= 日 和 =


小さな島をのんびり、ゆったりと水牛がゆく。

 ガイドは居るものの、ほうっておいても
 ちゃんと終点へと案内してくれる。

 どこか近くから微かに聴こえる「三味線(さんしん)」の
 音色を辿ると、すぐ裏手の「水牛車」に一人座る
 男がいた。
 「こんにちわ」と挨拶を交わして乗り込こんだ。

 彼は隣の島の「タクシー」を降り、一週間前から
 こちらで働くことになったらしい。

 「古典は弾けるけど、最近の歌は他の若い人のように
 上手く弾けなくってねぇ」と、白い歯を覗かせて
 照れたように笑った。

 「水牛車」はゆっくりゆっくり進み、曲がり・・・
 石垣を渡る風に、心地よい島歌が流れ・・・
 ページをめくる様に、歴史が紐解かれていきます。

 

石垣島にて

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