- 200311 -

- 11月01日 -
己が醜悪な心を曝け出したとして、一体誰がそれを受け入れてくれるのでありましょうか。さればこそ、僕は卑怯にも、かようなネットの世界にて憂さ晴らしをしているのであります。現実世界は厳しいことばかりで、気に病むことがしばしばであります。さようなら。


- 11月02日 -
遠い雲間より、光が差し込み、さながらその様は、あたかも自分自身が幻想の世界にいるかのようでありました。もしかしたら、僕が思っているよりも、理想郷はそう遠くないのやも、知れません。そんな僕の目の前を、野良猫がまるで全てを見透かしたかのような顔で、通り過ぎていきました。さようなら。


- 11月04日 -
名も知らぬ、川にかかる橋の袂にて、赤く、大きな夕日を目にしました。幸い、道路が渋滞していたため、ゆっくりとその夕日の落つる様を眺めていたところ、後方からのクラクションの音で、はっと、我に返りました。丁度橋では、ジョギングをする女性と、夕日を写真に収めようとしている老人が交差したところでありました。さようなら。


- 11月05日 -
泥濘に、足を深く取られたかの如き心境にあります。もがけばもがく程に、深みに嵌っていくことは、重々承知なれど、何もせず、途方に暮れることもできません。行くも地獄、行かずも地獄。ならば、僕は少しでも先に行こうと思います。さようなら。


- 11月06日 -
毎日は気付かないようでいて、その実、緊張の連続でありまして。誰もが、「その日を必ず終えることができるであろう」という、安堵の気持ちを、顕わにしないまでも、心の内に秘めていることは、僕がいくら浅はかであろうとも、薄々感づいておりました。だからと言って、人に何かを促そうとも、諭そうとも、思いはしませんが、何だか、心の奥底で、モヤモヤとするものを抱えるのまた、事実なのであります。同じ日など、一日として無いのに。さようなら。


- 11月07日 -
人の、身に纏っている衣類の数に、季節の移ろいを感じます。濁った空気の、この街に、彩り豊かな花が咲き乱れ、同時に咲き急いでいるかのようであります。冬を近くに感じます。さようなら。


- 11月08日 -
バスの窓より、流れていく景色を何を見るともなく眺めておりますと、当然のこととは思いますが、自らが運転しているよりもずっと景色の連続を感じることができまして。目的地までこの景色が繋がっているのだと言う、充足感と表現するのは少々お門違いかとは思いますが、似たような気持ちを覚えまして。しかし、窓の外に見える景色は、所詮全体の一部、若しくは表層部分だけでありまして。バスの入り込むことの無い路地には、僕の知らない未知の世界が広がっていると思うと、少々恐怖に似た気持ちを覚えてしまうのであります。さようなら。


- 11月10日 -
感情さえ無ければどれだけ楽かわかりません。仮に、感情さえ働かなければ、自分が無機質な機械であれば、日々の些事に心動かされることなどなく、また、苦悩することもないのでしょう。しかし、それはそれで、苦しいことなのだと、理解している僕もいます。人間とは不自由な生き物であると言わざるを得ません。さようなら。


- 11月11日 -
風邪のせいで朦朧とした意識の中で、ふと、何処とも無く置いていた視線を逸らすと、そこには重そうな曇天が広がっておりまして。まるで己の心を投影しているかのようなその雲より、雨が一粒一粒落ちてきましたが、僕は、ただただ、空を見上げることしかできず、全ては、夢の中の出来事のようで、それでいて、僕にとっては他人事のようでありました。さようなら。


- 11月12日 -
ふと、車のフロントガラスが濡れているのに気付き、慌ててワイパーに手をかけました。勢いは静かながらも、次々とガラスを叩く雨に、少々の陰鬱さを覚えながらも、目的地を目指す僕でありました。幸い、傘を差すほどの雨ではなく、車から降りてからは足早に歩を進めたわけではありますが、寒気と相まった、肌寒さは否定できず、出来る限り濡れないようにするためではなく、寒さに身を縮めた次第でありました。雨が、降り続いております。さようなら。


- 11月13日 -
道路に面した店の一角に座り込み、買ってきたばかりのコーヒーを傍に置き、懐中より取り出した煙草に徐に火を点け、目の前に広がる光景を眺めるのがここ最近の日課になっています。悠々と時間を楽しむ僕を尻目に、足早に歩く人々が目の前を通過していきます。きっと、彼らは煙草の煙の行方など、気にしたことなど無いのでしょう。僕は飽きもせずに行方ばかり追っています。さようなら。


