消化管手術時の胃管の管理について
目的
手術前、あるいは手術中に経鼻的に留置された胃管を術後開放することにより、消化液の胃内貯留を防止すると共に、
吻合部の減圧・安静をはかる。サイフォンの原理については、こちらのサイト又はこちらのサイトを参照して頂きたい。
管理の実際
1.胃管が留置されている間は、経時的に排液量・性状・色等を確認し、記録する。
2.胃切除術後の場合、看護婦による浣腸器での吸引は禁止である。
他の場合は医師の指示か許可があれば、浣腸器を使用し胃管の先端が消化管壁につかない程度に緩序に行う。
3.血性の排液が持続する時はバイタルサインと共に腹部症状や他の一般状態と共に医師に報告する。
(消化管出血の可能性があるため)
※術後の消化管出血は吻合部と断端閉鎖部から起こることが多い。排ガスがあった後も1日300ml以上の排液がある時は
吻合部狭窄か、大量の排液(腸液)がある時は術後イレウス等の合併症の場合もあるので、観察は重要である。
4.胃切除術の場合、抜去後に再挿入するときは吻合部に潰瘍・穿孔を起こす危険性があるので、
必ず医師により透視下で行われる。
5.胃管留置中は水分の出納に留意し、点滴や尿量とも合わせて「in-outのバランス」を計算し、
電解質など血液データーとも比較して適時脱水予防にも気を付けて観察する。
6.患者の体動等により自然抜去されることもあるので、適時固定の確認や挿入の長さを確認する。
7.可能な限り固定の位置変更をして鼻粘膜潰瘍の防止に努める。
抜去の時期
消化管の蠕動運動が再開され、排液量が減少したら抜去されることが多い。