◆ Cocco Live Report ◆


★ Cocco Live Tour 2006 〜ザンサイアン〜

2006.8.8(Tue)、at 大阪厚生年金会館大ホール

このライブは、復帰アルバム「ザンサイアン」をひっさげた8都市ツアーの大阪公演。

● 曲順リスト。

  1. 音速パンチ
  2. 首。
  3. 眠れぬ森の王子様。
  4. Swinging Night
  5. 夏色
  6. blue bird
  7. Drive you Crazy
  8. ポロメリア
  9. (8/7神戸での「今日の歌」)
  10. (8/8大阪での「今日の歌」)
  11. 強く儚い者たち
  12. 愛うらら
  13. 野火
  14. カウントダウン
  15. インディゴブルー
  16. 暗黙情事
  17. 流星群
  18. 陽の照りながら雨の降る
  19. 焼け野が原
  20. Happy Ending
  21. (未発表曲)
実に5年10か月ぶりで、その想いも含め非常に印象深かった前日の神戸公演に引き続き、この日の大阪・厚生年金会館大ホールでのCoccoのライブを見に行く。
家を出る30分ほど前までは、てっきりフェスティバルホールが会場だと勝手に思っていた。だが、ラジオを聞いていると「今日のライブ、19時から厚生年金会館大ホールで…」との情報が。慌ててチケットを確認、間違いに気づく。
…間違えて行かなくてよかった。着くまでの時間が10分ほど長くなるくらいで問題ない。


前日の神戸でグッズを購入しそこねたので、意地でも買うべく早く出かける。そして、会場40分前の17時20分頃、厚生年金会館前に到着。予想通り、既に少し行列ができていた。たが、この行列は開場待ちの行列ではなく、がちゃがちゃの列だった模様。10分ちょっとしたところで列が動き出し、会場内に設けられたがちゃがちゃマシーンに向かう。

今回のライブツアーでは、通常のグッズの他に、がちゃがちゃマシーンによる特別グッズがあった。通常のグッズは通販などがあったようだが、このがちゃがちゃによるものはなし。会場だけの限定といえるだろう。ただ、この開場前の「がちゃがちゃタイム」ではエントランスまでしか立ち入らなかったので、チケットを持っていなかった人でも参加はできたようである。

今日早く出たのには、通常のグッズはもちろん、このがちゃがちゃでのグッズを狙うという理由があった。神戸ではやはりかなりの行列になっていたから。 …なんせ、行く前に親に両替を頼んで100円玉を20枚弱持っていたくらいやし。
とはいえ、たまたま列に並んだことで、開場前に目標一つがあっさり達成する。

このがちゃがちゃ、一回500円。「相場」を考えると高い部類に入るが、中身が限定グッズなのだから仕方がないだろう。ちなみに、マシーンは100円しか受け付けない。上の両替はそのためのもの。ただ、現地でも両替はしてもらえたようだが。
予定通り15枚の100円玉を投入し、3回ほどがちゃがちゃマシーンと格闘。

かつて、ヤイコのライブでもがちゃがちゃマシーンが置かれたことがあった。この時はやはり1回500円で、バンドメンバーのフィギュア計7種が入っていた。こんかいのCoccoのversionでは、缶バッジが80種以上とミニタオル2種、ミニトートが2種、キーホルダーが2種など、種類が相当豊富。ヤイコの時は容易にコンプリートできたが、今回コンプリートできた人はまずいない(断言)。

僕の後ろにも長い列ができていたので、さっさと3回やった後に中身を確認。なかなか開かないカプセルを何とか開けてチェックしたら…。
結果:ミニトート(1種)×1、タオル(1種)×2
…全部で90種類ほどもあるというのに、たった3回でなんでかぶるかなー??というわけで、結局、あんなにあるはずの缶バッジは出ずじまいでした。でもまぁ満足。

僕がカプセルと格闘してる間に「がちゃがちゃタイム」は一旦中断(以後は開演後に会場内で)。がちゃがちゃ待ちの列のかわりに開場待ちの列ができる。

目標を達成したので、あとは純粋にライブに臨める。
…ということで、座席に向かう。前日と同じく「3階席」ではあったが、「ウイング」とかそんないい席ではなく、ごく普通の「3階席」。しかも前から8列目。 真ん中とか言うことでもなく、少し左からのまぁ微妙な席。

ただ、これでもあの城ホールでの席に比べたら十分によいといえるだろう。
しかも、会場前に「チケット譲ってください」との紙を持った人がいた(もちろんダフ屋もいたが)ことを考えると、チケットが取れただけで満足すべきなのかもしれない…。