- 11月14日 -
悲しきは己が抱く感情、精神に他ならず、どうして他人のせいにすることができましょうか。脆弱なる心を育てた己が過去を思い返すにつけ、薄ぼんやりとした、表現のしようのない悲しみが込み上げてくるばかりであります。ふと見上げた夜空がとても美しく、まるでこの世の終わりであるかのような心地がいたしました。さようなら。


- 11月15日 -
喫茶店にて、ブレンドコーヒーだけを注文し、読書をしておりました。暫くして後、読書をしながらも、頭の片隅で別のことを考えている自分に気付き、胸中穏やかではいられなくなり、慌てて読みかけの本を閉じてしまいました。何かをしている最中に、ほかの事を考えることは、別段、不思議ではないのかも知れませんが、その曖昧さが、あまり好きではないのです。ふと、目の先を移したテーブルの上には、幾分冷めかけたブレンドコーヒーが今か今かと、出番を待っておりました。さようなら。


- 11月16日 -
幼少の頃に、誰しもがヒーローやヒロインなどに憧れたことがあるのではないしょうか。勧善懲悪や恋愛を大々的に主題設定した番組に心を奪われることもあったでしょう。しかし、何時の頃からか、人はそのような憧れを捨て去ります。ある人は、周りから冷やかされて。ある人は己の無力さや、現実を見つめ直して。ある本に、「大人になってやりたいことはできるようになったけど、なりたいものになれなくなった。」とありましたが、正にその通りで、人は一つ一つ夢を捨て去るのと同時に、一歩一歩大人への階段を歩んでいくのだと思います。

拝啓、読者様。あなたの夢はなんですか?さようなら。

*日記リレーなるものがマッチさんより回ってきまして、テーマが「ヒーロー」ということで今回の文章と相成りました。次回はヂルチ君に「夢」でお願いしようと思います。ヂルチ君、期待に添えなくてごめんなさい。


- 11月18日 -
何が悲しいのか。何が楽しいのか。何が辛いのか。何が嬉しいのか。なんだかさっぱりわからなくなってきました。さようなら。


- 11月19日 -
幾らでも、思いは溢れ出てくるにも関わらず、それを言葉にしようとすると、取り留めも無くなってしまいます。順風満帆とまではいかないまでも、僕の今まで歩んできたこの道は、快適であり、尚且つ、楽しくもありました。しかし、ここ最近、何かが変わってきたように、感じます。さようなら。


- 11月20日 -
(とある金持ちの話)
「深夜、ある場所から帰ろうとした時のこと。時間のせいか、辺りに人通りはなく、車のヘッドライトが、やたらに不気味に感じるばかりだったんだ。アクセルを踏み込んだ時、それは突然起こった。前方に人がいるのに気付いたんだ。ドスン。咄嗟にブレーキを踏むも、目の前のボンネットには人が横たわっている。慌てて車を降り、駆け寄って安否を尋ねると、彼はこう言ったんだ。『慰謝料をよこせ。』なんてことは無い、彼は当たり屋だったのさ。

え?その後どうしたかって?ただ慰謝料を渡すのも馬鹿らしいから、ちゃんと轢いてから渡したさ。(アメリカンジョーク)」さようなら。


- 11月21日 -
何とも無しに、外に出てみると、近所に住む猫が足元に擦り寄ってきまして。いつも飄々とした面持ちで辺りを徘徊している彼に、羨望の気持ちを抱くことが、ままある僕ではありますが、何故だか彼とは気が合うのです。彼も僕も、物言わず、ただただ、傍にいるだけではありますけれども、それはまるで、旧年来の友と過ごす時間に近くありまして。時間ばかりが、ただただ、過ぎ行くのでありました。ふと気付くと、幾ばくかの雨粒が僕の肩を打っておりました。さようなら。


- 11月22日 -
濁った瞳のその先に見つめるは、己が将来でありましょうか。曖昧模糊とした感情を抱えながら、日々声にならない呻き声を漏らしてばかりいます。何がしたいのか、何を望んでいるのか。当の本人でしかわかりそうもない疑問に、当の本人が答えることのできないまま、毎日が過ぎ去っていくのです。過ぎ去った時間を取り戻すことはできず、自室に帰り着くと同時に、溜息を漏らしながら後悔の念を募らせます。「あの時こうしていれば」、「あの時こう言えば」。思うのは至極容易なことなれど、行動に移すことのできない僕は、本当に生きていく価値の無い人間なのだと、思います。さようなら。


