第226回 問題学生の脳ミソをスライスして分ける人たち

アインシュタインと聞くと、パブロフの犬のように相対性理論が頭に浮かぶが、
1921年のノーベル物理学賞を受けた世界的に有名な物理学者は、
天才の代名詞に使われるほどである。
そのアインシュタイン直筆の草稿や手紙など14点が、
今年になって慶応義塾図書館(東京都港区)で、報道陣に初公開された。

ウイキペディアによると、アインシュタインは1922年に来日、43日間滞在している。
公開資料の中に日本の雑誌のために書いたドイツ語の下書きと見られる草稿があり、
日本の家屋や田畑の印象を
「まるで自然と人間が一つになったようだ。すべてが愛らしくおおらかで、
 自然が与えてくれたものと親密に結ばれている」
と、感動を記しているとか。

アインシュタインの来日の目的は科学の世界の親善と、
ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)が記した美しい日本を
実際に自分の目で確かめることであったから、日本は彼の期待を裏切らなかったようだ。
ちなみに大の親日家であるとか。

ところで、相対性理論ってなに? 

時速60qで走る電車に、同じ時速60qで並走して走る車から見ると、
電車は「止まっている」ように見える例えは、知識として前からあった。

新宿駅を出発した中央線の電車のつり革にぶら下がり、
ぼけーっと窓の外を眺めていると、いきなり目の前に総武線の電車が現れたかと思うと、
並んでそのままぴたりと動きが止まる。
ああ、これが例の相対性かと体験はできたらしいが、理論の方はさっぱり。

このような難解な理論を世に送り出した大物理学者の脳ミソは
果たしていかなるものなのか。
その神秘を覗き見したいと思っていたが、彼は5歳頃まではあまり言葉を話さなかったようであり、
大学受験に失敗するなど、ごく普通の人の印象を受ける。
大学時代は化学の実験中に爆発事故を起こし、学校をパニックに陥れ、
教師には反抗的で授業をよく休んだ問題学生? でもあったらしい。
一方で数学に関しては傑出した才能を示し、9歳のときにピタゴラスの定理の存在を知り
自力で定理を証明したそうだから、まんざら普通の人と同じと言うわけでもなさそうだ。

長い舌をベロンと垂らしたユーモラスな顔写真も、理論名に負けず劣らず広く知れ渡っているが、
多くのシーンで使いまわされているこの写真を、どこかで一度は目にしているはずである。
大きな鼻とボサボサ頭の風貌は「博士」のビジュアル的価値も備えているようだ。

誰もが彼の偉大な脳に魅惑されるのか、ウイキペディアには、
アインシュタインの遺体解剖を行った解剖学者が脳を自宅に持ち帰り
40年間も手元に置き、スライスした切片を求めに応じて知人に配布していたとあるから、
偉人の脳に対する執念たるや空恐ろしい。
アインシュタイン研究者の日本の大学教授も脳片を入手している。
その過程をBBCのドキュメンタリー番組が放映したとか。

死人に口なしとは言え、その人の持ち物を当人の許可なしに(?)配るという行為が、
果たして人道的に許されるものなのかと、疑問も生ずるが、
ポーランドの教会の柱の中にはショパンの心臓が埋め込まれている。
その柱を目の前にしたときの感想は「さぞかし辛いことだろう・・・」

このように偉人のバラバラ事件(分骨)は枚挙にいとまがない。
殺人鬼のバラバラ事件にしてもここまで残虐ではないと思えるが、
善良な市民がいとも簡単にそれをやってのけている。

ひょっとすると、偉人の遺体は人を狂わせる?

アインシュタインはユダヤ人としてそれなりの苦労があったようだが、
1968年に発行された旧5イスラエル・リラ紙幣に彼の肖像が使用されたとある。
認知度抜群のまさかのアカンベーの写真だったのかと気になり検索したが、
結果はそのまさかであった。


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