20話 強制家宅捜索
ポワン。
チエのワープアウトは、どこかの部屋。
見た感じ、女子の部屋らしい。
明るいピンクのカーテン。
ベットにはカエルの抱き枕。
「えっと...どこかな??」
チエはタンスを物色。
けど探し物は見つからない様子。
「うーん。どこかに隠してるのかな...」
チエは、異空間から適当な男子を見繕って引っ張り出す。
泡が弾けるようにして、2人のフード男子が出現。
通称タンスボーイズ。
その男子にチエは命令。
「レッドちゃんのコスチュームを探して。」
なんと、ここはジャスティスレッドの部屋らしい。
「たぶん隠してると思うから、イロイロ探してね。」
「は、はいっ!チエちゃんっ!!」
異空間では時間が経過しない。
彼らは1年前に保存された男子だったが、彼ら自身にとっては昨日のこと。
チエちゃんの命令に嬉しそうにニコついている。
「キョホッ。キャハ」
タンスボーイズは、一致団結して机をひっくり返したり、部屋をメチャメチャにしながら捜索。
女子のプライバシーなんてお構いなし。
遠慮なく机を開けては、中身をほじくり返した。
その間、チエちゃんはジャスティスレッドのベットの上。

寝転がって、アレコレ男子達に指示。
転がったチエはスカート故に、フトモモがチラチラ。
けれど男子は必死に捜索に専念。
見えちゃうときはしょうがないけど、ジロジロ見るなんて絶対ダメ。
そんなことしたら、チエちゃんに嫌われちゃう。
タンスボーイにとって一番ツラいのは、チエちゃんに嫌われることなのだ。
捜査開始から10分。
男子の一人が声を上げた。
「チェちゃん!見つかったっす!!!」
「うん?どこ?」
「ここっす!こんなとこに隠してたっす!!」
なんとベットの下に、手造りの隠し物入れ。
レッドはそこにコスチュームを隠していたのだった。
「すごい。こんなふうな隠し方があるんだね。」
「よっぽど、正体を隠しておきたかったんすね!」
「えっと、コレが上着?」
「はい。こっちがズボンっす!」
「コレは?これなんだろ...?」
「なんすかね??下着???」
「随分小さいみたいだけど...ゴムみたく伸びるね...」
「わ、わかんないっす...」
「ま、いっか。持ってこ。」
チエちゃんはニッコリ。そして、
「あと、パンツとかあった?」
「はい、下着関係はこっちの普通の引き出しに入ってたっす。」
「わっ。たくさん持ってるんだぁ...チエより多いかも...」
チエちゃんのパンツ....
「も、もひっ....」
男子はモーロー。
「3組ぐらいでいいよね...」
「はふっ...チ、チエちゃんが、パンツもってる...」
「え?」
「ほ、ほひっ??」
「どうしたの?男子くん?」
「はふっ、はふっ。」
パンツを持って振りかえるチエちゃんに、男子はもうイッパイイッパイ。
「チ、チ、チエちゃん...」
「うん?」
「パ、パ、パンツ...」
「え?」
「あ、あの...」
「?...男子くん...?」
チエは、これ以上無いぐらいセツナそうな顔で男子を見つめて、
「もしかして...レッドちゃんのパンツ...?ほしいの??」
「ち、ち、ちがうっす!!!」
男子は慌てて否定。
男子の興味はチエちゃんだけなのだ。
チエが、パンツ持ってる姿に、コーフンしてしまったのだ。
けど、そんなこと言えるはずない。
男子はテキトーに誤魔化した。
「に、に...似合うっすっ...!!」
「え?」
チエは、手に持ったレッドのパンツをみつめて、
「似合うって、チエに?」
「はふっ」
本当は別のことが言いたかった様子だけど、コクリ頷いた。
「に、似合うっすっ!!」
「そう?けど、チエには少し大きいみたい...」
「ひっ!」
「チエは胸もペタンだから...ブラジャーもダメみたいだよ...」
「ひょ、ぴょ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
男子の一人は、ここで昇天。
もう一人も完全にハフハフ。
けど少し距離が離れてたおかげか、何とか持ちこたえて必死に話題を変える。
「チ、チ、チエちゃん。こ、こんなのもあったんすけどっ...!!」
「え?なに?」
「こ、こ、これっす...」
男子は、見つけたアイテムをチエちゃんに差し出してみせる。
すると、
「えっ?」
ちょっと驚くチエちゃん。
そして言う。
「レッドちゃんって...こんなの使ってるんだ...」
「コ、コレなんでっすか??」
「これ?」
チエちゃん、クスり笑って、
「男子くんは知らなくていいの♪」
「も、もひっ...?」
「これはチエが預かっておきますっ♪」
言って、男子の手からレッドのアイテムを摘みあげた。
「正義の女の子なのに、こんなのにお世話になってるんだぁ...チエびっくり。」
チエの笑顔に、ピーしてた男子も覚醒。
大喜び。
チエちゃんの役に立てた。
それだけで、心が幸せでいっぱい。
そんな男子にチエは、最上級の笑顔で一言。
「はい。みんなご苦労様でしたっ♪。」
その瞬間、男子はモヒり顔のまま消えた。
チエちゃんの異空間タンスに再び保存されてしまったのだ。
今度表の世界に出られるのは運が良くても1年後ぐらい...