あとは開演を待つのみ。買ったばかりのパンフレットを眺めたりして時間を過ごす。
久しぶりのライブということで落ち着かなかった前日とは違って、ライブ全体のだいたいの流れがわかっていたこの日は結構落ち着いていた。 そして、やはり19時を少し過ぎたあたりで、客電が暗くなり開演…。


前日と同じく「音速パンチ」のイントロ部分に合わせてメンバーが登場し、最後にCoccoが登場。もちろん、手にたくさんの花束を抱えて。
そんな、流れがわかっていた中、いざ歌が始まると…。前日と変わらないかの新鮮な感じで今度は「ビビビ」と来た。曲の力か、そもそもCoccoのボーカルの力か、それともライブという空間の力か。おそらく全てが混じった力によって、ぐっと来た。

前日同様、そして3曲目の「星の王子様。」まで一気に歌い上げ、ここでMCが入る。
「ただいま」との一言に、客からは「おかえりー」やら「あっちゃーん(Coccoの自称)」との声が飛ぶ。また「かわいいー」と声が飛んだとき、Coccoは恥ずかしそうに「うるせぇ」と返していた。客の歓声は神戸より多かったような気がした。

ここでのMCは手短に「Swinging Night」「夏色」とアルバム「ザンサイアン」中の曲をやったあと、この日は「blue bird」と「Drive you crazy」の英語詞の曲を2曲。 Coccoの曲の中には英語詞の曲も少なくない。そして、歌詞カードには日本語詞、英語詞の曲とも対訳が載っている。これは活動中止前から変わらない。

そして再びMCに入り、スタッフがステージ中央に椅子と「?」と書かれた箱とファイルを持ってくる。そう、「くじ引き」のお時間。この日はどうなるのかと思っていたら、「この前FM802の番組に出たときに約束したので歌います」と言って、「ポロメリア」を歌い始める。
これは、FM802の「SONIC STYLE」という番組に出演した時、DJのマーキーがCocco本人に「『ポロメリア』歌ってぇな」と直々にリクエストしていたもの。 ちなみにこの「SONIC STYLE」は、活動中止の時、中止日の2日後に「最後のメッセージ」を流したという、Coccoと非常につながりの深い番組といえるだろう。

で、その後「昨日、神戸でできた歌をバンドで歌います…やっぱりテツ(向山テツ;Ds、Per)がドラムじゃないとおかしいだろ?」などと言って、前日初披露の例の曲を歌う。この部分はアコースティックコーナーだったが、エレキ楽器をわざわざ持ってこさせて、フルバンドでの披露となった。どうやら、この日の昼間にざっとリハーサルしてた模様。メンバーに「コード覚えてる?」とか聞きつつ、演奏が始まる。

…たった1日でかなりスケールアップしていた。
Coccoのアカペラの段階から聞いている身としては、「曲の成長」が実に見て取れた。CDに入っていても全くもって遜色ない感じだったが、惜しむらくはタイトルがないこと。一人の客が「タイトルはー?」って聞いていたが、「教えない」とCoccoに一蹴されてしまった…。次のアルバムにでも入れてほしいなぁ。

そして、この「神戸の歌」を歌ったあと、舞台のソデにいるスタッフに「もう1曲いってもいい?」と尋ねると、OKが出た模様。そこでCoccoは再び懐からメモを取り出し「次は今日の曲…」と言って、また客を座らせコードを取り始める。
…この日は確か、サポートに入っているGRAPEVINEの西川(g)が困っていたような。

そしてできた曲は「♪君のほっペに首ったけ…」と始まり、サビで「♪君に キスキス〜」と歌う、軽やかな曲。「My Dear Pig」のような、時折アルバムに入る素朴なアレンジの曲。前の曲が本格的な「剛」とすれば、この日のは少し「軟」な感じ。とはいえ確かにCoccoの曲。タイプが違うからこそ、それを産み出すCoccoの凄さが感じられる。


このおまけ2曲のあと、アコースティックコーナーも終わり、フルセットでのライブ再開。前日と同じように「強く儚い者たち」から、「ザンサイアン」の中の曲、そしてデビューシングル「カウントダウン」まで多彩なラインナップだった。

この途中に入ったMCでこんなことを言っていた。
「大阪でのライブでは、一番人が集まってくれるし、不安とかが全くない。」
…大阪の客は非常に暖かいようだ。おそらく6年前のツアーでもそれは変わらなかったのだろう。だからこそ言ってた「また来るねー」との一言。

「前のツアーで『また来るねー』と言って、そのままやめちゃって…でも帰ってきたよー」とか、「やめたあと、シークレットで路上で歌ったときもいっぱい大阪の人に集まってもらって…(先述の「SONIC STYLE」でも告知された影響もある)他の場所でも歌ってたけど、誰も集まらない。」とか言ってた。

