疾患の説明と治療 (あいうえお順)


アトピー性皮膚炎

 皮膚にあらわれるアレルギー性の慢性炎症の総称で、乳児から成人まで広く見られますが、こと乳児期
には多くの方が罹ります。 乳児期に多い原因は食物アレルギーで、日本では特にその中でも鶏卵に反応
を示す乳児が多いようです。直接原因食品を摂取しなくとも、母乳に含まれる微量 の成分で感作
される事も多い様です。2歳過ぎると、食物アレルギーが原因である事が減り、代わってダニなど、喘息
と共有の抗原が問題となります。体内への侵入ルートも経口(食物性)から接触性へと変化して来ます。
その間に軽快する児と悪化する児が見られます。重症例では難治性で、ステロイドの使用も余儀無くされる
ケースもみられます。

咽頭結膜熱(アデノウイルス感染症 別 名:プール熱)

 咽にアデノウイルスがつくと,扁桃腺が腫れたり,白苔がついたり,咽頭痛,高熱,眼球充血,目やに
などが現われるのが特徴で,別名「プール熱」ともいわれ,その熱は39℃が4-5日続きます.
(プールに入らなくてもかかりますので,プール熱なる名前は誤解を招きやすいと思われます)
 この疾患も迅速キットがあり,溶連菌同様の方法で診断できますが,溶連菌と異なり抗生剤が無効で,
インフルエンザのような特効薬もありません.けっこう重症ですが,治り出すとスッキリ治ります.
 本疾患も学校伝染病指定ですので,治癒証明が必要です.潜伏期は1週間くらいです. 

RSウイルス感染症  「急性細気管支炎」 の項参照

インフルエンザ

  毎年冬になると決まってニュースを騒がせるのがインフルエンザです.別 名「流行性感冒」といって,
大人も子供もそろって罹るから大流行を巻き起こすのです.小中学生が罹患の中心と思ってみえる方
が多いかもしれませんが,数でいうと1歳〜5歳の幼児が最も罹患率が高いんです.1歳〜5歳は後で
述べるインフルエンザ脳症が起きやすい時期でもあり,重要です.また頻度は多くないですが,お年寄り
に罹ると免疫力を低下させ,二次性肺炎をおこし不幸な転帰をとることもあります.

 最近インフルエンザ迅速キットなるものが出回り(あたかも医者要らずのように)それで診断できる
時代になりましたが,熱の出た当日では陰性を示すことも多く,検査の「お鼻つんつん」が子供達に
不評で小児科嫌いを作りそうなのが欠点です.
 また検査試薬と並んで,インフルエンザ特効薬も出そろい,「きちっと診断-きちっと治療」がイン
フルエンザ治療のキャッチフレーズになりつつあります.治療薬には4種類あります.タミフル(内服)と
リレンザ(吸入)、それと新薬イナビル(吸入)とラピアクタ(点滴)
です.新薬は2つともに1回の
治療で終了となる優れものです。 これらは A型・B型どちらにも有効ですが、最近タミフル耐性株が問題に
なっています。またタミフルは飛び出し事故など突発行動や、幻視幻聴・情動異常等の原因としても
問題になっており(現段階では白の判断)、10歳〜20歳での使用が制限されているため、その年代での
治療はリレンザまたはイナビルが中心的役割を担っています。
 もちろん自身にも治す力がありますので,1週間もすれば自然に軽快・ 解熱しますが,それ以上の
長期にわたる場合は,肺炎など細菌による二次感染を考えるべきです.
 ひと冬に A型とB型の両方のインフルエンザに罹患するケースもありますので,「済んだ」と思って
安心するのは危険です.昨年も数人の子供さんが両方の型に罹患してみえています.

もちろん,学校指定の伝染病ですので,しっかり治してから(解熱後48時間以上経過していること)
学校に行きましょう.解熱後すぐでは,まだのどにウイルスが存在します.うつされない対策ばかり
でなく、人にうつさないエチケットにも配慮して下さい。

