妖奇譚 其の壱 もののけたちの住む街

                                                        5.闇に生きるもの

激闘は終わり、ひとつの闇の事件が幕を閉じます…。


■妖怪退治 −河童− その4〜氷牙復活〜

氷牙:な〜んて、氷牙は飛べるのだ!ビルの壁の破片、粉々になったDVDを撒き散らしながら外に飛び出した氷牙を、冷気のつむじ風が包んだ。瓦礫がセンター街に落下していく中、氷牙を包むつむじ風は空中に静止している。そして冷気が飛散すると、空中に直立した氷牙が現れた。
GM:なぜか【飛行】の妖力を持ってるのね。
氷牙:そうそう。雪女と言えば吹雪と共に現れるでしょ?そのイメージ♪雪男だけど。

氷牙:「久々の強敵だぜ…。そうこなくちゃな。しかしここからが本番だ!」。【烈風撃】行きます。3D…命中!さあ、避けてみろ河童。
GM:「やっと邪魔者がいなくなったね」。不審者を排除した際に開いた穴を見ながら河童は呟いた。その時、穴の向こう側から冷気の塊が飛んできた!河童はすぐに【水撃】で反応したが、「受け」失敗。ダメージ4。跳ね飛ばし2メートル。つむじ風の冷気の威力で、カッパは後方1メートルの位置にある陳列棚に勢いよく飛ばされた。その衝撃で、AVコーナーの棚と背中合わせにあるお笑い関係のDVD陳列棚が倒れた。AVコーナーのスチール製の棚は折れ曲がり、棚の上のDVDがカッパの上へ振り注ぐ。転倒判定…ぎりぎり踏ん張った。河童は四股立ちのまま後方へすべるように飛ばされたのが幸いし、その姿勢を保ったまま停止した。さすが大関、足腰が強い!
氷牙:やったぜ。
GM:思わず受けに妖術を使ってしまったので、今回のターンは河童の妖術攻撃は無しです。

たまき:氷牙もやるじゃない。戦況を見守る。

氷牙:空中を滑るようにTSUTAYAビルの壁の穴から入っていく、そのまま滑空しながら河童に肉迫する。
GM:建物の外へ排除した敵が瞬時に眼前に現れてあせる河童。「あっちいけー!」。とばかりに両手の張り手を突き上げるように、中空にいる氷牙に向けて打つ。左手のロケット張り手が命中。

氷牙:「二度も同じ手をくらうかよ」。今度こそ刀で受けるよ…成功!やったね。河童の手が刀を境に氷牙の左右二方向に分かれて後方へ伸びていく!
GM:「うぎゃあああああ!!!」たまらず叫び声を上げる河童。日本刀のダメージください。
氷牙:8D+1で、河童の防護点を引いて…31だ!
GM:きましたね〜♪渾身の一撃を受けられたカッパはついに力尽きる(HPが0以下になった)。しかし、まだ死んだわけではない。生命力判定に成功すれば普通に行動できるのだ!で…成功。あれだけの手傷を受けながらも、なんと河童は踏ん張った!
氷牙:しぶとい。

氷牙:「河童の弱点はここだ!」。河童の皿に手を置いて「氷槍陣!」。命中部位修正が−7か…はずれちった。
GM:では、河童の妖術いきます。河童はさすがに日本刀の脅威を感じ、それを持っている手首を狙います。遠い手首なので−8の命中部位修正…成功!
氷牙:まずい。【烈風撃】で受け…失敗。
GM:ダメージ7だけど、日本刀を落とすまでのダメージではなかった。

氷牙:「悪いが。終わりにさせてもらう」。日本刀で頭の皿狙う!命中部位修正が−7で13以下なら命中ね。3D…14、ぐお!はずれた。普通に狙えばよかったか。
GM:氷牙は少し中空に浮いた状態のため、河童より60センチ高い位置からの攻撃とみなします(上級戦闘ルール)。この位置から相手の頭への攻撃には+1の修正があります。てことで、ギリギリ命中です。河童は「よけ」を試みます…失敗!
氷牙:気の利いた計らいを!いかすぜGM様☆
GM:河童の皿には防護点がありません。
氷牙:やはり弱点だったか!ダメージ40。これはイっただろ!


■渋谷の某雑居ビル15:20

GM:黄桜の回想…。

黄桜銅男の携帯が鳴る。
「あたし、たまきって言います。さっき名刺もらった男の人に社長さんの携帯番号教えてもらったの。あたし、芸能界とかにちょっと興味あるんですけど、今夜、社長さんに会って詳しくお話聞いてもいいですか?」
電話の相手が女性と分かった途端、つい、にやけてしまう。
「君はいくつなの?」
「高校1年です」
はまった。まさに黄桜のツボにはまりまくった。黄桜は女子高生に目がないのだ。
「じゃあ、早速事務所の方に来てくれるかな?いま場所を言うから・・・」
「あたし、そういう所ちょっと怖いんですけど・・・できれば、待ち合わせをして、静かな所でお話を聞きたいの」
静かな所…、女子高生と二人きり・・・、黄桜の妄想は膨らむ。
「い、いいよ。ボク行くよ」
少し興奮して、つい、どもってしまう。
「じゃあ、10時にTSUTAYA4階のAVコーナーで会いましょ。社長さんって分かるように目印でレインコート着てきてくださいね。あたしは、セーラー服で行きます。楽しみにまってます。」
と明るく言って電話は切れた。

裏コメント:氷牙の殺しのお膳立てをする。これがたまきの仕事です。


■TSUTAYAビル22:05

GM:「(たまきちゃん、どこかな…)」。薄れ行く意識の中で、河童はセーラー服の少女を探す。氷牙の振り下ろした日本刀は河童の皿を突き刺し、喉の辺りから剣先が出る。河童の喉からは血に混じって皿の水が流れ落ちている。河童死亡判定…なんと、まだ生きてる!次は河童の行動だけどなにもしません。

