イーオン・フラックス Aeon Flux | |
抜群のセンスで魅せるスタイリッシュな潜入シーンに比して、登場人物の行動原理のチープさに疑問。不必要に複雑な筋を廃してもっと人物を描けば、最後に銃撃戦なんかする必要はない。 |
インサイド・マン Inside Man | |
示唆に富んだscript、素晴らしい俳優陣、刺激的な導入。傑作になる要因はありながら納得がいかないのは、カタルシスの欠如なのか。アクションは要らないが、あのオチを消化するシークエンスがもう少し欲しい。 |
Vフォー・ヴェンデッタ V for Vendetta | |
メッセージ性の強い近未来物。単なるアクションヒーロー映画にあらず。夜霧煙る街を闊歩する仮面の男、革命の前にダンスを踊り、オーケストラは裁判所を爆破する。たまらなく上品で、愛すべき野蛮な映画。 |
ウルトラヴァイオレット Ultraviolet | |
期待のアクションは初っ端からカット割りで逃げ過ぎ、GunKata=「リベリオン」の衝撃はない。ドラマは下手過ぎで感情移入はゼロ。筋のヒネリも大したことなければ、M.ジョヴォビッチの美しさを眺めるだけだ。 |
X-メン:ファイナルディシジョン X-MEN: The Last Stand | |
ミュータントに突きつけられる決断は面白い。最後までヒロインは謎の女のままなので、ロマンスは適当。あとはおなじみの相変わらずの超能力のデパート。しかし、怪力系はもうちょっと描写を考えてもらわないと・・・。 |
エミリー・ローズ The Exorcism of Emily Rose | |
断片的に挿入される悪魔憑きの描写はまぎれもなくホラー映画だが、裁判劇を軸に展開させる構成に感心。登場人物の心中でどう事件を整理つけるかよく描かれている。エミリーを演じたJ.カーペンターには脱帽。 |
オリバー・ツイスト Oliver Twist | |
C.ディケンズの名原作は未読。幼くも階級社会のうねりに呑まれていくさまは、英国版「おしん」か。しかしお涙頂戴ほどほど、悲惨さの描写も控えめなのは「名作の今風」なのだろう。B.キングスレーは最期まですごい。 |
カオス Chaos | |
結局「カオス理論」との繋がりはさほどにも。ストーリー展開もオチも「インサイドマン」の方が一枚上手と見る。アクションに派手さはないものの緊張感がいい塩梅。最後をあそこで話を切る潔さには好感。 |
かもめ食堂 Ruokala Lokki | |
流行のロハスを中心に据えたスローな作品。美しい風景も人々の癒しも異文化交流もそこそこに描く、この匙加減が本作の肝なのだろう。呼吸に味を醸すことのできる小林・片桐・もたいの演技は見事にはまっている。 |
グエムル〜漢江の怪物〜 Gwoemul | |
川辺の「日常」風景の中で「非日常」な怪物が実に威勢良く暴れまわる。其処彼処に仕掛けられた緩い演出と相まって、家族愛に見事に感情移入してしまった。・・・コテコテ?大好きである。 |
サイレン Forbidden Siren | |
ミステリアスな象徴の配置で作り上げた雰囲気や肝心の最後のヒネリが、チープな繋ぎ込みのせいで全く機能しないのは、惜しいを通り越して悲惨。ゾンビのように狂って暴れ回る森本レオには、失笑を禁じえない。 |
THE有頂天ホテル The Wow-Choten Hotel | |
お得意の三谷節コメディ。津川雅彦や唐沢寿明らを贅沢に使い、作りに死角はない。「押しつけ」一切なしの脚本には賛否あるが、ドタバタ群像劇の誰かに、観客は自分を重ねて幸せに年を越せるはず。 |
ジャーヘッド Jarhead | |
連続する緊張と弛緩の中で、淡々と湾岸戦争がミクロな視点から語られる。人を殺すことのない兵士は、焦げた民間人と無限に広がる砂漠を見つめる。潰えることがない虚無感は誰が贖うのか? |
スーパーマン・リターンズ Superman Returns | |
夢の少ない現代社会にヒーローの存在意義を問うというアレンジも見せつつ、連続のスリル、ピンチ、救世、というがっちり王道の展開。見事に襲名なったB.ラウスに、悪役K.スペイシーが吼える。面白い!! |
ステイ STAY | |
不可思議な男をめぐる話は中盤まで淡々と続く。しかし何かが違う、この違和感。例の手練手管と気づいた時にはもう遅い。思えば、またしてもN.ワッツなのか。・・・さて、もう一回見ようか。 |
スピリット Spirit | |
J.リーが李連杰に還り、素晴らしい体術で暴れまくる。筋が唐突な所もあるが、シリアスなムードで集中は途切れず。結末は意外にあっけない。中村獅童はオイシイ役どころだが、もっと深く描いても良かったか。 |
ソウ3 Saw 3 | |
厳格であるべき「ルール」が曖昧なままの展開に苛立ち。描写不足な個人心理は〜2の様に絞るべきだったか。故に恒例のどんでん返しもボケてしまう。前作をメイキング調で解説しまくるのは不要だろう。 |
太陽 Solntse | |
日本から3人の怪優を持ち込んで、ロシア人が作る天皇ヒロヒト人間宣言の一部始終。この緻密な描写は、日本でも米国でもない第三国の監督にのみ可能なのか。そして、最後まで君の肩の荷は下りぬ。 |
ダ・ヴィンチ・コード The Da Vinci Code | |
原作を読んで「これは映画向きだナ」と予想したが、そのままなぞるだけでメリハリに乏しく、単体では全く映画になっていない。脚本が悪いのか編集が悪いのか。暗殺者役のP.ベタニーの好演だけが目を引く。 |
単騎、千里を走る。 Riding Alone for Thousands Miles | |