インフルエンザ脳症と解熱剤について

 昨年はインフルエンザが流行し,それによる小児の脳症も多発しています. すでに新聞やTV等で
ご承知の様に 今シーズンだけですでに(H16.2月時点)30余名の方がインフルエンザ脳症に罹りました.
脳症はインフルエンザ感染に加え, 特定の 解熱剤(具体的には商品名ボルタレン・ポンタール ・
アスピリン・ バッファリンなど)を使用した幼少児に(大人はなりません)多いと言われています.
  多いといっても何十万〜何百万人のうちの一人が罹るのですから,確率が高い病気ではありませんが,
その半数が亡くなり,生存しても後遺症を残す怖い病気です.解熱剤を使わない子供からも発生しており,
解熱剤ばかりが悪役という訳ではありませんが, 我々小児科医は小児への(インフルエンザ流行期の)
発熱に対する解熱剤の使用に際し,特に配慮しております.インフルエンザの熱に対して最も安全性が高い
といわれている「アセトアミノフェン」(商品名:アンヒバ座薬・アルピニ座薬・ピリナジン散・
カロナールシロップ/錠など)をこの時期のお子様に対する解熱剤として処方していますので,御了解
いただければと思います. 

ウイルス性胃腸炎 → 「流行性嘔吐下痢症」の項参照 

おたふく風邪(流行性耳下腺炎)

 耳下腺および顎下腺 (がっかせん)が腫れる病気で,その腫れた風貌から「おたふく」と言われています.
ムンプスウイルスが原因で発生し,うつってから発病まで2-3週間かかります.合併症に,無菌性髄膜炎・
膵臓炎・成人では睾丸炎(精巣炎)・卵巣炎・難聴などがみられ,ことに小児では無菌性髄膜炎の頻度が
高いです.2歳未満は比較的罹りにくく,罹っても無症状に経過する人もいるようです .ワクチン(有料)が
ありますので,男女問わずにうっておいたほうがいいかと思います.
兄弟がかかってからのワクチン接種は予防できないと言われていますので,ご注意を.

花粉症

 日本の花粉で最も有名なのは杉花粉です.杉花粉の飛散は先週(2月末)より増加し,4月上旬
まで続きます.ピークは3月上旬です. ただし杉花粉症の方はヒノキの花粉にも交叉免疫があるといわれ
ヒノキ花粉はGW(5月上旬)まで続くといわれていますので,長期の投薬が必要です.
 最も症状として,アレルギー性鼻炎&結膜炎(鼻水・くしゃみ・鼻閉・目の痒み・充血)が主ですが,
人によっては,咳(喘息発作)を誘発したり,顔に湿疹が出現する人もいます.今や日本人の2人に1人
は花粉症で,国民病といわれるまでに増加しましたが,それは明治以後の国策としての杉・ヒノキの植樹
が問題で,適齢期(?)を迎えた杉たちが多くの花粉をたくさん飛ばしているからです.
マスクもめがねもいいですが,お金に余裕の有る方は,いっそ国外脱出を企てるといいかも・・・

川崎病 

 原因不明の全身の血管炎(正確には動脈炎)で、溶連菌を初めとする多種の感染症が引き金となって
発症する疾患です。生後6ヶ月〜5歳に多く見られ、高熱で始まり、眼球充血(目脂でなく白目が赤くなる)、
口唇発赤&出血、苺舌、頸部リンパ腺の腫大&疼痛、体幹の不定形発疹、手足の発赤&浮腫、2歳未満では
BCG部位の発赤もよく見られます。抗生剤を飲んでも解熱しにくく、不機嫌度が強く、血液検査では
白血球やCRP、血沈などの炎症反応が強く、肝酵素の上昇も
よく見られます。問題は合併症で、その中
でも、心臓の筋肉に栄養を送る冠動脈における炎症・動脈瘤ひいては狭心症や心筋梗塞などが数%に発生
することが問題で、その予防のために、アスピリンの内服や、γグロブリンの点滴などを行います。
 冠動脈に形態的な変化がないかを心エコー検査でフォローしていくことが重要となります。

 

カンピロバクター(キャンピロバクター)腸炎 

 細菌性腸炎のひとつで「カンピロバクター菌」という菌が口から入って感染します.一部の人のお腹の中で
増殖し,症状(下痢・発熱・嘔吐・血便)がでます.火が完全に通っていない鶏肉などが原因で,集団食中毒の
原因にもなりますが,この病気の原因がイコール食中毒ということではありません.ホスミシンなどいくつか
の抗生剤が有効です.一般に合併症は少なく,重症に至ることは少ないですが,中には入院を要するケースも
あります.しっかり火を通した食品をたべることだけでなく,生肉等を切った後の包丁やまな板を介して感染
することもありますので,調理具の洗浄などにも気を配って下さい.
 
