- 200402 -

- 02月02日 -
所謂世間一般で言うところの、安寧とは程遠い位置に座している僕は、座して尚、立ち上がろうとする気力を見せていません。蝋燭の、ゆらめく炎のような、か細き心中を表に出すことも決してせず、その外見はあたかも、威風堂々と表現するが如くであります。誰も、僕の心中などわかるわけなど、無いのです。わかって欲しいとも思っていないのやも、知れません。さようなら。


- 02月03日 -
何故に、生まれては消えていく命かと、心の内にて一人問う。図らずとも、生れ落ちたる命なれば、斯くなる定めに身を委ねることも、承知の上か。されど、我が身に再度問う。彼の道は己が望むべき道であるのか。その先に、光はあるのかと。さようなら。


- 02月04日 -
少し汚れの目立つ、自室の窓より外を眺めると、晴れた空も、幾分くすんだように見えます。少し手を伸ばし、窓を拭けば、晴れ間を存分に楽しむことができるのにも関わらず、それすらもしようとしない僕は、なんとも情けない人間でありましょうか。自分自身に、「眩し過ぎるんだ」と、言い聞かせ、僕は相も変わらず、曇った空を眺め続けているのであります。さようなら。


- 02月05日 -
あれは、霜の降り始めた、ある冬の一日のことでした。僕が日課である人の家の屋根を走り回るというプレイに興じていた矢先のことです。兼ねてよりの気温低下の影響もありまして、屋根が凍ってるんですよ。で、ほら、靴下とかでプレイするじゃないですか、屋根を走り回るのって。そうするとですね、自然の摂理としては、それはもう、綺麗に滑り落ちるわけですよ。で、あれですよ、あれ。そうそう、転落死。

そんな感じで、よろしくお願いします。(笑顔で)さようなら。


- 02月06日 -
壁にしがみ付いていると、無性にラーメンが食べたくなりませんか?僕はなりません。さて、僕が車のボンネットの中に潜んで今か今かと出番を待っていますと、なにやら誰かの足音が聞こえてくるではないですか。「おやおや、一緒にボンネットに入る気ですか?定員一人だから無理ですよ。」などと、ブツブツ呟いておりますと、バタンなんて音がするじゃありませんか。あれ?

いや、そりゃあ、ちょっとは我慢したんですけどね、エンジンが傍にあるじゃないですか。焼死も止む無いですよね。記録は30秒くらいかな?いや、詳しいことはわかんないんですけどね、死んでるし。さようなら。


- 02月07日 -
いつまでも水の滴り落つる、古く錆びた水道の如く、止め処なく僕の心から何かが滴り落ちていくのがわかります。その何かが何なのか、本心ではわかっているのにも関わらず、気付かない振りをしている自分に、嫌気が差します。自分の歩む道だからこそ、自分で決めたいと願うも、願うばかりで一向に歩を進めようとしていない自分が悲しくなります。今日も、日が、暮れます。さようなら。


- 02月09日 -
所謂、世間一般で言うところの忍者である僕は、今日も日夜修業に励んでおりました。修業と一口に言いましても、ピンからキリまであるわけです。ちなみに、今日はヤクザの事務所目がけて手裏拳を投げ付けていたわけですが、気が付くとコンクリートに詰められています。あ、あれか。縄抜けならぬ、コンクリ抜けの練習に付き合ってくれるのか。(ポジティブ!)さようなら。


- 02月10日 -
カーテンの隙間より、日差しが入り込んでいまして、夢の中にいた僕は、その差し込む光によって目を覚ましました。いや、目を覚まされたと表現した方が良いのかも知れません。ともあれ、目を覚ました僕は、まだ感覚の鈍い体を引きずり、机の上にある煙草に火を点けました。紫煙を吐き出しつつ、「時間は誰にとっても平等で、それはそれは貴重な物なのだけれども、その貴重さをわかることの出来るのは、未来にいる自分であって、決して今の自分では無いのだろうなあ」、などと考えていたら、間もなく出掛ける時間に差し掛かろうというところでありました。さようなら。