氷牙:ボロボロの瀕死状態の河童をしばらく見下ろしてから。カウンターの下に隠れている白い猫に向かって話しかける。「たまき。この河童はいったいどんな悪さをしたんだ?普段はそんなことに興味ないんだが、こいつは変態じみていたが強敵だった…。教えてくれないか?」

たまき:カウンターの下からちょこっと顔を出してニクキュウを上げ、「ホワイトサンダー!!」と叫んだ。その瞬間、河童の頭上がカッと光り、ドン!と音をたてて雷が落ちた。
GM:たまきの【落雷】…成功。河童の頭に刺さった刀がちょうど避雷針のように作用し、電流が河童の体を流れる。柄を握っていた氷牙もたまらず手を放す。ダメージ11。
氷牙:うお!危ねえな。
たまき:「(へぇ、この状況でも使えるのね)」自分の妖術に感心する。白猫から人間の姿になり「ブラック、あとは任せたわ」。
氷牙:ブラックとか、ホワイトサンダーとか何?
たまき:ふたりはプリキュアです☆
氷牙:ああ。日曜日に放映しているアニメね。まともに観たことないのでスルー。
たまき:…。

氷牙:そうか、オレの仕事は標的の妖怪を有無を言わさず消すことだったな。自分自身の甘い考えに苦笑い。河童に刺さった日本刀を握り締める。
GM:ビリビリッと氷牙の右腕を青い電流のスパークが伝わる。
氷牙:「安心して逝け!雪山流最大奥義!氷槍陣!」。命中、ダメージ26。

GM:河童の目の前には黒いスーツの雪男が立っている。そして、その後ろに白いセーラー服の少女の姿をようやく確認できた…。だがその時、河童の体から日本刀を中心として放射状に氷の氷柱が無数に飛び出し、河童はついにまぶたを閉じた(HPが生命力のマイナス5倍)…。

たまき:「もお、びしょ濡れになったじゃない。あたし濡れるの嫌いなの!」。プリプリしながら、崩れたDVDの棚から1枚拾い上げ、氷牙の方につかつか歩みよりズイッと突きつける。「男の人って、みんなこうゆうのが好きなわけ?」
GM:DVDのパッケージは「濡れすぎ女子高生XXXX・・・」という感じのタイトルで制服姿の女子が淫らな格好をしている画が写っている。
氷牙:「どうだかな…」。氷牙は人間の姿に戻る。
たまき:DVDをくるっと裏に返し、「ここ見て。」と、パッケージ下の部分を指差す。そこには、[企画・制作「カッパカンパニー」]と書かれている。「黄桜銅男。カッパカンパニー社長。それがこいつの正体なの。こいつはね、渋谷で女子中高生を妖術使って誘い出してこんなの作ってるのよ。これがひょーがの質問の答えよ、分かった?」
氷牙:「…」。刀を鞘に収めて布で包む。
たまき:さてと、そろそろジミーさんの【場流散】の効果がなくなる頃よ。それから、派手に建物壊しちゃったから、外の人たちも騒ぎだすわね。
氷牙:そうだな。派手にやっちまったな…。
たまき:撤収!とばかりに氷牙の腕を引っ張り、その場を立ち去ります。
氷牙:「おいおい。こっちは今死闘を終えたばかりの重傷者だぜ」と苦笑いを浮かべてなすがままに引っ張られていく。


■翌日 三軒茶屋仲見世商店街・占いバー「パープルヘイズ」

GM:マスターの「ジミーさん」こと遠藤 陸州(えんどう りくす)はテレビのワイドショーを観ている。渋谷TSUTAYA4階でスプリンクラーの誤作動により水道管が破裂、その水圧で壁や床に穴が開いたという記事が報道されている。不思議な事にこの時間帯に誰もこのビルにいなかったとか、壁から黒い物体(スーツ姿の男?)が目撃されたといった街の噂も取り上げられている。
たまき:「こういったのが都市伝説になるのよねぇ」と、カウンター席で独り言をつぶやく。

GM:まだこの街には真意が分からず伝説化した不思議な事件が絶えない。そのいくつかは妖怪の仕業なのかもしれない…。


■セッションを終えて

GM:そういえば今回は報酬について全然触れなかったね。本来は誰かから依頼されて事件を解決又は敵を倒して報酬を得るってところだけど。
氷牙:そうだね。
GM:今回の依頼は…。
たまき:今回はあたしが知り合った女の子から相談されたの。だって、同じ妖怪として許せないじゃない!女の子の敵よ!!
氷牙:あの死闘は…。
たまき:今度アイスおごるから、それで許して☆
氷牙:報酬なしかよ!
GM:報酬はないけど、今回の戦いで氷牙は4CP獲得しました。

GM:とりあえず。セッションが終わってよかったね。
氷牙:久々にリプレイ更新のネタができたよ。これはうれしい!
GM:今回は戦闘の練習程度のテストプレイだったけど、これ続くの?
氷牙:一応、次回への伏線らしきものもあったし、続きやろうよ。でもプレイヤー一人はやっぱり寂しいな。
GM:GURPS妖魔夜行の今後の展開をどうするか?それを考えるのもまた楽しいしね。
氷牙:そうだね。またのんびり考えよう。

裏コメント:今回は88とnigaが漠然と話し合っていた妖魔夜行のシナリオなら…というイメージ具体化してみたテストプレイでしたが。本セッションが無事完結して安心しています。今後はGURPS妖魔夜行という選択肢が増えて、グループの活動も活発になればと願っています。


パープルヘイズの妖怪たちにまた会う日がいつかあるでしょう。それは次回のお楽しみ。



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