カンピロバクター菌細菌性腸炎で最も多く見られるものですが,その他の細菌性腸炎には,サルモネラ菌
や病原性大腸菌など,より重い病気の場合もあります.いずれも夏季に多くみられます.

季節を問わず,腹痛の強い場合,および血便の際は早期の来院をお考え下さい.
 

気管支喘息発作

 気管支喘息発作は秋(9月中旬〜11月中旬)に最も多く見られますが,次いで春先にも多いです.
気温や気圧の変化が目まぐるしく変化している時期には発作が出やすい状態になります.
起きやすいシーズンには気を引き締めて,薬の飲み忘れなどないようにして下さい.

 喘息に関しては,今後別項目を作ってご説明する予定です.お待ち下さい. 

急性細気管支炎(RSウイルス感染症、毛細気管支炎)  

 この疾患はあまり有名でないかもしれませんが,「RSウイルス」という聞き慣れないウイルスが
原因でおこる疾患で,毎年冬に流行し,乳児や低年齢の児の気道に強いダメージを与え,
呼吸困難や咳,喘鳴などをきたす怖い病気です.大人にも罹るのですが,鼻風邪レベルで軽く
済むため,軽んじられている傾向にあります.しかし,この病気は,特に未熟児で出生した児などに
かかると重症化することが多いので,危険の高い子供たちには1人あたり何十万円もかけて予防策
(シナジス:RSVの抗体の注射) がとられている程です.
1歳未満の児が冬場、急にゼイゼイしてきたら,喘息と考えず,この疾患を考えてまず一度小児科医の
診察を受けて下さい.潜伏期は3-5日前後で、高熱も数日間出るケースが多いようです。インフルエンザの診断
キット同様の鼻腔からの迅速キットで診断がつきますが、インフルエンザと異なり、このウイルスに対する
特定の治療薬も予防のためのワクチンも存在しません。11月から3月までの冬季に保育園等で大流行を
きたすので、小さい子の居る家庭では冬場に警戒すべき最重要疾患(インフルエンザよりも)の1つです。
またこの疾患は大量の分泌物をきたすために、それを土壌にいろいろな細菌感染症を併発しやすく、
かなりの頻度で、細菌性中耳炎や細菌性肺炎〜気管支炎を合併しますので、罹患後半に治りが悪い場合には、
それらの感染のチェックも必要となります。また6ヶ月未満の赤ちゃんに罹りますと、ゼコゼコする
のみならず、無呼吸発作(呼吸を止めてしまう発作)を起こしてしまう事もありますので、怖いです。
中耳炎の合併症も多く見られます。メタニューモウイルスはこのウイルスの親戚 です。

またこの病気は、咳が多いにも関わらず、主たる感染は接触感染です.すなわち「手」によって伝搬します
ので,手洗いがとても重要です. 上の子が罹って、下の子が居る場合に、保護者はその点にご注意して
乳児のケアをお願いします。

水痘(水ぼうそう)

  水痘は1年中ぱらぱらと流行しています.最初に1つ2つできてきた時には虫さされかなと見まがう
ような発疹から始まり,その後体中に散在します.中央に水疱が出現したら診断は簡単です.熱が出る
ことも出ないこともあります.だんだん痂皮化して治癒に向かい,1週間くらいで終結します.
ヘルペスウイルス属なので,抗ヘルペス薬(ゾビラックスなど)が有効ですが,ワクチンもありますので
(有料;他のワクチンより少し割高ですが)ご利用いただくことが一番かと思われます.家族内感染を
防ぐ方法(2週間の潜伏期の間に抗ヘルペス薬を予防投薬する)もありますので,どーしても
うつって貰いたくない方がみえる場合には, ご相談下さい
この疾患も学校伝染病指定なので,罹ったら1週間は公欠になります. 

