|
- 05月11日 -
「ただひたすらに走り、行き着いたその先に見えた光景は、地獄の有様でした。」
『なんだそれ?』
「いや、今度小説を書こうと思ってさ。最初の書き出しなんだよ。」
『その先は考えているのかい?』
「いや、それが全く思い浮かばなくてね。」
『なんだい、それじゃあ全く駄目じゃないか。』
「自分で言うのもなんだけれど、地獄の有様ってのが想像できなくてね。」
『なんだ、そんなの簡単なことじゃないか。』
「どういうことだい?」
『こういうことさ。』
その瞬間、彼は近くにあった灰皿で僕の頭を殴りつけました。僕は意識を失い、念願の地獄の有様を見ることができました。彼には感謝をすべきなのでしょうけれども、如何せん、現実の世界に帰る手段がわかりません。さようなら。
|
|