50BM8pp製作
50BM8pp
<このアンプについて>
この50BM8ppアンプは、キット以外でまともに製作した初めての真空管アンプです。ちょっと
大げさですが、このアンプにはこれから真空管アンプと長く付き合っていけるかをじっくり考えようという
想いが込められています。
土地柄、初めて製作するアンプの部品調達を全て自分でするのは無理と考え、雑誌記事そのままで部品をシ
ョップに一括発注しました。
シャーシの加工についても、まずは工具を揃えずにということでショップにお願いしました。
発注前に自分なりに勉強しながら回路図を読んだところ、無帰還時の周波数特性やチャンネルセパレーショ
ンが現代真空管アンプ特性から言えば今一歩と予想されました。(とはいっても一昔のアンプの周波数特性
よりはかなり良いとは思います。)最初から改善した回路で製作するのも手ですが、後々自分なりに改善す
るのも勉強と考え、まずは雑誌記事そのままで製作しました。
色々心配はありましたが、完成後にはそんな心配はどこかに行ってしまいました。とっても良い音で鳴って
ますし、これからずっと真空管と付き合っていけそうです。(自分で作ったアンプの音は良く感じるとは言
いますが、まったくそのとおりですねぇ(~_~)
特性はこれから徐々に改善していく予定です。また、改良しやすいようにGNDライン等に少し仕込みをし
てあります。
特性まとめ
特性改善のページ(HP製作中)
<回路概要>
回路は3段増幅タイプ。初段は12AU7のパラレル、次段反転増幅ドライブ部が50BM8の3極部、
出力段は5極部プッシュプルです。製作前にぺるけ氏のホームページにて勉強していたので、この回路には
無帰還時のf特とクロストークに要改善なところがあると思っていました。特にクロストークが心配でした。
(完成後の測定結果からもその予想は的中しました)
回路自体は、記事のデットコピーとなっています。理由は、上の方で書いたのが一つ。それともうひとつ大
事なこと。
それは測定環境に関係します。
測定器関係を出来るだけ安く揃えようということで極力自作しました。その為、測定系の妥当性確認を兼ねて
(雑誌記事に基本特性が載っていますので比較出来る!!)あえて記事のデッドコピーとしました。
その結果、お金を掛けずに自作した測定器でも十分使用できることが分かりました。(但しオシロスコープ
はさすがに作れませんでした。オシロだけは市販品をゆずり受けました。)
測定系の妥当性が分かったところで、徐々に改良を加えて特性改善していこうという方針です。
(特性改善ですが、製作時の思わぬトラブルより時間が思った以上に掛かりあまりはかどっていません。)
(このトラブルは製作編にて)
次は設計編です。
<回路設計(検証)>
普通ですと前置きの後は設計編なのでしょうが、雑誌の記事のコピーですので設計検証編とします。
実際は製作しながら記事をチェックしながらという作業となりました。
<回路図>
電源
<初段ロードライン_12AU7>
<ドライブ兼位相反転段ロードライン>
<このあたりにロードラインの図を入れる予定>
<出力段ロードライン>
<製作>
シャーシの加工は既に済んでいるため製作はサクサクと進んでいくかと思っていましたが、実際にはそうでは
ありませんでした。(*_*) 順に説明していきます。
・発注から部品到着まで
ショップには急ぎませんと伝えていた為か、約1ヶ月半はかかったでしょうか。シャーシ加工はショップから
業者に依頼するということで、余計に時間が掛かったようです。待っている間に勉強していれば良いかと
思っていたのですがやはり待ち遠しいものです。2回に分けて納品、シャーシと真空管は2回目に届きました
さて真空管も届いたし、とりあえずは眺めてみようと思ったところで始めのトラブルが発生です。なんと、
真空管が2本不良品でした。1本はリング部分が取れてしまって振ると「カラカラ」いいます。これでは
音出ませんよねぇ。。もう一本は管の内側にヒビの様なものが見えます。
幸い交換していただけましたので、問題ありませんでしたが。。(後で測定していて分かったのですが、
交換で届いたものはペア性がかなり悪く残念。。。。)
・組み立て開始〜大物部品とりつけ
@真空管ソケット取り付け
問題なし。
Aトランス取り付け
シャーシの穴が小さく入らず、、、うーーん。いろいろ考えたあげく、トランス自身を
締め付けているねじを一度外し、半分ばらばらにしてから再度取り付けました。こんなことしていいのでしょうか。
だれか教えてくださいって感じです。m(__)m
Bブロックコンデンサ取り付け
またまた入らず。(ToT)/~~~今度は穴がかなり小さいため絶対入りません。