手足口病(てあしくち病) 

 夏風邪ウイルス(コクサッキーウイルス)により発症します.37-38℃の微熱と文字通 り手掌と足底と
口腔内に小水疱疹ができ,口内炎は痛みで食べられなくなることもあります.足は足底以外に膝頭やお尻
にも発疹ができます.基本的には軽い病気ですので,様子をみていてけっこうです.咳や下痢や高熱も
あまりありませんが,時に無菌性髄膜炎を合併しますと高熱・嘔吐・強い頭痛を引き起こします.
学校伝染病指定にはなっておらず,症状が軽ければ登校OKです.ワクチンも特効薬もありません.
ウイルスの型が1種類に特定されていないので,一生に何回かかかる可能性があります.
古典的手足口病はコクサッキーA16(Cox.A16)エンテロウイルス71型(EV.71)によっておき、
これらの手足口病では、髄膜炎にならなければ熱もさほど高くなりませんが、近年Cox.A10または
Cox.A6による 新型手足口病が流行しています。これらのウイルスは本来ヘルハ ゚ンギーナを発症するウイルスで
手足口病のウイルスと親戚であるために、同一個体で感染した際に遺伝子が交雑して融合した症状を
持つ新種の病気が生まれたと考えられます。これらの症状は、高熱(39℃x2日程度)と咽頭に
ヘルパンギーナを生じ、その代わりに口腔内症状に乏しく、手掌足底に限らず四肢の広い範囲、場合によっては
体幹に及ぶ大きな水疱を持つ発疹が多発し、水痘と見誤るケースもあるほどです。また感染1ヶ月後より
半分近い方に爪の変形・脱落を生じる(その後改善)ことも特筆すべき症状です。

伝染性紅斑(りんご病)

 リンゴ病はほっぺが真っ赤になることからその名がついていますが,ほっぺが赤くなって2-3日後に
手足にレース様の発疹をきたします. 最近、見ると典型的なレース状紅斑を呈す例は従来より減少し、
ただの融合性の紅斑を示すことが多いように思います。 咳や下痢などは生じません.熱は発疹がでる
1週間前に出ることがあります.発疹がでたらそこから先は感染力がありませんので,診断がついた頃には
すでにうつらない(またはうつし終わった)ということです.妊婦さんがこの病気にかかると赤ちゃんが
重症貧血となって,ときに流産に至ることがあるという事は案外知られていません.もし、妊婦さんが
この病気になったら,産婦人科に健診に行きましょう.子供でも,まれに強い貧血が現れることがあり
ますが,そのまま軽快治癒していきます.
この発疹は光線過敏症を引き起こすので、紅斑出現以降2週間
くらい強い日差しの中に長く居ない方がいいでしょう
ワクチンはありません.診断時に感染力がないため
学校伝染病からもはずされています.一度罹ると,二度と罹らないと考えられています.

突発性発疹症 

 乳児が一番先に高熱が出る病気の代表として知られています。実際6ヶ月から1歳半くらいの間に
ほとんどの児が罹るといっても過言ではありません。「ヒトヘルペス6型」というウイルスが原因で
ある事がここ20年くらい前にわかったばかりです。この疾患は、39℃の熱が3日くらい持続した後
急に解熱、その後半日くらいして胸からお腹を中心に比較的大きめの紅斑が出現する病気で、咳鼻水
などの気道症状に乏しく、下痢を伴う事が多い特徴が有ります。熱の割に比較的機嫌がいいことも
よく言われている事です。重症化は少なく、季節性もあまりなく、大流行する事もありません。
ワクチンは有りません。 「ヒトヘルペス7型」という類似の症状を示す親戚のウイルスも存在します
ので、007では有りませんが、「2度罹ったよ」という事態もありえます。

とびひ(伝染性膿痂疹)

 とびひは黄色ブドウ球菌という菌が皮膚に増えて発症する病気です.黄色ブドウ球菌は鼻腔
などに常在する菌ですが,これが(虫さされなどで傷ついた)皮膚で悪さをはじめると,
大小の浅い皮膚びらんができます.これはこの菌の(皮膚)剥離毒素によるものです.
菌ですので,一般に抗生剤が有効ですが,この菌は抗生剤に効きにくいことが多く
(MRSAとよく呼ばれるものです), 薬の選択を誤ると難治性になることもあります.
アトピーの児など,皮膚の弱い子は特に要注意です. 急速に広がるびらん状の皮膚疾患を
みたら、小児科か皮膚科で抗生剤などの内服および軟膏の処方を受けましょう。
また小さい子にうつるとより重症化しますので、気をつけて下さい。
入浴はシャワーのみにしていただき、公共のプールへの参加は避けて下さい。 

夏風邪

 手足口病,ヘルパンギーナなどのエンテロウイルス群(エンテロウイルス,コクサッキーウイルス,
エコーウイルスなど)と プール熱などのアデノウイルスを含めたウイルス感染症の総称的俗名です.