場合によっては、忘れられてしまうことも...
アワレ。
けど幸せなのだから、良いのかも。
ポワン。
「はい。お待たせ」
「お、お帰りなさいっ!チエちゃんっ♪」
「どう?なにか変わったことあった??」
「ぜんぜんっす。右往左往して、目を白黒させてるだけっす。」
「よかった♪それじゃ、この戦闘服をレッドちゃんに届けてあげて。」
「は、はいっ。」
「届けるのは女子がイイかな。だって男子じゃレッドちゃんも恥ずかしいと思うの。」
「はいっ。ちょうど、地上班の緑タポがいるっす。」
言って、無線電話を手に取る男子。
「もしもし。サナギ?監視室に来て。」
ガチャ。
「すぐ来るっす。」
ガチャ。
来た。
凄いレスポンス。
「サナギっす。お呼びでっすか??」
「この戦闘服をジャスティスレッドのところに届けて。」
「了解でっす。」
タポはレッドのコスチュームを受け取ると、早足で部屋を出て行った。
「チ、チエちゃん。楽しみっすねっ??」
「うん。」
タポは駆け足で階段を下りていく。
強化人間はエレベータが禁止なのだ。
地上13階から地下12階まで駆け足。
けど安心。
タポは体力あるから。
「たぽっ、たぽっ、たぽっ。」
掛け声かけて、えっさほいさ。
息切れ一つしないで目的の地下室倉庫に到着した。
一方ジャスティスレッドは、相変わらず目を白黒させていた。
そしてビクついていた。
もし、お漏らししていなければ、堂々としていられたに違いない。
閉じ込められたことが怖いわけではないから。
怖いのはお漏らしがバレること。
もしくは、すでにお漏らしの現実を知られてしまっていること。
いつ、お漏らししたか分からないジャスティスレッドにとっては生きた心地がしないのだ。
「も、もし戦闘中に漏らしてたら....」
当然タポエフにも...
そして、この部屋に運搬した人間にも知られていることになる。
逆に、ここに運ばれてからのお漏らしなら、誰にも気づかれていないかもしれない。
わからない。どちらなのか。
ジャスティスレッドは、いくら考えても分からないことを、繰り返し、繰り返し考えていた。
そこに、
ヒタ、ヒタ。
足音。
ジャスティスレッドは飛び上がった。
「だ、誰か来た???」
キョロつくレッド。
あたりは広くて暗い。
足音が響き、どこから音がするのか分からない。
ヒタ、ヒタ。
「す、素足の音??素足って??なぜ??」
無論タポだからだが、レッドは幻想が膨らんでいる。
恐ろしいものを想像してるのかもしれない。
思わず声を上げる。
「だ、誰???誰なのっ???」
「すごく怯えてるみたい...レッドちゃんのこんな顔、初めてみたよ...」
ズームカメラが捉えた、ジャスティスレッドの顔。
それが、画面いっぱいに映し出されている。
超高精度カメラだから、毛穴までハッキリ見えちゃってる。
「キョホッ。みっともない顔っ♪。」
「男子くんは少し黙って。チエ、レッドちゃんの様子を観察してるんだから。」
「も、もひっ...」
しょげる男子。
「だ、誰???」
スピーカーからレッドの声。
「だ、誰??誰なの???答えなさいっ!!」
「すごい...レッドちゃん、本当に怖がってる。唇が震えちゃってるよ...」
「誰??どこっ??」
必死にキョロつくレッド。
「レッドちゃんでも、こんな顔するんだ...チエ、せつないよ...」