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- 06月02日 -
「僕は、僕であって、他の誰でもない。そして、君は、君であって、他の誰でもないんだ。」そう、傍らにいる恋人に僕は話しかけた。恋人は聞いているのか、聞いていないのかわからないまま、ただ黙っていた。僕は彼女を抱き寄せ、呟いた。「僕が本当に必要としているのは君で、君が本当に必要としているのは僕なんだ。」彼女は、ただ黙っていた。
彼女は何を考えているのだろう。ここ最近ご飯もろくに食べていない。ただ黙っているだけだ。僕を困らせようとしているのだろうか。「ねえ、何か言ってよ。」それでも彼女は黙っているだけだった。
ある日、警察が僕の部屋にやってきた。そして、彼女を無理やり連れ去って行ってしまった。僕は警察に思いつく限りの罵声を浴びせかけた。警察の内の一人が言った。『殺人の容疑で逮捕する。』僕は笑ってやった。「何を言っているんだ?彼女は生きている。ねえ、そうだろう?答えてくれよ。」彼女は、やはり黙ったままであった。さようなら。
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