第66回   エコがエゴに通じるとき

通称エコと称されている運動や、
それらに関する知識はいまや先進諸国では常識となっている。

さて、それが具体的にはどういうものかを考えるとき、
それぞれが自分の生活の中で実践している、
様々な取り組みを頭に思い浮かべると思う。

横文字に疎いわたしは、
世間一般に広く知られている数多くのこの種のものについて
「説明せよ」などと設問されたら超劣等生に間違いない。

例えば、過去にメディアを総なめした感がある「ロハス」。
今はどうなっているの?

ロハスの意味は何度かネット検索したことがあるが、
それがLifestyles Of Health And Sustainabilityであることを
すぐに忘失してしまう。
横文字はすぐに忘れるが、概念はなんとなく頭にインプットされている.

つまり<環境と人間の健康を最優先し、
持続可能な社会の在り方を志向するライフスタイル>ということ。

はてなダイアリーによると、ロハスのそもそもの発端は、
「アメリカの社会学者ポール・レイ氏らが、1998年全米15万人を対象に、
15年間に渡って実施した価値観調査から生まれた言葉。
快適に暮らしたいという欲求(EGO)と、
地域社会における環境との共生(ECO)を両立させながら、
新しい生活文化を創造していく」

この考えはアメリカやヨーロッパで増え続け、
今後のビジネスや政治のあり方まで変える可能性を秘めた存在として
注目されているとのこと。

新しモン好きの日本人、或いは欧米流のライフスタイルに憧れる日本人が、
これらに飛びつくのは自明であり、過去の数々の事例が物語っている。

エコやロハスと名前は違っても目指すところは
<地球環境を守り、そこで生活をさせてもらっている人間の暮らしも守ろう>
というコンセプトであるにちがいない。

しかし、ロハスは日本ではまるでファッション用語と同様の流行語となり、
様々なメディアに登場するが、そのスタイルも様々である。

・地道に自分に出来ることをコツコツと生活の中で実践している人、
・メディアの流す情報そのままを模倣し、それらを披露して自己陶酔
 している人(こういう人は長続きしない)
・ただ耳新しい言葉にだけ反応して、内容が伴わない生活スタイルを
 しながら、言葉としてロハスを使いたがる人、
・ロハス? ロディオの間違いじゃないの、とまったく無関心な人。

人それぞれと言うが、まったくその通りである。

前述のはてなダイアリーによると、
LOHASを広めた雑誌「ソトコト」を出版する木楽舎のグループ会社トド・プレスと
三井物産が大半の商標を保有。
商標管理は三井物産が行うとあるが、
ビジネスの世界はまずはオショーバイというところでしょうか。

結果として、ロハスに便乗したロハス住宅とやらを始め、
様々な分野でロハスと銘打った商品や製品が巷に出現することになったが、
結局は既存のエコ住宅等のコンセプトやらとどこがどう違うの? 

エコもビジネスになると、同じ人形に違う衣装を次々と着せ替えて、
まったく違った人形を登場させたような印象を持たせるなど、
お手のもののようである。

LOHASをテーマとした女性向けメディアとしては、
インフォバーンのMYLOHAS(マイローハス)があると説明は続くが、
流行に飛びつきやすい女性の方がターゲットとしては申し分がない
ということなのか。 

一時的な流行にしても、内容的には歓迎すべきものであるが、
エコにしてもロハスにしても、消費者レベルではかなり努力が見られるが、
それに相対する企業の意識と努力はどうなの。

確かに企業がさまざまな努力をしている様子は
ニュースやメディアを通じて知ることになるが、
真面目な消費者の努力に比べたらまだまだの感がある。

企業努力はアピールしやすいニュースや目に付きやすい部分では見られるが、
わたしが最も不満に思っている「過剰包装」は長いこと放置され、
未だに改善の様子がまったく見られない。

スーパーの魚や野菜等のほとんどの生鮮食品が、ラップやトレイの世話になっている。
これらを家に持ち帰り中身を取り出すと、トレイやラップの大きな山ができる。

我が家1軒分でこれだけあり、お隣やご近所、町内、市や県といった
全国的な規模のこれらの無駄を是正したら、
個人レベルの地道な努力を数多く束ねたi以上の大きな成果になるだろう。

しかし、オショーバイの売り上げを左右しかねない「過剰包装」は
一向に改善されない。
これが日本の企業のエコに対する姿勢であり、エゴである。

消費者にしても、
企業のオショーバイ優先のコンセプトを排除するだけのエコ意識には
まだ届いていない。

これらは政治家と国民の関係に似ている。

悪い政治家を非難する前に、彼らを選んだ自身を反省するように、
企業のコンセプトを変えさせるような消費者意識を持たなければ
真のエコ普及の道程は遠いというべきかもしれない。

日本の消費者は与えられた課題には真面目に対応するが、
そこから一歩踏み込んだ考えとなると不得意のような気がしています。



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