- 02月11日 -
「自分自身、成長しなくちゃならないと思った僕は、土の中に足を入れて行水していたわけですよ。ほら、よく道端で見かける花とか、埋まってるだけで成長しますしね。僕もそれに肖ろうと思ったんです。しかし、実際やってみて思ったのは、成長って簡単じゃないなってこと。冬の夜を完全に舐めてましたね。あと、空腹。植物って侮れないなって思いました。」

以上、今朝自宅前にて全裸で埋まっているところを発見され、緊急入院した男性の話でした。スタジオにお返しします。さようなら。


- 02月12日 -
喉が無性に渇く。誰か、誰か水を、水を一杯わけてください。おや、誰だか知らないが、ありがたい。早速飲むことにしよう。わあ、生ぬるい。いや、文句など言える立場ではない。ごくごく。何だか、変な味がする。鉄のような、妙な味がする。失礼ですが、これは何ですか。水ではないでしょう?何故黙るのです。これは一体何なのですか。教えてください。

遠く、そして、近い未来の話。さようなら。


- 02月13日 -
悴む手を必死に擦り合わせたところで、一抹の暖しか手に入ることしか出来ず、その動作を止めたが最後、途方も無い寒さが両の手を包み込みます。つまり、暖を取るためには、ひたすらに手を擦り合わせなくてはならず、そう考えると、生きるために泳いでいなくてはならない鮪のような心持がして、少々滑稽であります。ふと、辺りを見回すと、同じような仕草をしている人ばかりでありました。さようなら。


- 02月15日 -
面白くもない話に、大口を開け笑っている人々を横目に、雑踏を擦り抜けます。その先には、やはり面白くも無い日常が横たわっていて、何だか少々物寂しそうであります。思ったよりも、未来はすぐ傍にあって、誰に気付かれること無く、出番を待っています。そのことに気付いている僕ではありますが、一向に未来に見向きもせずに、怠惰な日常に身を委ねている次第であります。そろそろ、駄目かも知れません。さようなら。


- 02月17日 -
風がびゅーびゅーと、窓を叩きます。まるで、僕を戸外に誘うかのように。僕は、なんだか無性に不安な気持ちに襲われて、布団の中でなんとかやり過ごそうと思ったのですけれども、絶え間ない風の音は、布団越しにも確かに感じることができまして、不安は消えるばかりか、徐々に増していきます。暫くすると、次第に早くなる心臓の音と、風の音とが調和し、なんだか不思議な気分になりました。不思議な音に包まれて、僕は眠りに就きました。目を覚ますと、夕べの出来事が嘘のように、晴れ渡った空が広がっておりました。足元に、倒れた花が、ありました。さようなら。


- 02月18日 -
屋根の上に上ると、いつもの自室の窓からの眺めとは異なった世界が眼前に広がり、なんとも言えない感動を覚えました。僕たちの、普段目の当たりにしている世界はあまりにも小さなもので、その全てを把握するのは難しいものだと、強く実感した次第であります。井の中の蛙にならぬよう、日々邁進するのが肝要かと、思います。さようなら。


- 02月19日 -
昼の間は、何処かに隠れている闇が、少しずつ広がり始め、何時の間にやら日が暮れてしまいました。元来、陽の高い時間より行動するのを苦手としている僕でありますから、日が暮れた方が都合が良いのではありますけれども、心の奥にある隙間だけは隠し切れません。手前勝手な意見だとは重々承知はしていますけれども、眩しさの中に影を探すのと同様に、僕は闇の中で光を探そうとしているのだと、思います。僕はまだ、不安定なままです。さようなら。


- 02月20日 -
「僕がのんびり帰宅の途に着いていた時のことです。頭上より、眩い光が僕を包み込んだのです。見上げるとそこには、大きな円盤があって、光に吸い込まれたんです。円盤の内部は、文系の僕には何がなんだかよくわからなかったのですけれども、驚くほどIT革命が進んでいたのは確かです。そうしたらですよ、何か、変な台に乗せられて、検査が始まったんですよ。今思い出しただけでも恐ろしいのですけれど。