そして衝撃の事実が明かされる。「15日に沖縄でファイナルがあるけどよー、その前の日にライブハウスでシークレットで歌う…絶対内緒だからよ、お前らすぐインターネットとかでバラすんだから…」とか言っていた。
そして客から「大阪でもやってー」と言われると、「あさって東京だからよー、移動せんとといけん…台風来てるからよー」と答え、「でも、大阪また来るよー」と言っていた。

終盤は、前日同様「陽の照りながら雨の降る」や「焼け野が原」「Happy Ending」などと続けて歌い、最後に未発表の新曲(らしい)を歌って、ライブを締めくくる。メンバーを集めて大きく礼をし、持って来た花束を大きく抱えながらステージから去っていく。
やはりアンコールもなしに客電がつき、ここでライブが終了。


「神戸の歌」「大阪の歌」も含めて実に21曲、2時間10分のライブ。
前日のライブとも遜色なく、たっぷり「Coccoの歌」を味わうことができた。2日間あわせてしっかりと、心に、記憶に刻み込まれた。
MC中の「また来るよー」との言葉。
…もう6年も待つことはないだろう。近々またライブがある…そんな確信を持てた。すぐに次のライブが見れると信じつつ、期待しようっと。


★ Cocco Live Tour 2006 〜ザンサイアン〜

2006.8.7(Mon)、at 神戸国際会館こくさいホール

このライブは、復帰アルバム「ザンサイアン」をひっさげた8都市ツアーの神戸公演。

● 曲順リスト。

  1. 音速パンチ
  2. 首。
  3. 眠れぬ森の王子様。
  4. Swinging Night
  5. 夏色
  6. 樹海の糸
  7. Raining
  8. RAINBOW
  9. (今日の歌)
  10. 強く儚い者たち
  11. 愛うらら
  12. 野火
  13. カウントダウン
  14. インディゴブルー
  15. 暗黙情事
  16. 流星群
  17. 陽の照りながら雨の降る
  18. 焼け野が原
  19. Happy Ending
  20. (未発表曲)
僕にとっては、2000年10月の大阪城ホール公演以来、実に5年10か月ぶりとなるCoccoのライブ。活動中止している間、一時は再びライブを見ることを諦めていたりもした。だが、Coccoは5年ぶりのアルバム「ザンサイアン」とともに活動を再開し、全国ツアーで再び僕の目の前に帰ってきた…。

そんな今回の神戸公演、チケットはネットの先行予約で確保した。ただ、座席は3階席。だが、通常の3階席とは異なり、「右ウイング」とでもいうような席。目の前に他の人はいないので、ある意味「最前」ではあるが、完全にステージを見下ろす形だった。

とはいえ、「3階席」ということで双眼鏡も用意して行った今回は、ステージから最も遠いスタンド席だった前回の城ホールのライブよりは十分よく見える。あの時は、双眼鏡を持っていかなかったために豆粒程度のサイズでしか見えず、しかもライトがもろに当たった「ど逆光」状態で、顔はおろか姿もろくに見えなかった。


開場後30分、開演前30分というくらいに会場に到着。グッズを買おうとしたがすでに長蛇の列で、最後尾に並ぼうとしても「これ以降は開演前にご購入できません。終演後ご利用ください」と言われ、並ぶことができなかった。
グッズとは別にがちゃがちゃもあったようだが、こちらにも人の列が…。

仕方なく、席に向かって開演を待つ。
今までに神戸国際会館(こくさいホール)でライブを見たのはたった1度。4年弱前のスガシカオのライブ。あの時はたしか1階席の前から8列目やったなーとか思いつつ、会場を見渡す。よくよく考えると、どこの会場でもこのウイング席には座ったことはなく、今回が初めて。


そうこうしているうちに、開演予定の19時を迎える。注意事項のアナウンスが流れた後、5分くらいで客電が消え…
「音速パンチ」のイントロ冒頭の小気味いいメロディーが流れ、それに合わせてメンバーが登場。そして最後に、花束を抱えたCoccoが登場し、ライブがスタート。

1曲目はもちろん「音速パンチ」。活動再開第一弾シングルであり、アルバムでも1曲目を飾る曲。その歌い出しで、現実に泣いたわけではないが、涙が出そうだった。必要以上に壁で反響した歌声で「ライブを見てるんや」と感じて、何か熱いものがこみ上げてきた。

そして3曲目の「星の王子様。」まで一気に歌い上げ、ここでMCが入る。
「ただいま」との一言に、客からは「おかえりー」やら「あっちゃーん(Coccoの自称)」との声が飛ぶ。また「かわいいー」と声が飛んだとき、Coccoは恥ずかしそうに「うるせぇ」と返していた。

