合併症としての膝関節炎について



1.どうして関節液が貯留するのか
2.関節炎の原因と種類
3.化膿性関節炎について
4.自分の左膝に関する一考察など(H13.10.30版)



1.どうして関節液が貯留するのか
膝の水は、正式な名称を「関節液」という。
関節液は関節を包んでいる膜の中(関節腔)に入っており、関節軟骨に栄養を与えたり、関節のスムーズな動きのための
潤滑袖の役割をしている。正常でも関節内に1〜2cc程度の水(関節液)が入っているのは周知の通りである。
関節液の中に異物が紛れ込むと関節液を作る滑膜細胞はそれを排除しようと働くので、大きな異物であれば
滑膜にとりこんでしまうが、粉のように細かいものであれば関節液に含まれる酵素で溶かそうとする。
すなわち異物の量が多ければ、それだけたくさんの関節液が作り出されることになる。
また、そうなると自ら作り出した酵素にも刺激を受けて、滑膜はどんどん関節液を作り出す。
そうやってますます膝に水がたまっていくという悪循環を繰り返すことになるのである。

関節液穿刺の第1の目的は診断のためなのだが、関節液を調べると「炎症性(関節リウマチ、痛風、化膿性関節炎など)であるか」
「非炎症性(変形性膝関節症、外傷性)であるか」「血液がたまっているのか」が判断できる。
関節液は関節内部で何が起こっているのか知らせてくれる、大切な情報源となっているのである。

第2の目的は治療のためである。関節液が多量に貯留すると炎症性のときには大変な痛みを起こすし、
非炎症性の時でも重苦しい感じがするし、膝関節の動きも制限されることになる。

関節液は滑膜から分泌され、正常なら黄色味を帯びて透明、ヒアルロン酸を沢山含んでいるで粘調度があるというのは
正常な膝関節のところで述べたとおりである。
滑膜が炎症を起こした状態を滑膜炎または関節炎といい、関節液中の細胞が増加しますので液は混濁し、
ヒアルロン酸が分解されて粘度が低下し、糸を余りひかなくなり、この状態を炎症性の関節液という。
慢性関節リウマチ、痛風や偽痛風や化膿性関節炎では、炎症性の関節液が貯留する。

中高年に多い変形性膝関節症でもしばしば関節液が貯留し多いときには50cc以上にもなるが、
普通は非炎症性で透明か軽く混濁していて、粘度は高く糸をひく。
変形性膝関節症がときどき急に悪くなって、急性関節炎の症状を呈するときがあり、このようなときには
偽痛風が合併している可能性があるとのことである。
捻挫や骨折の治りぎわに関節液がたまることがあり、これを外傷性関節炎というが関節液は非炎症性である。
(整形外科診察室より引用・抜粋させて頂きました)

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2.関節炎の原因と種類
原因⇒細菌感染、免疫異常、変形など

種類は以下に記す通りである。
☆化膿性関節炎
黄色ブドウ球菌、連鎖球菌、肺炎球菌など細菌によって、関節内が化膿する疾患。体内のどこかで感染症を起こした細菌が
血流にのって関節内に流れ込むことで発病する。近くの骨の骨随炎の菌が原因となることもあり得る。
また、関節内部まで達するような深い傷を受けた場合も注意を要する。

☆結核性関節炎
肺結核になると、その原因となっている結核菌が血流にのって関節に流れ込み、結核性関節炎を引き起こすことがある。
関節が腫れて痛みますが、化膿性関節炎ほどではなく、患部の熱感もあまりないのが特徴である。
最近は結核菌にかかる人が少なくなったため、結核性関節炎の患者も少なくなってきたが、高齢者には時々見られるし、
糖尿病を合併している場合は治りにくいので注意が必要とされている。

☆慢性関節リウマチ
全身の関節に炎症が起こるもので、原因については、遺伝も関係しウイルス感染などが契機となって起こる免疫異常という説が
有効とされている。発病率は人口の約0.3%で、女性が男性の3〜4倍。20〜40代の女性に多く発症する。

☆変形性関節症
膝関節や股関節などの体重を支えている関節に痛みが出ることが多く、悪化すると動かす事が出来なくなることもある。
老化、肥満、激しい運動や、あるいは化膿性関節炎などほかのほかの関節疾患の後に起こる、
関節軟骨の変形が原因である。炎症性ではないので、厳密に言えば関節炎ではないが関節に痛みが出る点は同じである。
(疾患と予防、より引用・抜粋させて頂きました)

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3.化膿性関節炎について
【定義】 【病因・病態・発生機序】 【臨床症状】 【問診の進め方】 【診断と検査】 【保存的治療】 【観血的治療】
【経過・合併症】 【予後】 【患者指導】