え、どうやって助かったのかって?いいですか、腹を切るじゃないですか。僕の腹にいる蟲達が飛び出すじゃないですか。びっくりしている隙に、逃げ出すじゃないですか。まあ、何はともあれ、無事だからいいんじゃないですかね。」

以上、精神病院内から、UFOに攫われた男性の独占インタビューをお送りいたしました。さようなら。


- 02月21日 -
幾重にも重なる苦難ゆえに、嘆息絶え間無い毎日ではありますけれども、それも、日々充実していると言われれば、そう思えるような心持がします。気の持ちようで、状況は変化するのもまた、事実でありまして。結局の所、何事も精神面に勝るものは無いのではないかと思えてきます。そう考えると、精神面で脆弱な僕としては、何にも勝てる気がしないのであります。僕は、何も出来ない人間であります。さようなら。


- 02月23日 -
まあ、メモの方にも書いたんですけれども、競馬場に行ってきたんですよ。社会勉強のために。そうしたら、GTって言うんですか?なんか、大きいレースがあって。もうね、ビックリした。あんなに競馬場に人がいるとは思いもしませんでした。そりゃあね、若い女性とか、青年とかいますよ。けどね、そこかしこに負のオーラを纏っていらっしゃる、もっと言うと、人生の落伍者みたいのがわんさかいるんですよ。もうね、奇声とか上げてるの。ぶっちゃけるとね、「日本終わってる」みたいな。気が違ってる人多過ぎ。人生賭けてますって顔してるの。ゴール近くになると、会場中から怒号が聞こえてくるわけですよ。「ゴラー!」みたいな。いや、そのやる気を職場で出しなさいと。再就職しなさいと。金融機関から借りている金を、真面目に働いて返しなさいと。もう、そんなこんなで何だか悲しくなってきました。日本が滅ぶ日も近いなあと思いました。以上、競馬観戦レポートでした。さようなら。


- 02月24日 -
なかなかね、皆さんが思っているほど音速の壁を越えるのは簡単じゃないんですよ。何のことかと言いますと、先日バイト先に向かった時のことです。急がないと間に合わない時間帯だったので、軽く音速でも出してみようかと思ったわけですよ。そりゃあ、こちらとしても、バイトに間に合うかどうかの瀬戸際ですから、本気になるじゃないですか。で、音速の壁が見えた矢先ですよ。正にその瞬間ですよ。

『はい、そこの君、止まって。』まさか警察にキップ切られるとはね。音速付近の僕を、見付けることのできる警察の目も節穴じゃないなあって、そう思いました。さようなら。


- 02月25日 -
艶やかな表情の、その内に、悲し気なる影を見付けては、気付いていないような素振りをしてしまう自分が滑稽であります。人は誰しも、触れては欲しくない部分というものがありますから、不用意な発言をすることに臆しているわけであります。しかし、一度気になってしまうと、なかなか頭から離れることもなく、顔を合わす度に、一人で気まずくなっている次第であります。完全な一人舞台である感は否めません。さようなら。


- 02月26日 -
庭先を彩る梅の花に、春の訪れを感じます。世間一般における春のイメージは、所謂、「出発」であったり、「始まり」であったりするのでありましょう。しかし、その言葉の裏には、必ず「終焉」というものが存在していることを忘れてはならないのだと思います。点と点が繋がり線になることは、誰しもが承知のことと思いますが、何分斯様な世情でありますから、忘れるのも已む無しと思います。始まりは終わりへ、終わりは始まりへと、その舵を取っていくのであります。さようなら。


- 02月28日 -
美しい花を咲かせたとしても、散りゆくことが物事の道理なれば、その美しさは、つまり儚さの一つであると思うわけでありまして。仮に一時でも、大輪の花を咲かせることが出来たならば、枯れ果てたとしても存在する意味はあったのではないかと思うのです。昨日、4年間のバイトに終止符を打ちました。さようなら。

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