中国奥地に入ってから話が輝きだすのは、いい表情を見せる現地役者の手柄。通訳を介して間が抜けるのは惜しい。開劇からモノローグで進むのであれば、いっそ字幕を入れないというのはどうか? |
ディセント The Descent | |
閉所恐怖症でなくともケイビングの途中でスタックすることは想像するだに恐ろしい。そんな素晴らしい舞台にバケモノを出さなくても良かろうに。見せ方は上手いし、作り手が映画を良く勉強しているのは判るが。 |
デスノート 前編 Death Note | |
原作把握は半分程度。詳細が違うようだが、緊迫した雰囲気を上手く映像化。鹿賀、藤村の渋い二人が脇を固める中、若い主役陣が記号化された科白を吐いて対峙する。なかなか面白いぞ。 |
デスノート 後編 Death Note the Last name | |
アレンジとはこうやるのだという良い見本。御都合主義ギリギリのバランスと「ルール」の枠内で一歩踏み込んだトリック、そしてこの尺で収める腕前に拍手。前回腑に落ちなかった藤原=月はラストになって得心がいく。 |
トム・ヤム・クン! Tom-Yum-Goong! | |
話の筋をひねり回す前半はちょっと退屈。しかし、不敵なカポエイラ男がベールを脱ぐ時、「祭り」は始まる。殴る、蹴る、極める。前半の鬱憤を晴らすようなT.ジャー六面八臂の大活躍。そうだ、これが見たいのだ! |
ナイロビの蜂 The Constant Gerdner | |
3分で話の扉は開く。ギラつくようなアフリカの大地で失踪する最愛の人。思い出のフラッシュバックは心に突き刺さる。女性活動家やNPOなど、ともすれば理屈が鼻につく題材を正面から受け止める佳作。 |
ナチョ・リブレ覆面の神様 Nacho Libre |
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「スパニッシュ訛りの英語」とか小ネタで笑う所は随所にある。しかしJ.ブラックの体当たり演技にも拘らず、爆発力が今ひとつ。堕ち切ることも大成功することもできず、このユルユル感が味といえばそれまでだが。 |
ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女 The Chronicles of Narnia: The Lion, the Witch and the Wardrobe | |
ディズニーだけあって、しっかりした作りで安心して見ていられる。しかし、実在動物と神話生物の混成軍団の奇妙さや唐突に出てくるサンタの場違いな感じに、首をひねったのは私だけか? |
パイレーツ・オブ・カリビアン:デッドマンズ・チェスト Pirates of the Caribbean: Dead Man's Chest | |
アクション&SFXたっぷりで見所は満載。敵味方がコロコロ切り替わるのは海賊映画の定番か。意外な結末と唐突なオチ。確か前作はDVDで見たはずだが、全く記憶がない。あぁあいつか。 |
胡同のひまわり Sunflower | |
失われる古き中国の下町、すれ違いを繰り返す絵描きの親子。文化大革命に翻弄された一家という図式までは判ったが、どうも筋が腑に落ちない。頑固過ぎる父親の感情に移入するにはまだ若いのか、俺。 |
フライトプラン Flightplan | |
観前の予想は覆される、そこまでは予定通り。しかし真実が露顕してから、前半積み上げた謎へのケアがおざなり。J.フォスターの鬼気迫る演技だけで引っ張るのは無理。発想は良いのだが・・・。 |
プラダを着た悪魔 The Devil Wears Prada | |
美人に豪華なファッションにテンポの良い展開。ありきたりのサクセス物かと思いきや、最後に待ち受ける罠。当然の選択、一見浅く見えるラストだが、M.ストリープの短い微笑には億千の意味がある。 |
ブラックキス Black Kiss | |
目指す「新感覚サイコスリラー」とは何ぞや。恐ろしげな具象を組み合わせて大風呂敷を広げたあげく、たどり着いた安易な結末には憤りすら覚える。橋本麗華のPVじゃあるまいし。 |
ブラック・ダリア The Black Dahlia | |
第二次大戦直後の享楽と退廃を背景に、残虐な事件が幕を開ける。前半はそれなりに人物描写で楽しめる。しかし、後半そんなのあり?の新事実の連発にかなり興醒め。おそらく原作の方が面白い。 |
ホテル・ルワンダ Hotel Rwanda | |
日に1万人が虐殺される民族紛争。豪雨の中助けを求めて殺到する群集。無力さに自らを恥じながら避難退国する外人記者。家族への愛ゆえに苦悩する主人公を通して描く世界は「シンドラー〜」より強く心を打つ。 |
M:i:III Mission: Impossible III | |
おなじみの豪快なアクション。今回はそれなりにチームが機能していたのがまた良し。しかし気になるのが、Mr.ハントのウェットな行動原理。カタのつけ方も爽快感が足りないんだよなぁ。 |
ミュンヘン Munich | |
モサドとPLOの陰謀劇をベースに、苦悩に満ちながら一般人が暗殺者になる過程を描く。決して両陣営をフェアに描写している映画とは言えないが、二つの不寛容が対峙する、あの階段のシーンに私は唸るしかなかった。 |
ユナイテッド93 United 93 | |
緊迫感に打ちのめされた一作。微塵のメロドラマも挿し込まず、関わった全ての人の焦燥と混乱と決断を描ききっている。これはテロ反対でも、米国断罪でもない。祈りを続けるテロリストと乗客の間に何の違いがあろうか。 |