= 春 山 =


五月の半ばを過ぎても
まだ山陰にはかなりの雪が残ってる
下界は新緑が眩しくなる頃
ようやく登山道への道が通れるようになる

行止まりの車道に何台かのスペースがあって
やや遠慮がちに車を止めた

30分ほど歩くと
登山道は雪に埋もれ始める

途中まったく道が見えないまま
記憶をたどって這うように稜線にあがると
そこには残雪をまとった白山が
手の届くほどに迫って見える

この時期、ここを訪れる人はまだ少ない
笹を揺らす風はまだ冷たく
何かを確認するかのように
「ふぅ〜〜」っと一息ついた

 


赤兎山(福井)

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