定義
何らかの感染経路により、関節内に細菌感染が起こり、急性の関節炎を起こした状態。
放置すると関節軟骨の破壊が急速に進行し、重大な機能障害に至る危険性が極めて高い。
ここでは成人の急性化膿性関節炎について解説する。

病因・病態・発生機序
感染経路は、他の感染巣からの血行性感染、関節の開放性損傷後の外傷性感染★1、
手術後や関節内注射後に続発する医原性感染がある。高齢者を治療する機会の多い今日では、
ステロイド薬や関節軟骨保護薬であるヒアルロン酸などの関節内注入後に発症する例が増加している★2。

糖尿病、肝機能障害、腎機能障害、慢性関節リウマチ(rheumatoid arthritis;RA)などの基礎疾患をもつ患者や、
抗癌薬、ステロイド薬、免疫調整薬などの薬剤を長期服用している患者などいわゆる易感染性宿主
(immunocompromised host)では、医原性感染を起こす可能性が高い。起炎菌としては、黄色ブドウ球菌が最も多い1)。
易感染性宿主では、表皮ブドウ球菌、大腸菌、肺炎桿菌、真菌、嫌気性菌などの弱毒菌が起炎菌となることも少なくない。
近年はMRSA感染例も多くなっている★3。
発症部位は、関節注射をする機会の多い膝関節が最多であり、次いで股・肩・手・足・肘の関節に発症する。

臨床症状
典型例では、患部の違和感に始まり、続いて腫脹、発赤、熱感とともに疼痛が急速に増強する。
急性の滑膜炎と関節液の貯留による関節内圧の上昇で強い疼痛が起こり、患肢を動かすことができず、全身的には悪寒、
戦慄や高熱を呈することが多い★4。
関節内注射後の感染では、注射後数時間で発症する例は少なく、1〜2日遅れて症状が発現する。

問診の進め方
症状の発現様式の詳細を聴取する。関節注射の有無を確認し、注射の既往があれば症状発現までの時間を聞く。
易感染性につながる病態の有無を聞いておく。

診断と検査
まず局所所見と臨床経過から感染を疑うことから始まる。
次いで関節穿刺して関節液の性状を確認する。典型例では黄色膿様で混濁が強い。
弱毒菌感染では漿液性で混濁も軽度の場合がある。関節液の塗抹鏡検と培養を行い★5、
菌の同定や薬剤感受性を調べる。培養により細菌が検出されれば診断は確定する★6。
可能であれば関節液の白血球数や糖値を測定する★7。

血液検査では、白血球の増加と核の左方偏位、赤沈値の亢進、CRP(C反応性蛋白;C-reactive protein)の上昇を認める。
重症例では動脈血培養も行っておく。X線所見は初期には変化を認めないが、10日くらい過ぎると関節面の骨萎縮や
軟骨下骨の朦朧化が現れ、進行すると虫食い像や関節裂隙の狭小化が起こり、末期では骨破壊が著明となる。
MRIは関節内の腫脹や骨内の変化、周辺軟部組織の変化を、発症初期から的確に描出する★8。

鑑別すべき疾患と鑑別のポイント
RA、痛風、偽痛風、変形膝関節症、骨髄炎などとの鑑別が必要である。鑑別 の詳細は各項に譲る。

治療
関節機能の温存のために、迅速に治療を開始し、感染を鎮静する必要がある★9。

保存的治療
まず副子固定や牽引で局所を安静にし、局所クーリングを行う。
起炎菌が判明するまでは黄色ブドウ球菌を想定して、原則として第1世代のセフェム系抗生剤か
耐性ブドウ球菌用ペニシリンを点滴静注する5)。早期感染鎮静の観点から、広域スペクトラムの抗生剤を選択する場合もある。
起炎菌が同定されれば、有効な抗生剤に変更する。
関節穿刺により関節内圧を減少させて疼痛の緩和を図り、必要に応じて繰り返し穿刺を行う。
穿刺と同時に生理食塩水で洗浄し、抗生剤を注入することも有効である。
感染の鎮静が困難と判断されれば観血的治療を決断する★10。
 
観血的治療
関節鏡視下に壊死組織の除去や滑膜切除を行った後、関節内からの排液が清明化するまで洗浄を十分に行う。
2重セイラムチューブ1本(炎症が強く広範な場合は2本)を関節内に留置して、7〜14日間の閉鎖式持続洗浄療法を行う★11。
この方法は、膝、股、肩などすべての関節感染症に有効な手段である★12。

