ネット姫のつぶやき爆弾 辛口コラム


辛口コラム 第252回 老兵の嘆き こりゃだめだ

少し前になりますが、購読紙の読売の記事のタイトルは「美容に料理 女子力男子」。
またしても男子の女子化の記事がありました。
また、というのはこの手の話題は過去にもたくさんありました。

女装趣味ではなく、ファッションとして日常的にスカートを履く男子。
日焼けを嫌い日傘を携帯する営業マン。
顔の肌のお手入れが普通の女子よりも熱心な男子大学生など。

これらの現象は単純に男子の女性化と捉えていましたが、
「女子力男子」はそれらを総合したような印象を持ちました。
記事によると、女子力とは「きれいになりたい」「生活を充実させたい」と、
女性が行動する力とか。

昨今のマスメディアや有識者が、
なにかと話題提起的な分析をしたがるもののひとつであると、
イジワルなわたしが、イヤミたっぷりに日ごろから皮肉に捉えている現象です。

記事中の24歳の会社員は、自分でアップルパイを焼いて職場で配り、煮物料理も得意。
スキンケアは毎日欠かさず、今一番欲しいものは高性能脱毛器。
男子は言う。
「好きなことを素直に取り入れてきただけ。自分では普通の流れです」

男性の料理好きはめずらしくはないし、
健全な食生活のためにはむしろ好ましいと思っていますが、
「毎日のスキンケア、高性能脱毛器」は古い教育を受けた身には
「なぜ、そこまで」と、いささかの抵抗感あり。

「そんなの男女差別よ」と責められたら、
「ハイハイ、わかっていますよ。なにしろ頭が古いもので。
これでも男子厨房に入らずの方は、積極的に入ってちょうだいと応援できるんですがね。
この違いはなんなんでしょうね」と、
自己分析をやりますが、本当になんなんでしょうね。

22歳のモデルの男性は、日傘を携帯し、日焼け止めも出先で塗り直す。
化粧品、香水、制汗剤入りなどが入った化粧ポーチを5、6個(!!)持ち歩く。
使い心地のよかった化粧品は母親にも薦めているという。
モデルという職業を考慮しても日常の生活に、
やはり「女子生活」の影響が濃く見られるような気がします。

花王生活者研究センターが2011年に20代男性にインターネット調査をしたところ、
48%の男性が「化粧水、乳液、美容液」のいずれかを使っていると回答。
料理教室の「ABCクッキングスタジオ」はこれまで女性専用だったが、
昨春から全国のスタジオで男性の受け入れを始めた。
男性会員のうち20、30代が約6割。
2006年に一部の教室で男性を受け入れた当初は、中年が中心だったとか。

草食系男子やら、マスメディアが好むような刺激的なキーワードには、
名付け親の存在がありますが、
今回の「女子力男子」は博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。
当分はこのキーワードがメディアに蔓延し、女子力の強い男子が雑誌やテレビに登場。
名付け親やブームの仕掛け人たちは、本を出版、講演会にと多忙になり、
世間で「ああ、あの人」と言われる著名人になるのが定番スタイルでしょうか。

中年男性の料理教室に若い世代の男子が急増したのも、
おそらくメディアの影響の流れかと思っていますが、
「なにをしたってかまわないじゃん。個人の自由じゃん」と切り返されますね、きっと。

ハイハイ、頭の古いおばさんでも、それはよーくわかっています。
でもね、3割を超える女子が「面倒くさい」「好きなことをして過ごしたいから」
と結婚を拒否し、限りなく女性化を目指す新たな男子族の登場。
これでは少子化が進むのも無理からぬこと。

それでも結婚願望のある女子がお見合いパーティーに出席すると
男子会員の数が少なくて、女子余り現象があると聞いています。
結婚リサーチは、男子も女子と同じく
「結婚は面倒くさい」「好きなことをして過ごしたい」と報告し、
結婚を拒否しています。
その例は以前のコラムに書いています。

耳に聞こえの良い「自己に忠実に生きる」は「自己本位に生きる」側面もあり、
面倒なことはしたくないの裏返しとなり、「自己中心族が増えた」ということでしょうか。

他のために自己を少しだけ抑える、我慢する。
それは言い換えると「他に対する思いやり」でしょうか。
今はそれができなくなったということなのですね。
男女関係は恋愛ばかりでなく、社会現象も複雑のようです。

男子の女子化に「こりゃだめだ」、の老兵は消えるのみですが、
やはり日本の将来がとても気になるところです。


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