今回の神戸公演に備えて、前日6日から神戸入りしていたらしい。ちょうど日曜日だった6日、Coccoは長田まで足を伸ばしたそうで、そこではお祭りをやっていたそうな。Coccoは焼きそばが食べたかったらしいが、人が並んでいたかなんかで、結局焼きうどんを食べたらしい。…前日に長田にいたということで、客からは「えー」と驚きの声があがっていた。

そして「Swinging Night」「夏色」とアルバム「ザンサイアン」中の曲をやったあと「樹海の糸」「Raining」と、活動中止前のシングル曲を歌った。神戸でのワンマンライブは今回が初めてと言うことで、Cocco曰く「昔の曲聞きたいんだろ?」と言うことでの選曲のようだ。


そして再びMCに入るのだが、ステージ中央のCoccoのもとに椅子と「?」と書かれた箱とファイルが用意される。どうやら、今回のツアーではこのタイミングで「くじ引き」を行っていたようだ。箱の中には曲のタイトルが書かれた紙が入っていて、ファイルには全ての曲の歌詞が書かれているらしい…。

だが、「今日はくじ引きはやりません」とのこと。「どの曲も歌いたいからこうやってくじ引きにしたけど、同じ曲が2回出たりして、今までガマンしてきたけど、今日はやめます。」だそうだ。かわりに、今日歌いたかったと言う「RAINBOW」を歌う。この曲は、活動中止前の最後のツアーでの、Coccoにとってのテーマソングだったらしい。

毎回、くじ引きコーナーは2曲やっていたようだが、2回目もくじは引かず。
なんと、「なんか蒸れてる…」とか言いながら、懐から紙を取り出した。そして「今日の歌を歌います。コードとるのでちょっと待ってて」と言って、客を座らせ自身はバックバンドのほうを向いて歌い始めた。

これがCoccoのスタイル。楽器はほぼできないCoccoだが、たしかに「うた」を作っている。Coccoの「うた」は、根岸孝旨(b)率いるバックバンドによってコードがつけられ、重厚なサウンドの「曲」となる。
そんなレコーディングに行われるような風景が目の前で繰り広げられていた。

突然の「うた」に、バックバンドのメンバーは困惑気味。向山テツ(Dr、Per)が軽くリズムを取る中、Coccoは何度も歌い、メロディーが肉づけされていく。途中、根岸にCoccoが喝を飛ばしてるのを見て、客からは「ネギ、がんばれー」との声も飛んでいた。

10分弱で「作業」は終了。先ほどはアカペラだった「うた」がバックバンドの演奏を含めた「曲」に昇華された。今聞いたばかりとは思えないほど、実に見事。
「♪君にあげる歌があれば〜」と始まり、「♪このまま〜どこへいこう〜」とのサビを持つこの曲。確かにCoccoの曲である。だが、この日初めて皆が聞いた曲なのに。


この「今日の歌」で時間を取りすぎてしまったのか、「このあとは急いでいこう…延長料金取られるのがイヤだから」と言って、再びライブに戻る。 「強く儚い者たち」から、「ザンサイアン」の中の曲、そしてデビューシングル「カウントダウン」まで多彩なラインナップだった。

そして「流星群」を歌ったあと、Coccoは神戸に来た真相を告げる。
「今回、どうしても神戸に行きたくて、ライブを入れてもらった。でも、神戸って大阪と劇近ですよ…。」と言ったあとに「あの時、あの光景を見たけど、あっちゃんは何もできなかった。…今になってやっと来れるようになった。…長い時間が経ったけど、許してくれるよね?」と涙ぐみながら語った。

そう、あの時とは阪神大震災のときのこと。あの地震での光景はCoccoの胸にも深く刻まれていたようだ。だからこそ、前日に長田にも行ったのだろう。 そして「やっと歌えた曲」である、「陽の照りながら雨の降る」を歌いあげる。

この曲に続いては、活動中止前最後のシングル「焼け野が原」とそのアンサーソングとも言えそうな「Happy Ending」を続けて歌い、最後に未発表の新曲(らしい)を歌って、ライブを締めくくった。
ステージから去るときも、持って来た花束を大きく抱えながら…。


すぐに客電がつくものの、アンコールを求める拍手は鳴り止まない。だが、終了のアナウンスが流れて、その拍手も消えていく…。
やはり、アンコールはなかった。「やはり」と書いたのは、前の城ホールでのライブでもなかったように記憶していたから…。

(そのあと、このツアーの実質ラストともいえる15日の沖縄初ワンマンライブでは「Cocco史上初のアンコールです」と言って、アンコールに応えたようだ。)

誰も知らなかった「今日の歌」も含めて実に20曲、2時間15分のライブ。
MCで語っていたような、Coccoの熱い想いは確かに届いた。そして、僕自身にとっても、6年分の想いが詰まったこのライブ、実に印象深く味わうことができた。