉焼き、トリュフ風味」にしました。「シェフおすすめ 本日の魚料理」に出てきた魚のムニエルも美味しかったのですが、朝からだとちょっと胃に重たい感じもしました。デザートは「フルーツのスープ仕立てとクリームブリュレ」。温かい飲み物は、コーヒー、紅茶(ウバ)、緑茶から選べ、コーヒーにしました。パンは食べきれない場合は、持ち帰りができますが、温かくて美味しいので全部食べてしまいました。そうするとやはりかなりお腹がいっぱいになってしまいました。ブレックファーストは8:00からにしたので、最初はテンポよくお皿が出てきましたが、やはり全テーブルがそろったためか、最後のデザートになると出てくる時間が遅くなりました。通常は、夕食が豪華でも朝食は簡単だったりするものですが、ここは前評判どおり朝食にも手を抜いていないと思いました。

■接客 レストラン以外の場所で出会うスタッフと言えば、フロントロビーでオーナー夫妻(?)に会うだけですが、2人とも上品で静かで、でも温かみのある礼儀正しい感じの方々でした。レストランでも、このオーナーの奥様はホールにいらっしゃいました。あと若い男女のスタッフが、ホールにいますが、丁寧な接客をしてくれていました。フレンチですが、気取った感じがなく確かに宿のパンフにもあるように、あるがままの自然体の自分でくつろげるような宿(レストランも含めて)だと感じました。




●総じて、この宿の評価は?

今回は平日泊のためツインAタイプで、サービス料、税込みで20,700円(入湯税別)。ディナー、ブレックファーストの、このフルコース料理で、この宿泊料金はとてもコストパフォーマンスが高いと思います。本当に正真正銘のオーベルジュと呼べるにふさわしい宿だと思います。美味しい本格的なフレンチに源泉掛け流しの温泉、シンプルモダンの快適な部屋、緑の自然と野鳥のさえずり…。どれをとってもここは評価5つ★の宿。こここそ、誰にも教えたくなくなるようなお気に入りの宿でした。(お気に入り度=★★★★★)

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