一般に高熱を主訴とすることが多く,咳鼻水などの呼吸器症状は少ない特徴があります.
必ずしも夏季に罹るとはかぎりませんが、冬に罹っても手足口病はやっぱり夏風邪です。 

乳児冬季下痢症 (「流行性嘔吐下痢症」の項も参照)

 「流行性嘔吐下痢症」の1疾患で、毎年3月にピークとなるのがこの病気です。
ロタウイルス感染が原因で発症します。
この疾患は「乳児冬季下痢症」「乳児白色便性下痢症」「仮性コレラ」ともいわれる病気で、
それらの名前から総合して解るように乳児が冬季に罹る病気で、便の色は白色になる事が多く、
コレラの様に水様頻回の下痢を伴う病気です。嘔吐が先に出現し,その後下痢が続きますが、
嘔吐の回数も下痢の回数も1日10回を超えて来ますとさすがに自宅管理は難しく、脱水を治療する
目的で、点滴を要することがしばしば見られます。ロタウイルスは 一度かかったら二度目は
かからない病気で,ほとんど小さい子に限った病気ですが, まれに年長児や成人が罹ることも
ございます.近頃はそういうケースも増えているように思われます.H23.11からワクチンが
できましたが、使用可能なのは生後6ヶ月未満の乳児のみです(有料)。

ノロウイルス感染 → 「流行性嘔吐下痢症」の項参照

ヒトメタニューモウイルス感染症  

 この疾患はほとんど有名でないかもしれませんが,比較的最近発見され、専門家の間でもまだ
あまり認知されていない新座もののウイルスです。 RSウイルスの親戚で、RSウイルス感染の
年長児版というような症状です。高熱(3-5日)・咳・鼻水・ゼイゼイなどで、1-5歳に多く、
再感染も有るようです。潜伏期は5日くらいで、RSとちがいは6ヶ月未満の感染は少ないようです。
RSとことなり、3-6月に最も流行し、肺炎等の診断で入院する例も10%程度あります。
診断キットが新しくできたので 臨床現場で診断が可能となりましたが、保険が利かず、全額病院
負担なので行いにくい実状があります 。RSV同様に、中耳炎の合併が多いので、注意が必要です。
中耳炎の合併が有る場合には、抗生剤の内服も必要となります。 ワクチン及びタミフルのような
特効薬はありません。

百日咳

 百日咳は百日咳菌によってもたらされる特徴のある疾患です。普通 の風邪のような咳ではじまり、
2-3週にわたってだんだんそれが増加していきます。夜ひどい止まらない咳発作、こんこんこんこん
と持続する咳(スタカートといいます)とそれに続くヒューーーーーという長い吸気音(レプリーゼ
といいます)が特徴で、熱もなく、ゼコゼコもあまりありません。血液検査ではCRPの上昇はなく、
乳幼児では白血球増加(リンパ球の増加が主体)が特徴てきですが、成人や年長児では白血球増加が
見られないことが多く、診断を難しくします。近年、成人の抗体価の低下に伴い、成人百日咳の流行が
多く見られ、診断の難しさもあいまって密かに広がっている様です。3種混合(DPT)ワクチンの
中の1つとして能動免疫が得られますが、中にはワクチン接種後の罹患も存在し、うったからといって
見逃されていることもあります。マクロライド系抗生剤(エリスロマイシン、クラリスロマイシンなど)
が有効ですが、ペニシリンやセファロスポリンは効きません。典型的な症状になってからでは、たとえ
抗菌力のある抗菌剤を使用しても、咳き込み発作はなかなか消失せず、延々と持続するのが特徴です。
特に怖いのは、予防接種未施行の6ヶ月前の乳児の罹患で、無呼吸発作や百日咳脳症、肺炎などを発症し
重症化→入院するケースが多く見られます。感染力も強く、成人の間で、今後流行が持続することが
予想されますので、乳児期早期からの予防接種と成人患者の早期発見が重要となりましょう。
家族中で「熱のでない長引く咳」があったら要チェックです。

病原性大腸菌(腸管出血性大腸菌)

