ネット姫のつぶやき爆弾 辛口コラム


辛口コラム 第253回 心の健康チエックシステムの稼働

ある日の読売新聞に、<企業にストレス検査義務>がありました。
記事によると、社員50人以上の会社で年1回社員の心の健康対策として、
心理的な負担を測るストレスチエックの義務化が始まるというものでした。
(ちなみに、これは過去の記事で、コラムは当時書いたものをアップしています)
26年6月公布の改正労働安全衛生法によるもので、施行は27年12月1日から。
1年に1回以上、医師または保健師らが実施。
実施状況は労働基準監督署に報告する必要があるというもの。

義務化の背景には、精神疾患の患者数の増加という社会問題化があるという。
たしかに新聞には、精神疾患関連の記事が専門家の立場から、
あるいは当事者から寄せられた体験や相談等が、
掲載されない日はないと思うほどあふれています。

なぜこれほど多くの人が苦しんでいるのかと思いますが、
その原因に現代の社会環境をあげる人が多いと思います。

現代人の精神構造の柱が、
以前に比べて細くなってきているのではと実感することがあります。
パソコンやスマホに代表されるネットを筆頭のバーチャル世界で、
実体験を煩わしく思う環境で育つ人たちが、
現実の世界に足を踏み入れた際に見舞われる軋轢。
それがストレスを呼び込むひとつの要因でもあり得るような気がします。

複雑な現代社会では原因もそれなりに、複雑な要素が絡み合っていると思いますが、
バーチャルの世界にどっぷりつかっている心の不健康は、
「健康な肉体に健康な精神が宿る」と、昔から言われているものに逆行するものでもあります。
さらに、日本人に見られる異常なほど<他人を意識する目>、
ある意味では<右へ倣え>も、かなり不健康な精神と言えるのでは。

2014年に映画の興行収入記録を塗り替えた「アナ雪」現象にも、それは見られました。
わたしも「アナ雪」のCMのアニメを見て、
子どものころに観た、シンデレラや白雪姫を懐かしく思い出しました。
実写映画はとっくに見切りをつけていましたが、
子ども時代のアニメ映画の懐かしさは、当時の空気感や世相にまで及び、
とうとう重いお尻をあげて、それこそ超がつくめずらしい映画鑑賞となりました。

映画の初日にもかかわらず、時間ぎりぎりに駆けつけて座れたのは、
当初の評判は、後の狂想に至るほどではなかったのでしょう。
内容といえば「ありのまま」が売りだったようですが、
いつも「ありのまま」でいるわたしには、特別の感激もなく、
ただ昔を髣髴させるディズニーの画面を楽しみました。
時代のせいか、当時よりも人物の動きが速く感じられ、
落ち着きがないとの印象を持ちました。
その後は、それこそ日本中が「ありのまま狂想曲」を奏で、
あらためて日本人の倣えを実感しました。

新聞の新刊書の広告の見出しは
「友だちの数で寿命は決まる・・・人との<つながり>が最高の健康法」とありました。
右へ倣えない人、ひとりの時間を大切にする人たちが(わたしもそのひとり)
ストレスを受けそうな内容ですが、人と<つながりすぎる>ストレスで疲弊し、
結局は医者の門をたたく現象もあることを、情報で知りました。

自分で考えることができるならば、
<人は人、自分は自分>と進むべき方向を見つけられるはずですが、
バーチャルの世界で、与えられた情報にだけに関心を寄せているうちに、
<自ら考える力>が損なわれていくのではと気になります。

いずれにしても、昔は昔なりの社会環境で、それぞれの悩みはあったと思いますが、
当時の人たちの精神の柱はもっと太い印象がありました。
現実社会の中で地に足をつけた人たちが、
実際に体験し、経験を積んで得られた結果ではないのでしょうか。

チエックシステムのように、現代社会の問題点の手当ても大切ですが、
究極の解決方法ではあり得ないと思っています。
なぜそのような社会現象が引き起こされるかを、
教育というシステムを通して、
大切なものを若い芽のうちから育てることが求められているのではと感じます。

一歩間違うと、普通の人が普通に感じる悩みを、
ことさらチエックシステムを使い問題視することで
(チエックリストの設問項目でそれを感じました)、
病人にしたてあげてしまう危険も潜んでいます。
米国の製薬会社が日本で向精神薬販売を始めた途端に、
うつ病患者数が激増したとの記事を考えると、
かなり慎重に使うべきシステムだと思いました。

名医と評判の医師が言うことには、
「一週間体調不良が続いたらかかりつけの医者へ行きなさい。たいてはなんでもないが、
医者からなんでもないと言われただけで元気になる。そういうものです」

怖いのはその反対です。
チエックシステムは、
普通の悩みを病気にしてしまう際どい面も大いに考えられるということです。

コラムはチエックシステムを否定するものではありません。
安易な活用に頼り過ぎないように願っているだけです。

HOME  TOP NEXT