- 11月24日 -
目を覚まし、ふと窓の外を眺めると、思いの外天気が良く、それに併せて気分も幾分良くなったかと思いきや、いざ外に出て見ると、自分の服装に違和感を覚えてしまいました。時間にゆとりの無かった僕は、家に戻る時間も惜しく思い、肩を窄ませながら目的地へと急いだ次第であります。待ち合わせの時間に少々遅れながらも、無事到着し、友人と街を歩いておりますと、気が付くと街は早々とクリスマスの準備をしておりまして。華やいだ街の雰囲気に少々温かい気持ちを覚えました。しかし、折角温まった僕の心も、時折吹き込む冷たい風によってすぐさま冷まされてしまうのでありました。心が少々重い気がします。さようなら。


- 11月25日 -
「道を歩けば「不景気」だの「倒産」だの「リストラ」だのと、負の単語しか耳にしない毎日でありますが、皆さんは如何お過ごしでしょうか。確かに、近年の日本経済は、若干持ち直し気味とは言えども、一向に景気回復の兆しは見えていないのが実情でありまして。僕のような学生風情には、そこまで直接的に関係はしてこないものの、昼間からシャッターの閉じられている僕の地元の寂れ具合を見るにつけ、何とも、言葉に出来ない気持ちがするのであります。

そこで、少しでも地域の皆々様のお役に立とうと思い、確実に儲ける術をお教えしようと思い立った次第であります。まず手始めに、用意するものとしては、金属バットです。出来れば軽く、持ち易いものをご用意ください。その足で銀行に向かいましょう。もう、わかりますね?ご老人の方や女性の方は、出来れば若い男性の付き添いがあった方がいいかも知れません。」

翌日、「いいことをした」感に浸りながら夢を見ていた僕を起こしたのは、モノトーンの車による、けたたましいサイレンの音でありました。さようなら。


- 11月26日 -
最近アクセス数が落ち着いてきまして。以前のような異常な、気味の悪い数値を叩き出さなり、寂しさを感じるとともに、安堵の心地がしている次第であります。思うに、僕のこのような文章を読んで頂けることは、至極恐縮なことなわけではありますけれども、賢明な読者様達は既にお気付きのことでしょう、何とも無駄な文章であることでしょう。自分で自分の文章を評価などはできはしませんが、どう考えても、褒めるべき文章ではないと思うわけであります。あまりの酷さに、全身からの発汗、頭痛、眩暈、果ては吐き気までもが僕を襲ってくる始末。当の本人でこの有様ですから、他の方の症状は想像に耐えません。ブラウザを立ち上げ、このサイトがモニターに映し出されたその刹那、貴重な時間の一部が失われてしまうことは、非常に申し訳なく、誠に遺憾であります。そこで、最近発見した画期的なお詫びの方法として、東京湾に自ら沈もうと思います。さようなら。


- 11月28日 -
本日、バイト先にて勤務報告書の確認をしたところ、僕は先月26日間バイトをしていたことが発覚しまして、自分自身のことながら、落胆の気持ちを隠し切れずにいます。僕をここまで駆り立てるのは一体何なのでありましょうか。それは、あからさまに資本主義というこの国の制度でありまして、お金が無ければ明日への糧も手に入らない、日本と言う国にこそ、要因があるのだと思うわけでありまして。明日、永田町に巣食う古狸達を日本刀にて切り刻んでこようと思います。僕はやれば出来る子なんです!さようなら。


- 11月29日 -
最近不意に頭に痛みを感じる日が増えてきました。最初は何とも思っていなかったのですが、こう間隔が狭まってくるとどうしても気になってくるのです。思うに、これは僕が風邪だとかそういった、病気ではなく、どこかで誰かが僕に対して強烈な電波を浴びせているようにしか思えないです。いや、むしろ、国家単位で僕を陥れようとしているとしか思えないのです!

そういったことを近所の病院で小一時間程熱弁したところ、精神病院に連れて行かれました。何かが、おかしい。(主に僕の頭です)さようなら。


- 11月30日 -
世の中には、とどのつまり、肥満児とそうでない人しかいないわけでありまして。この人類二極化に業を煮やした僕は、遂に包丁片手に街中へ飛び出したわけであります。手当たり次第に肥満児と思しき輩を切り刻んでいると、辺りはそれはもう閑散としてきまして。最早、肥満児と判断できる人間がいなくなり安心したのも束の間、ショーウィンドウに映る、包丁を持った人間を発見しました。包丁で反撃されるかと思いましたが、意外と呆気なく切り刻むことが出来ました。そして、僕はこの世から、いなくなった。さようなら。

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