 大腸菌というのは、もともと人の腸管(特に大腸)の中におおく生息し、人(ほ乳類)と共存してきた
菌ですが、中に病原性のあるものがあるということが分かってきました。その中で最も有名なのが、
O-157 を初めとする腸管出血性大腸菌です。それらの菌の特徴は、菌体内にベロ毒素という含むもので、
その毒素により、腸管出血や腹痛を来すだけでなく、時に脳症とか溶血性尿毒症症候群などの命に関わる
合併症を引き起こし、時に死に至ることもある怖い病気です。 脳症は意識混濁、痙攣などの症状をきたし、
溶血性尿毒症症候群は溶血性貧血、腎不全、血尿、血小板減少などを生じ、緊急透析や血液濾過を必要
とする厄介な病態です。基本的にはこの菌はウシの内臓に由来し、少量の菌量 でも発症し、食してから
発病までの期間が1wを越えることもあるため、原因特定が困難なことが多い食中毒としても知られて
います。過去に井戸水からの集団報告もあり、必ずしも食物とは限らないようです。O-157が最も多い
ですが、O-26、O-111などいくつかの菌種からもベロ毒素の報告があります。 逆に、病原性大腸菌と
いわれても、ベロ毒素の発生のないものは、必ずしも病原性であるとは限りません。

風疹(3日ばしか)

 風疹ウイルスにより発症する、比較的感染性の強い疾患で、一度かかると麻疹同様、ほぼ生涯免疫が
得られます。 成人・小児では重症度がかなり異なり、幼少児ではきわめて軽微に経過するのに対し、
成人での風疹罹患は、麻疹と見まがうほど重症の経過をとります。成人では40℃の熱、強い発疹、
関節痛、頸部および耳介後部のリンパ節が生じます。小児では軽い発疹が、成人では麻疹のように
あとに色素沈着をきたすほどの発疹となります(そこで誤診が生じやすい)。咳・鼻水も成人ではひどく、
咽頭発赤も著明です。ただし麻疹でみられるコプリック斑はありません。
 
妊婦(特に初期に)が風疹に罹患しますと、胎児に奇形・難聴・血小板減少・子宮内発育遅延を生じます。
保育園での流行時には妊婦さんは要注意です。 
潜伏期(感染→発症までの期間)は約2週間です。
 風疹ワクチンまたはMRワクチンを打って有れば、10年間は有効と思われますが、大学生以上の年齢
ではワクチン接種歴があっても、その有効性は期待薄です。接触後1-2日以内ならば、早期にワクチン
接種することで、感染後でも発症を免れることができます。
ただし妊婦への接種は禁忌です。

ヘルパンギーナ

 一般に夏風邪 と呼ばれているもののひとつです.暑い日が増えてくると増加してきます.
コクサッキーウイルスが原因で,咽の口蓋垂(のどちんこ)のまわりにアフタ(口内炎)ができて
のどの痛みと高熱を生じます.のどの所見は特徴的で,見て診断がつきます.咳などは少なく,抗生剤も
効きません.数日で解熱しますがこれに対する特効薬もありませんし,ワクチンもありません.合併症として
時にウイルス性(無菌性)髄膜炎を引き起こします.髄膜炎は,高熱・強い頭痛・嘔吐・後頸部痛を主訴に
しますが,症状から疑わしければ背中から髄液を採取して診断をつけます.症状が強い髄膜炎は入院が必要と
なります.
 最近ヘルパンギーナと手足口病の合併例のようなケースを見かけますが、ウイルスは親戚 なので、融合
したりとかで新種のものが出ているのかもしれません。今後重症化しないかと併せて注意が必要です。

プール熱 → 「咽頭結膜熱」の項参照

マイコプラズマ肺炎

  マイコプラズマという微生物がひきおこす肺炎で、熱と頑固な咳が特徴です。
レントゲンでは淡いホーキで掃いたような陰が見られます。 通常使用されるペニシリンや
セファロスポリンなどの抗生物質に抵抗性のため、注意がいる病気です。そのかわりに
マクロライド(エリスロマイシン、クラリスロマイシンなどが該当します)やミノマイシンなどの
抗生剤が有効のため、この病気を疑ってレントゲンや血液検査をすれば、診断と治療が可能です。
肺炎といっても、昔多かった肺炎球菌などによる大葉性肺炎に比べれば軽症で、必ずしも入院治療は
必要ありませんが、家族内感染率が高く、大人も子供も罹るため、家族内に一人出たら周りの人の
二次感染の有無に注意が必要です。少し前には、オリンピックの年に(4年毎に)流行すると
言われていましたが、最近はそのルールもあまり当てはまらなくなりました。
家族中で咳と熱があったら要チェックです。
 