仕方がないのでシャーシの上に乗せました。でも、この方がバランスが良く格好がいいのでOKです。
CLラグ板取り付け
真空管ソケットと共締めなので一度ソケットを外しながら取り付けました。
ここで小トラブル発生。記事のとおりにはLラグが取り付けられません。Lラグが長くシャーシの壁にぶつかって
しまい記事どおりには取り付けられません。斜めにしか取り付けられない。ここはいくら考えてもまっすぐには取
り付けられません。Lラグ板って大きさが色々あるのでしょうか。。実害はないので、これでOKとしました。
DACライン〜ヒーター配線
ここは特に問題はありませんが、慎重に進めました。
ヒーター配線のみで動作チェックをしておきました。そうです、このとき真空管に火が入るのです。
当然のように部屋を暗くしてしばらく眺めます。(^_^;)
EB電源、GND配線
後で実施予定のクロストーク対策がしやすいようしておきました。RLch別々のB電源配線とGNDラインに
工夫をしてあります。ここでも配線が終わったところで動作チェックをしておきます。
但し、真空管を取り付けない状態での動作確認なので電圧はかなり高めになりました。
FCR部品等部品取り付けと配線
一番時間が掛かりました。家族が寝てからの作業なので一日平均2,3個の部品しか取り付けられ
ませんでした。要所要所で動作チェックもしておきました。
・無帰還での動作チェック
何回か配線チェックをした後で、思い切って真空管を挿して電源ONです。もちろんスピーカはまだ怖くて繋ぎま
せん、まずは8Ωのダミーロード用ホーロー抵抗で我慢。
・電源ON後ただちにOFF、変な音がしないことを確認。
・再度電源ON。各部の電圧をチェックし、ほぼ予定どおりな事を確認。
・スピーカーをつないで初の音出し。とりあえず音が出てほっとする。
・しばらく鑑賞にひたる。はずだったのですが、またまた問題発生。
左chの音量が異常に小さくバランスがおかしい。テスタで測ると右chのちょうど半分位しか振幅
が出でいない。この原因が分かるのに2週間位かかりました。解決までに確認した現象と内容は次の項目です。
- ドライブ段入力までは左右ほぼ同一の振幅がある。
- 出力トランスの1次側波形、左chが右chの半分しかない。
- 真空管を左右入れ替えても変わらない。
- 接続は何十回もチェックして問題ない。
- 負帰還ラインをはずしても変わらない。
- 出力トランス1次側までのDC電圧は左右ほぼ同一。
この時点では、まさか原因が出力トランスの不良とは思いもよりませんでした。↓
色々試してみたのですがなかなか原因がわかりません。そこで配線の入れ替えなどが多くて試していなかった、
出力トランスの左右ch入れ替えをしてみました。
な、なんと、今度はさっきまでとは逆chの音が小さくなりました。
え、、、まさかこれって出力トランス不良ってこと?
個人的にはこの時点で出力トランス不良と確信したのですが、SHOPへ問い合わせてもそんなはずは無い、
ちゃんとチェックして下さいとのこと。(実は部品注文時もトラぶったのですが、真空管初期不良やシャーシ加工
ミス等ありもう絶対このSHOPには頼みません(^_^;))
このあと、全部の回路をチェックし直したりとずいぶん時間が掛かりました。(後になって、勉強になった
と思えるようになりましたが、その時ははんべそ状態でした。)
結局SHOPでは手に負えないということで、メーカーに送ってみてもらったところ、レイヤショート
という現象とのこと。壊したという痕跡も無いということで初期不良の判断で新品と無事交換。取り付けた
ところ、左右のchから同じだけの音量が部屋に響きました。やったー!!
その後、はずしていた負帰還ラインを接続し、まともな音が出た時は本当に嬉しかったです。(^_^)v
ひとまず完成。次は基本特性の測定へすすみます。
<特性>
予定している特性の改善を早く進めたいところですが、改善の程度を後で確認出来るようにするためにも
基本特性の測定を行いました。
<気になる点など>
・送られてきた球ではR→LとL→Rのクロストークが極端に異なる曲線を描く。特にLchの低域が変な曲線。
(これは、後に50BM8を追加で手配しペア性の悪さであることが分かった。)
・低域と高域でのクロストーク特性が悪い。(予測はしていたが、記事の回路に問題あり。→特性改善ページを参照)
・f特、特に無負帰還時の高域をもう少し伸ばしたい。負帰還ありでは問題なし。
・左chの残留ノイズが少し多い。
・入力感度が少し高く、8畳程度の部屋では少し使いずらい。
・波形
そこそこいい感じではないでしょうか。。(10kHzはちょっとリンギングあり)
100Hz
1kHz
10kHz
特性改善のページへジャンプ(HP製作中)