関節鏡視下手術で鎮静が得られない場合や、手術時すでに骨変化を起こしている例などでは、
関節切開にて広範に滑膜切除をしてから持続洗浄をする。
関節鏡視下手術のみ行う方法や、関節鏡視下手術後ドレーンだけを留置し、排液が治まるまで
ドレーンを毎日交換する方法も報告されている6,7)。
高気圧酸素療法8)は、生体の持つ自然修復能を促進する治療法で、術前や持続洗浄終了後に行うことは有効である★13。

経過、合併症
細菌培養が陰性化しても、局所所見や炎症所見をチェックしながら病勢を判断する。
抗生物質の点滴は、原則として赤沈値やCRPが正常化するまで継続し、再燃予防のため3か月程度の内服を続ける★14。
関節機能の維持の面からは、持続洗浄中から持続的他動運動(continuous passive movement;CPM)
を開始し、洗浄終了後も関節可動域改善訓練や筋力の維持・増強訓練などを積極的に行う★15。

予後
早期に治療を開始した場合の予後は、変形も残さず機能的にも良好である。
慢性化すれば関節軟骨が破壊されて変形し、疼痛や機能障害が残存する。感染が鎮静しない場合は関節固定が検討される。

患者指導
持続洗浄中はベット上での安静を余儀なくされるので、病気の重大さと治療の必要性を充分に説明して協力を得るようにする。
感染鎮静後も徐々に関節変形が進行する例があり、変形の可能性が解消されるまでは定期的にX線チェックを受けるよう指導する。
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★1外傷後の発症例は、初期治療での感染防止対策の浸透や抗生剤の投与などにより、大幅に減少している。
★2近年の成人関節炎の80%は医原性とされ、注射器や関節注入部位 の消毒、注射器への薬剤の吸入などに十分な注意を払って
  無菌的に操作する必要がある。

★3近年では、整形外科領域出検出された黄色ブドウ球菌のうち80%近くがMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌;
  methicillin-resistant Staphylococcus aureus)と報告されている。

★4弱毒菌感染では、強い炎症所見を示さず初期治療に遅れを生じる場合があり注意を要する。
★5塗抹はグラム染色を行い、培養では嫌気性菌も検索しておく。
★6培養の陽性率は70%程度との報告もあり2)、培養が陰性であっても必ずしも感染を否定できないので総合的に診断する必要がある。
 陰性の場合は、病理組織検査で好中球の著明な浸潤や微小膿瘍(microabscess)が証明されれば診断は確定する。

★7白血球数は5万以上、糖値が40mg/dL以下であれば感染の可能性が高いと報告されている3)。
★8深部感染である化膿性股関節炎では、初期変化を他覚的に捕らえにくいので、特にMRIが有効である。
★9実験的には、感染3日後には関節軟骨中間層の基質が粗になりコラーゲンが露出した状態が電顕でとらえられている4)。
★10関節軟骨の保護の観点から、保存的治療 に固執すべきではなく、2〜3日の保存的治療で改善のない場合は
  ためらうことなく観血的治療に踏み切ることが必要である。

★11洗浄液は、1,000mLの生理食塩水に感受性のある抗生物質を混入したものと、10%ポピドンヨード液10mLを混入したものを用い、
  1日3,000mL(抗生物質混入2,000mL、10%ポピドンヨード10mL混入1,000ml)使用している。

★12洗浄チューブの抜去は、洗浄液の培養が3日間陰性であることを基本とし、局所の状態や洗浄液が清明であることを確認して行う。
  2〜3日は抜去孔にドレーンを留置し、その後は消毒のみで自然閉鎖する。

★13高気圧酸素療法が有効な根拠として、白血球の殺菌能の増強、抗生剤の殺菌作用の増強、細菌の発育抑制作用、
  低酸素組織の修復と血管新生作用などがあげられる9)。

★14炎症反応が正常化しても、局所の腫脹や熱感はしばらく持続する場合が多い。
  これは感染後滑膜炎(postinfectious synovitis)と呼ばれ、細菌のデブリスや細胞壁の蛋白に対する宿主側の免疫反応とされている。

★15荷重時期は症例により異なるが、術後4週で50%、8週で全荷重を目安にしている

(「看護のための医学講座」より抜粋させて頂きました)

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4.自分の左膝に関する一考察など(H13.10.30版)
抜釘時の関節鏡が原因でH12.10.23に発症した「左化膿性膝関節炎」だが、元々は平成10年に同様の症状
(開業医での関節穿刺が原因?)で1回目の手術(H10.11.11施行の滑膜切除術)を受けていた。
それが一旦は治っていたので、当時の担当医でもあったO医師が新たに靱帯再建(H11.6.18)の決行を決断した。
私はそれに同意したのだ。つまり靱帯再建の時は感染していなかったのである。