麻疹(はしか)

  麻疹ウイルスにより発症する、極めて感染性・病原性の強い疾患で、未感染・未ワクチンの人が
麻疹患者と1時間同席すると90%強で発症すると思われます。成人・小児問わず重症の経過をとる
疾患で、 39-40℃の発熱が持続、肺炎を思わせる湿性の咳、大量の鼻水と目脂、咽頭痛があり、
咽頭発赤も著明です。発疹が出るのは発熱後4病日頃からで、診断のつく前の最初の3日間に感染力が
最も強いため、多くの医療機関にかかり、そこで周囲に感染を広げる真にたちの悪い疾患です。
発疹出現前日に口腔内頬粘膜に生じる白斑(コプリック斑)が 特徴的ですが、この斑の出現前に
於ける診断は、逆に難しいということです。麻疹肺炎・麻疹脳炎などで亡くなる方もあり、空気
感染であることも手伝って、極めて感染力の強いのも問題です。潜伏期(感染→発症までの期間)は
10-11日です。
 麻疹ワクチン(MRワクチン)を打って有れば、10年間は有効と思われますが、大学生以上の年齢
ではワクチン接種歴があっても、その有効性は期待薄です。接触後1-2日以内ならば、早期にワクチン
接種することで、感染後でも発症を免れることができます。
 

無菌性髄膜炎(ウイルス性髄膜炎)

 夏風邪ウイルス(コクサッキー・エコー・エンテロウイルス)やムンプスウイルス(おたふく風邪)に
合併して発症します.38-40℃の高熱・我慢できないほどの頭痛・突然の頻回嘔吐が生じ,頸が前屈
できなくなります.上記ウイルスが脳のまわりの髄液というところに入り込んで,脳に悪さをするために
おきる症状です.治療しなくても,数日の重い症状を乗り越えれば,その後は自然軽快し, 快方に向かい
ますが,上記症状が揃っている場合には,検査が必要ですし,入院治療の方が望ましいと思われます.
 また,微熱・頭痛がある(あった)時には,炎天下での運動・プールなどは髄膜炎発症の原因になり
ますので,避け,涼しいところで安静にしてお過ごし下さい.

 なお,類似の病名で「化膿性髄膜炎」または「細菌性髄膜炎」というものがあり,こちらは治療が遅れ
ると,死亡したり重大な後遺症を残す可能性のある怖い疾患です.この疾患との区別 も,一般の方では
難しいと思われますので, 高熱・強い頭痛・頻回嘔吐のいずれかの症状が有るときは専門医の診察が
必要でしょう.
 

毛細気管支炎  急性細気管支炎」 の項参照

溶連菌感染症(しょうこう熱)

 「溶連菌」は正式名「溶血連鎖球菌」といい,ひとの咽(のど)について炎症(咽頭炎・扁桃腺炎)を
引き起こす原因となる代表的な菌のひとつです.
  【症状】 咽に溶連菌がつくと, 扁桃腺が腫れたり,咽頭痛,高熱,発疹,苺舌などを引き起こすのが
特徴で,症状なしで保菌している場合もあります. 発疹の特徴:赤インクを霧吹きで吹いたような非常に
細かな発疹が,体の一部に(手足を中心に,体幹・顔面にも)出現します.発疹症の中で最も細かく,
発疹径は0.2-0.3mmです.なかにアトピー性皮膚炎が増悪したようながさがさの皮膚になる方もいます.
苺舌(イチゴじた):最初は舌の上に一面白い苔のようなもので覆われます.まもなく白い苔様のものは
剥がれて赤剥け状態になります.その時の舌の状態が,舌本来のビロードのような部分が剥げてところ
どころにぶつぶつが残り,ちょうどイチゴのようにみえるので,苺舌と呼ばれます.苺舌は溶連菌感染症
以外では川崎病でもみられます. 回復期には手の皮がめくれることも特徴です.
 【迅速診断】 インフルエンザ同様に抗原迅速キットが 存在しますので,のどの粘膜を綿棒でしごいて
検査するとその場で診断ができます.
 【合併症】 この菌は万病のもとで,腎炎・リウマチ熱・アレルギー性紫斑病に発展することもあり,
一部に川崎病との関連も言われています.特に腎炎においては,抗生剤を飲まなかった方によく発症しま
すので,注意が要ります.
 【治療および経過】 抗生剤を2週間きっちり飲むことです.抗生剤を飲むとたちまち症状の軽減
(消失)を見ますが,そこがくせもので,2-3日で飲み止めるとたちまち再発して,それを放っておくと
腎炎発症を招きます.症状がすぐに軽快しても,しっかり2週間のんで頂くことが大切です.2週間
抗生剤を飲んだら,終了時に一度検尿をしておくことが肝心です.
 【隔離・お休み】 学校伝染病指定ですので,罹ったら数日は自宅待機が必要です. 治ったら治癒証明
をもらってから登校して下さい.
 【家族内予防】 この病気は家族内で伝染しあうことが多い病気です.誰か罹ったら子供達みんなで予防
しておいたほうがいいでしょう.大人でも罹ることがありますので(子供よりはずっと可能性は少ないで
す),もしお父様・お母様でも似たような症状がすこしでも有る場合はいっしょに薬を飲みましょう.
症状の無い方の予防は5日間,症状の有る方は2週間内服がいいでしょう.
 【再発】 はしか等と違って一度やるとむしろ繰り返すことが多い疾患です.「一度やったらもう罹ら
ないから安心」とは言えませんので知っておいて下さい. 