この時の担当医・O医師には「感染が少しでもあれば(靱帯が切れてても死なないので)OPはしない」と言われており、
確かにその通りだと思ったものだ。靱帯再建をして左膝関節内を目一杯いじっても何ともなかったし、
その後の10ヶ月間にも及んだBED待ちの期間も何ともなかった。定期的に受診していたので、
これはカルテにも書かれてあるだろう。要するにH10.11.11以降は手術しようが外来で経過観察中であろうが
感染はしていなかったのだ
お分かり頂けただろうか。

ところが抜釘(H12.9.14)の後H12.10.23に再発してしまったのだが、これは当時の担当医・Y澤医師の
「抜釘の時の関節鏡が原因でしょう」という言葉が音声で証拠に残っているし、すんなりと靱帯再建同様に労災認定された。

文献的には感染症というのに分類されるが、私の左膝から採取された関節液からはただの1度も細菌が検出されたことはない。
これは平成10年以降、何回も何回も何回も・・・関節液培養に提出しているが検査伝票を見せてもらい、
自分の目で確認しているので間違いない。この事をH13.6.9まで治療を受けていた病院のDrに質問してみたら、
そのような感染症もあるとのことで、膝関節内にあるのは関節液だけではないので奥の細かい組織
(例えば滑膜)に感染していると関節液からは検出されない・・・という答えが返ってきていた。

このホームページの「3回目の感染編」にも書いたが、6/9まで入院していた病院は移転を控えており、
縮小から閉鎖へと向けて職員だけでなく患者も遠ざけているような感じで動いているし、
地元の評判はここ数年ですこぶる悪くなっている。
元々、この病院の医師から提示された治療方針自体には納得していたのだが、
有識者に相談したらこの先長期戦になることを考えた場合、転院が妥当な線だというアドバイスを頂いた。

H13.7.25から入院することになってしまった大学病院の初診は6.19だった。
これは「ナースのおばちゃん的苦渋の選択・大学病院への道」に記載してある通りである。
私自身は「早く手術でも何でもして職場復帰したい」という思いが強く、教授さんの「色々と(手術等を)やりすぎているし、
今は時期でない」という言葉になかなか同意出来なかったのだが、採血と関節液培養、そしてレントゲン以外の検査を
それまでの病院では設備がないという理由で施行してなかったので、まずはそちらを受けることにしたのだ。

H13.7月上旬に行った「左膝MRI」と「骨シンチ」であるが、その後に入院することになってから施行した結果も
同様のものであった。
MRI →ACL後に抜釘した跡のみ。関節液等の貯留は認められない。
骨シンチ→左膝付近のみに集積像あり(これは私にも認識出来るものだった)。

また採血結果も各々の入院編を見て頂ければ細かく記載してあるので解るかと思うのだが、
感染症とは言ってもWBC(白血球数)の著明な上昇は1度もないし、CRPだけしか上昇しないのである。
これは3年前から何回も繰り返してきたことなので、何も大学病院に受診し始めてからということではないし、
関節液からはただの1度も細菌が検出されたことがないのも同様であった。

そして大学病院の退院10日くらい前になって労働基準監督署に提出する書類の診断名が、それまでの「左化膿性膝関節炎」
から「左膝関節炎」に変更されていたことに気付いた。今まで受けていた治療は一体なんだったのかと一瞬は思ったのだが、
その段階で言っても「今さら・・・」という感じで流されるのは解っていたし、この際診断名がどうのこうのというよりも
「感染症でなく、炎症性の疾患ということがハッキリした」という風に頭を切り換えようとしたら意外と簡単に出来た。
しかし、同時に「今後、また左膝がソフトボール状態になったらどうするんだろう?
あと何十回同じことを繰り返しても、関節液培養で細菌が出ない限りは“安静と鎮痛剤の投与だけ”なのだろうか?」
という疑問が生じるのは当然のことである。
それを大学病院の担当医達に持ちかけてみたが、
彼らは教授の判断でしか動けない人種なので聞いた私がアホだった。

再発したらした時に考えるようにしようと思った。
教授さんの考えていることが今ひとつ伝わってこないし、こんな軽症は他の病院で・・・と
思っているのかもしれないし、もっと深い考えがあるのかもしれない。
いずれにしても、あの大学病院にかかり始めてまだ数ヶ月間しか経過してないので、
最初に考えたとおり「少なくとも半年間」はかかってみようかと思っている。

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