ライノウイルス感染症(鼻風邪)

これは毎年春秋(特に秋に多いと私は思っています)に流行しますが、大流行しても取りざた
されることがほとんどない日陰の感染症です。普通の人には、文字通り(ライノというのは
鼻または鼻水の意)鼻風邪をきたすだけのウイルスですが、こと喘息持ちの人には、厄介で
このウイルスにかかると喘息発作が誘発されたり、気道の過敏性が増強したりすることが
多く見られます。季節で発作が増えるのに加え、こんな隠れたウイルスが悪さしているんです。

流行性嘔吐下痢症(ウイルス性胃腸炎)

 冬季に集中し、いくつかのウイルスが原因となります。
まず毎年12月頃に小児・成人と問わずにかかるのが「ノロウイルス感染」で、比較的軽症で、
一般的には数回の嘔吐と下痢が2-3日続く程度で軽快します.家族中で罹ることも多いです.
インフルエンザを挟んで、その後毎年3月にピークとなるのが重いロタウイルス感染です。
この疾患は「乳児冬季下痢症」「乳児白色便性下痢症」「仮性コレラ」ともいわれる病気で、
それらの名前から総合して解るように乳児が冬季に罹る病気で、便の色は白色になる事が多く、
コレラの様に水様頻回の下痢を伴う病気です。嘔吐が先に出現し,その後下痢が続きますが、
嘔吐の回数も下痢の回数も1日10回を超えて来ますとさすがに自宅管理は難しく、脱水を治療する
目的で、点滴を要することがしばしば見られます。ロタウイルスは 一度かかったら二度目は
かからない病気で,ほとんど小さい子に限った病気ですが, まれに年長児や成人が罹ることも
ございます.近頃はそういうケースも増えているように思われます.
 その他、アデノウイルスも下痢の原因として多いですが、アデノによる下痢はロタほど激烈
ではないにしても、長い事が多く、季節も比較的広範囲に見られます。

どちらにしても,嘔吐が止まらない場合には点滴が必要なので,診察を受けて下さい.
下痢だけの場合には、スポーツドリンクなどの水分およびお粥等のデンプン類中心のお腹に優しい
食事を少しずつ与えて納まり具合を 見てあげて下さい。尿の回数も脱水の判定基準になります。

またこの病気は接触感染です.すなわち「手」によって伝搬しますので,手洗いがとても重要です.
特に家事をされる方は食事を作る前に丁寧な手洗いを行って下さい.

流行性角結膜炎(アデノウイルス感染症 別 名:はやり目)

 目にアデノウイルスがつくと,眼球充血,目やになどが現われるのが特徴で,プール熱と同じ種類の
ウイルスですが,型の違いで症状が異なります.重症感はありませんが、流行の速度が早いので注意が
必要です。接触感染でうつりますので、タオルなどは分け、手を目に持っていかない様心がけた方が
いいようです。  

りんご病 → 「伝染性紅斑」の項参照